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何でも大臣と女魔王様の建国記 ~人口の九割を従えている四天王を追放したせいで古巣は崩壊したみたいだけど、そんなことより俺は新しく建国した王国で魔王の娘と楽しく暮らします~  作者: 三羽高明
三章 何でも大臣、戦争に参加する

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短い夢だったわね(2/4)

「あら、それには及ばないわ」


 ふと声がして、ギースは振り向く。少し遠くの木立の影から、一人の女性が出てくるところだった。


(人型……それに、目が青と赤……。混血児か)


 ギースは彼女の身体的特徴から、女性が魔物族ではないとすぐに分かった。


「このまま帰るのなら特別に見逃してあげようと思ってたんだけど、やっぱりだめね。本当、あなたたちって野蛮だわ」


「あんた、何を言ってるんだ?」


 ギースも部下たちも訝しむ。


「その前に一体誰だ? どうしてこんなところに混血児がいる?」

「どうして、ってまだ分からないの?」


 女性は鼻につく嫌な笑みを浮かべた。


「あなたたちを待ってたのよ」

「俺たちを?」

「それから、ご紹介が遅れたわね」


 女性は、敬意がまるで籠もっていないお辞儀をした。


「私はエーテル王国宰相のルーシーよ。以後よろしく……って言いたいところだけど、『以後』なんて言うのはないわね、少なくともあなたたちには」


「エーテル王国の宰相だって!?」


 ルーシーの意味深な発言も気にはなったが、ギースたちはそれよりも、今目の前に現れたこの女性が、予想以上の大物だったという事実に沸いていた。


「おい、こいつを倒したら大手柄じゃないか!」


「首をはねてエーテル王国の魔王城へ送りつけるんだ! きっとエーテル王国は戦意喪失するぜ!」


「いや、それよりも生け捕りの方がよくないか? 人質にすれば、きっと役に立つぞ!」


 勝手なことを言いながら、ギースたちはじわじわとルーシーとの距離を詰める。しかし、ルーシーは慌てた様子もない。


「まったく、騒がしい方々ね」


 それどころか、こちらを煽るような台詞まで口にする。


「それに、あなたたちは勘違いをしているようだわ。あなたたちは、これは私を捕らえるチャンスだと思っているみたいだけど、実際はその逆よ。捕まったのは、あなたたちの方だわ」


「何だと?」


「分からないかしら? つまり、あなたたちをここに誘導したのは、私ってことよ」


 ルーシーが噛んで含めるように説明した。


 一方のギースの部隊員たちは、思ってもみなかった言葉に、「誘導だって?」と訝しむ。


「あら、これはもう少し説明が必要かしらね」


 ルーシーはわざとらしく驚いた顔をしていた。


「この辺り、逆茂木さかもぎが植わっていたでしょう? だからあなたたち、中々上陸できなかったんじゃないかしら?」


「ああ、その通りだよ」


 こんなに大勢の敵と対峙してもまったく怯む様子もないルーシーを見て、この女はただ者ではないと薄々感じ始めたギースが、用心深く答えた。


「タロス王国軍が侵攻してくるのに気が付いて設置したんだろう? だが、宰相さん、あんんた、ちょっと抜けてたみたいだな。お前たちが逆茂木を設置し忘れた箇所から、俺たちがこうして入って来られたんだからよ」


「それね、わざとよ」


 ルーシーの目が一瞬、罠にかかった獲物を見つめる肉食獣のように光る。


「あなたたちをおびき寄せるために、わざとここだけ逆茂木を植えなかったの」


「おびき寄せる……? 一体何のために……?」


「何のため、ってもちろん、まとめてタロス王国軍を倒すために決まってるでしょう? 今回の作戦の目標は『一網打尽』だもの」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルーシーおぬしもワルよのう……(;・∀・) いやー、キュアノスさん、良い人雇いましたね この冷静さは買えますよ [気になる点] ゾクゾクしてきたぞー(風邪ひいてんじゃないですよ) [一言…
2021/11/26 06:34 退会済み
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