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何でも大臣と女魔王様の建国記 ~人口の九割を従えている四天王を追放したせいで古巣は崩壊したみたいだけど、そんなことより俺は新しく建国した王国で魔王の娘と楽しく暮らします~  作者: 三羽高明
三章 何でも大臣、戦争に参加する

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VS『タロス王国軍』!(1/2)

「魔王様、エーテル王国の国境まで、いよいよ残り三日ほどの距離となりました」


 エーテル王国とタロス王国の間に広がるドミニク大渓谷。その谷を先陣を切って行軍中のタロス王国の魔王に、副官が話しかけてくる。


「うむ、奴らと刃を交える日が来るのが楽しみだな」


 殺伐とした魔界にありながらも、戦いとは無縁の精霊の国。その実力は未知数だ。だが、タロス王国軍の精鋭をもってすれば、倒せない国などないと魔王は思っていた。


「それにしても、天気が良くて幸いでした」


 エーテル王国と戦う時のことを考えてか、副官も上機嫌だ。


「悪天候での行軍はちと辛いですからな。まあ、この時期はめったにぐずついた天気になることもありませんが」


「最後尾は今どの辺りだ?」


 魔王が尋ねると、副官は、「彼らも、そろそろドミニク大渓谷に入った辺りでしょう」と答えた。


「我が軍は数が多いからな。こうして先頭に立っていると、後ろの様子がよく分からないのが少々難点だな」


「そうですな。まあ、最後尾が戦場へ着く頃には、もう戦いなど終わっているかもしれませんが」


 副官が「ククク……」とくぐもった声で笑った。もちろん自分たちが勝つ気でいるのだ。


「なに、心配はいらんさ。エーテル王国の国土は無駄に広い。出遅れた者たちがいたとしても、我が軍の全員が暴れ回れる場所など、いくらでもある」


 魔王も好戦的な笑みを漏らす。彼もまた、自軍の勝利を信じて疑っていなかったのだった。



****



「何でも大臣! タロス王国軍の最後尾が、何でも大臣の言っていた地点に到達したぞ!」


 グリフォンの羽ばたく音と共に、肩に風の精霊のネラを乗せたキュアノスがやって来る。


「分かった」


 グリフォンにまたがり、上空から眼下の様子を観察していたエレズは重々しく頷いた。


 その茶色と赤の瞳が映しているのは、ドミニク大渓谷を行軍するタロス王国軍の姿だ。


「じゃあネラさん、待機させておいたゴブリンたちに、伝令をお願いします」

「分かりました」


 エレズが指示を飛ばすと、真面目な風の精霊は、北に向かって飛び去っていく。キュアノスはその後ろ姿を見送りながら、未だに不可解そうな顔をしていた。


「それで……何でも大臣。一体何をするつもりなのか、そろそろもったいぶらずに教えてくれてもいいんじゃないか?」


「別にもったいぶってなんかないよ」

 

 キュアノスの言葉に、エレズは肩を竦めた。「そうか?」とキュアノスが首を傾げる。


「女王陛下や彼女の父親と、こそこそ何かをしたり、ゴブリンたちを動員したり……どんなことを企んでいるのだ? 私にはさっぱりだ。ゴブリンが『工事』がどうとか言っているのは小耳に挟んだが」


「それは、キュアノスが真面目に作戦会議に参加してなかったからだろ」


「宰相殿が、邪魔だからあっちへ行っていろと言うからな」


 キュアノスが不満そうに言う。彼は会議の最中にうっかり居眠りをしてしまって、ルーシーに怒られていたのだ。


 だがキュアノスも、何もしないのはさすがによくないと思ったようで、こうして戦いの最前線に様子見に来たのである。


 ただ、ルーシーには何の断りも入れていないらしいので、戻ったら叱られること間違いなしだろう。


「まあ、そんなに難しい話じゃないよ」


 エレズは、ネラが飛んでいった北の方角を指した。


「この谷の北側に何があるか知ってるか?」


「うーん、そうだな。湖か?」


「じゃあ、大雨の時期になると、この谷は湖から溢れた水で大河みたいになるってことは?」


「知っているが……」


 頷いたキュアノスがはっとなる。


「何でも大臣……水攻めか」


 散らばっていた個々の点が一本の線になるように、キュアノスは急速にエレズのやりたいことを把握し始めたようだった。


「何でも大臣が女王陛下とその父親を連れて行った先は、あの湖だ。二人は竜人だから、天候を操るのが得意だ。今の時期は大雨は降りにくいから、二人の力を借りて、魔法で強制的に雨を降らせた……」


 キュアノスが腕組みしながら唸る。


「ゴブリンたちを動員したのは……『工事』……ああ、そうか! 彼らに堤を作らせたんだな。降らせた雨を作戦決行まで湖にめておくための堤防だ!」


「正解だよ」


 自分が補足することなど何もないくらいに作戦の内容を完璧に理解してくれたキュアノスに、エレズは微笑んだ。キュアノスが満足そうに頷く。


「ネラがゴブリンたちに何を伝えに行ったのかも分かったぞ。堤を切れと頼んだんだな。タロス王国軍は、迫ってくる水に気が付いても逃げられない場所まで足を踏み入れてしまっている。何でも大臣と宰相殿が『タロス王国軍を一網打尽にする』と言っていたのは、こういうことだったんだな」


「ああ。飛行する魔物族なら逃げられるかもしれないけど、空が飛べる種族って案外少ないからな。多少の数が生き残ったって、脅威にはならないよ。まあ、ここにいる俺たちは少し危ないかもしれないから、水が来る直前に、どこかに避難しておく必要があるけど」


 雨を降らせて湖の水位を増やすことも、堤を作ることも、ここまでは全て順調にいった。後はその工作がどんな結果をもたらすのか、見守るだけだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 慌てるな。これは孔明の策だ!(`・ω・´)っ キタキタキタキタキタ キタ――(゜∀゜)――!! なんか キタ――(゜∀゜)――!!(スミマセン興奮してます) [気になる点] 邪魔だから…
2021/11/22 20:07 退会済み
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