第6話 執事、冒険者登録する
セバスは目的である冒険者組合へ向かって歩いていると、まるで中世の酒場の様な建物が見えてきた。
おそらくそれが冒険者組合であると考え、セバスは向かった。
「歴史ある建物なのでしょうかね。入るにはこの木で出来た扉を押して開ければ良いのですかね」おや?引くんでしたか。これは失礼。
カランカラン
セバスがギルドの中に入ると共に木で出来た呼び鈴が鳴った。
中は思ったよりも小綺麗で、入口から見て目の前に総合受付があり、右側には解体買取受付、左側には依頼表があった。
「いらっしゃいませー。登録の方ですか?それとも買取の方ですか?」
受付の奥から1人の女性が現れセバスに声を掛ける。
セバスは、
「はい、そうですね。執事登録に馳せ参じました」と、受付嬢に伝えた。
受付嬢は、
「はい!冒険者登録ですねー。規則等は分かりますか?」と言って、セバスの発言をスルーしつつ説明を促す。
セバスは、
「説明、お願いします」と言い、
この女性の方、まさか面接官なのでしょうか。
私が執事登録と言っても簡単に流される。まるで、そう!流木の様に。油断出来ませんな。
と考えるのだった。
受付嬢はセバスに冒険者登録の説明を始めた。
「新規登録者様はまず、この用紙に名前を書いてその横にある丸い玉に触って下さい。あ、もし書けない場合は代筆するので声かけて頂ければ助かります」
セバスは自身の名前を書く際に下の名前が読みづらいかもしれないと考え、【セバス】と書き記した。すると受付嬢さんが用紙を手に取り、
「ふむふむ!セバスさんですね。ご職業とかは何を成されてたんですか?」とセバスに聞く。
セバスは、
「執事をしていました」と正直に答える。
受付嬢は、
「執事…あぁ、バトラーさんですか!もしかして御貴族の専門とかでしたか?」とセバスに聞く。
セバスは、「はい。坊っちゃまの為にコーラを買ったのは良いんですが渡せなくて残念です。」と受付嬢に言う。
受付嬢は「あー、なるほど。つまり御貴族さんの機嫌を損ねてしまい、路頭に迷ってて、この冒険者組合に来たって感じですね?」
とセバスに言うと、
セバスは、
「まあ、似たようなものです」と伝えた。
受付嬢は若干哀れみの表情を浮かべたが、すぐに切り替えて次の説明を始めた。
「では、セバスさん。次はそこにある丸い玉に触れて貰えますか?その玉に触れる事で現在のステータスが分かります。」
セバスが「ステータスとは?」と受付嬢に聞き返すと、
受付嬢は、
「ステータスとはセバスさんの色々な力が値となって現れる便利な機能です。」
と受付嬢はセバスに伝える。
「STRは筋力、INTは魔力、AGIは瞬発力、TECは生産力、MENは精神力、LUCは運を表します」
セバスは受付嬢の説明を聞きながら玉に触れる。
「Gが一番低く、SSSが一番高い値となります」
セバスが玉に触れるとピカッと光り玉の中に文字が表示された。
名 セバス 職 冒険者【クラスG】
STR A
INT A
AGI SSS
LUC A
TEC A
MEN B
持ち物 持ち物 鞄(容量∞だがほぼコーラ) 無線機 スマホ 充電器
豆乳 仕込杖 爆竹
財布(記念金貨20枚 記念銀貨10枚)と表示された。
セバスは少し驚いていたが、受付嬢からは意外な言葉を聞いた。
「あぁ、セバスさんは登録し始めたばかりなので【Gランク】からスタートですね。ステータスや持ち物に関してはセバスさんしか分からないので個人情報やプライバシーは気にしなくて大丈夫ですよ!教えたければ開示可能の旨を伝えて頂ければ」と教えてくれた。
セバスは思った。
やっと再就職が出来た!もう無職な執事とは言わせない。早く会いたい坊っちゃまに。そしてコーラを届けて安心してお休みしたい。とりあえずは
登録も終えたので、受付嬢に何か私に出来る依頼はあるのだろうかと尋ねる。
受付嬢は「それでしたら依頼表をご覧になれば丁度いい依頼が載っているかもしれませんよ?」と言われた為、セバスは受付カウンターと受付嬢を後にし、依頼表に向かった。