ずるいずるいと姉のものを盗る妹と、そのずるい妹にお説教をする姉の私、あなたのためを思ってのことでしたが、どうも私の心は通じていなかったようですわね。妹よ。
「お姉さまばかりずるいですの~」
「……私の誕生日に私に贈り物が届くのは当然ですわ。あなたのお誕生日にもたくさんきたでしょう」
「でもでも私にはそんなにきませんでしたわ」
「同じくらいきてましたわよ」
小さい妹が床に転げまわって泣き叫ぶのを窘める私、一つ妹にあげなさいといわれてぬいぐるみを差し出すと、それいらないドレスがほしいと泣き出す妹。
「サイズが合いませんわよ」
「来年合います~。だって来年はお姉さまと同い年です~」
私はドレスを妹に差出して、やさしいお姉ちゃんねと両親に言われました。
毎回のことでした、これをしなければ泣き止みませんもの。
毎年これを繰り返し、私は十歳であきらめの境地に入りました。
どうせ欲しがって忘れて放り出して、どこかにやるのですわ。
二人とも年ごろになれば、離れられます。どうせ二人とも結婚するのですから。
あと三年、あと二年と指折り数え、私は十七で王太子殿下と婚約し、やっとこれと離れられるとほっとしました。
だけど、こうなるとは……。
「お前を窃盗の罪と妹をいじめた罪で婚約破棄をする。ルージュ・オーブラン!」
「……いじめてませんし、盗んでません」
「リリアの大事にしている首飾りを盗んだと!」
「どれが大切かも知りませんわ」
私が冷静に話すと、妹がひょいと現れ、泥棒と私に指を突きつけましたわ。
「お姉さまが私の大切な首飾りを盗んだのです。お姉さまのお部屋から私の首飾りが出てきましたわ。殿下も確認されたのですわ!」
「あなたの首飾りなのですかそれ? 見たこともありませんが」
「私の誕生日に両親からいただいた首飾りをうらやましいとお姉さまは言ってましたわよね!」
「いえ記憶にありません」
いつも反対の出来事ならありましたが、私はいつも妹に贈り物をとりあげられていましたが、反対のことをしたことはありません。
だが証拠があがっていると殿下に宣言されて、私は辺境送りにされました。
……ああまたこいつのせいらしいです。
私は反対のことばかり言うなと怒りに震えて、そして二人に復讐することにしました。
「人のものを盗んだ罪って、辺境送りでしたわよね?」
「これは私のものですわ!」
「これは私の髪飾りです。お父様があなたに内緒で私にプレゼントしてくれたものですもの」
私のことをさすがに不憫に思ったのか、お父様が昨年の誕生日に私にそっとくれた髪飾り、いつの間にか私の部屋から消えてまして、こいつだなと悟った私は、追跡の魔法をかけていたことを思い出して、妹の部屋を探してもらいました。
ええ、ありましたわ、宮廷魔法使い様と、陛下、両親に相談して見つけましたもの間違いありませんし、証拠もありました。
私のイニシャルを彫り込んだ特別なものでしたもの。
お父様の証言もあり、妹のほうが泥棒だということがわかりました。
さすがにこの顛末を見て、お父様も私を不憫に思ったようで、ずるいずるいの妹のことをお話ししてくれたのです。
妹は婚約破棄され、辺境送り、殿下はそんな泥棒に誘惑されたバカということで廃嫡です。
だがしかし、ずるいずるいと人のものを泥棒するのが趣味なのは知ってましたが、私の髪飾りまで泥棒したのが運のつきです。
せいぜい辺境で、人のものを泥棒することもできない生活を送ってくださいな。
私は父の謝罪と陛下のおとりなしによって、次の王太子殿下の婚約者となりました。
第二王子は第一王子と違い聡明で、私は幸せになりました。
泥棒が幸せになることなんてありませんのよ、妹よ。
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