第1話 執事、コーラを買う
”ですから、私はこの時代の人間ではないのですよ”
マスク社会を脱却した世界のとある屋敷にて
1人の男性が自室で紅茶を味わっていた。
どうやらこの屋敷の関係者の様だ。
プルルル……プルルル……ガチャ
「じぃやぁー!喉がかっわいたぁー」
電話越しに男の子の声が1人の男性の耳に響く。
「はいはい坊っちゃま 今回は何をお望みで?」
持っていた紅茶を机の上に置き、
素早く上着のポケットからメモを取り出した。
「コーラぁぁぁ!」
男の子は目的の飲み物を依頼する。
「わかりました 早急に買って参ります!」
私は強木 瀬羽州(58)
偉伊家に所属する執事です。
今現在 偉伊家の一人息子 偉伊 太郎坊っちゃまのお使いとして1階のロビーにある自動販売機に来ています。
コーラが飲みたいお年頃とは
まるでアメリカンなヤングですね
コーラと言えば赤が主流ですよね
何故赤を強調するのかわかりませんが、
赤は情熱 愛を現すからして
アメリカへの愛を誓うと言う事でしょうか?
プルルル…ガチャ
「はいセバスです」
「コーラぁぁぁまだぁぁぁ!?」
「はいはい坊っちゃま今から買いますので
お待ちくだ…。」
「はぁやぁくぅぅぅ!」
ピッ ツーツーツー…
…自動販売機のコーラを選択して、と
ん?このコーラのボタン光ってますね
押しますか?と表示が
ええ勿論押しますとも
早く坊っちゃまにコーラを渡さなければこの私が怒られてしまままま……
セバスはコーラのボタンを押すと
自動販売機の中へ吸い込まれてしまった
時は変わり竜獣暦45年
どうやら揉め事が発生しており、偉そうな態度の鎧を来た男性と
馬車を引いていた商人の様だ。
「貴様!我々が獣王閣下の聖騎士隊と知って道を遮りおったか、無礼者め。」
騎士の1人が商人に怒りを表しながら声をかける。
それを聞いた商人は、
「いえいえ 私たちはタルマーヤ国へ行商の途中でして、決してバルバルド獣王国にご迷惑は掛けていません。何卒ご容赦を。」
すると、
「ならぬ!道を遮る不届き者は全てその場でたたっ切るのみ!」と怒鳴る。
「ひぇぇ お助けを。」
商人は頭を抱え、その場にうずくまった。
騎士隊の一人が亜人の商人に剣で切りかかる筈だった。
そう、筈だった。