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何でも大臣と女魔王様の建国記 ~人口の九割を従えている四天王を追放したせいで古巣は崩壊したみたいだけど、そんなことより俺は新しく建国した王国で魔王の娘と楽しく暮らします~  作者: 三羽高明
二章 何でも大臣、精霊の国と交渉する

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コンテスト、閉幕!(1/1)

「ごめんなさい、エレズ……。負けちゃったわ」


 ラティーナが意気消沈した様子で謝罪をしている。


 コンテストが終わり、優勝賞品の授与も終了して、会場はすでに撤去作業が始まっていた。観客たちも、先ほどまでの熱戦の様子を話の種にしながら、その場を後にしている。


 司会者の言葉通り、優勝はルーシーに決まった。


 他の参加者もさぞかしこの決定に不満があるだろうと思っていたのだが、皆「宰相様が相手なら仕方がない」と考えているようだった。


 どうやらルーシーの人気は相当のものらしい。これなら裏工作なんかしなくても、ちゃんと優勝したんじゃないだろうかと思わずにはいられなかった。


 ラティーナの落ち込みっぷりは甚だしかった。なにせ、戦いの舞台にも上がれないまま、不戦敗してしまったのだ。


「俺は、ラティーナ様に票を入れるつもりでしたよ」


 すでにラティーナはあのドレスを脱いで、いつもの飾り気のない格好に戻っていた。エレズの推測したとおり、あれは露店から借りてきた服だったらしい。


 そのことを少し残念に思いつつも、エレズはラティーナを慰めた。


「ラティーナ様が一番です。俺の中では、ラティーナ様が優勝ですよ」

「……エレズがあの人に拍手してなかったの、見えてたわ」


 ラティーナが目を潤ませた。


「あのね、私……嬉しかったの」


 ラティーナが苦笑いした。


「エレズがエーテル王国に引き抜かれるかもしれないって話を聞いて、私、とっても焦ったわ。エレズがいなくなってしまうんじゃないかって……。私よりも、宰相さんを選んじゃうんじゃないかって思ったの。だから私、このコンテストに宰相さんも出てるって知ったときに、絶対彼女に勝って、彼女よりも私の方がすごいってエレズに分かってもらおうと思っていたんだけど……」


 負けてしまったわけだ。エレズはラティーナの肩に手を置いた。


「たとえコンテストでは勝てなくても、俺にとってはラティーナ様が一番ですよ」

「……ありがとう」


 一体どこで引き抜きの話を耳にしたのだろうという疑問はあったが、それよりも、ラティーナを不安にさせてしまったことをエレズは申し訳なく思っていた。


「でも……優勝賞品、取れなかったわ……」

「それなら心配いりませんよ」


 なお気落ちするラティーナをエレズはなだめる。


「実はルーと話し合ったんです。それで、ラエゴブ王国とエーテル王国は、これから貿易をすることが決定しました」


「えっ、そうなの?」


 ラティーナが目を見開いた。


「もしかして、ここに来てエレズがすぐに宰相さんのところへ行ったのって……」

「はい、彼女と交渉をするためですよ」

「そうだったの……」


 ラティーナは安堵したような顔になった。


「さすがエレズね。あんな短い時間でよくそんなことができたわ」

「それだけじゃないんですよ。実は、優勝賞品も、ルーに譲ってもらいました」


 エレズは懐から一枚の紙を出した。ラティーナが首を傾げる。


「『旅行券』……って書いてあるわね。場所は、エーテル王国西部地方?」


「エーテル王国の観光名所なんですって。嵐が吹き荒れる丘とか、夜が明けない森とか、その反対に、ずっと日が沈まない町とかがあるらしいです」


「ふーん。変な場所ね。でもこの旅行券、本当にもらっちゃっていいのかしら? ……私、もしかして宰相さんに同情されちゃったの?」


「いや、多分そういうわけじゃ……。ルーは、『私は仕事が忙しくて遊びに行ったりする暇がないから、良ければどうぞ』って言ってましたよ」


 エレズの予想通り、ルーシーは多忙な日々を送っているようだった。いつか体を壊さないか心配になってくる。


「それにしても、あっさりと交易の約束を取り付けちゃうなんてね……」


 ラティーナはエレズの業績を評価しているようだったが、同時に、何となく複雑そうな顔になった。


「……ってことは私、別にコンテストに出る必要なかったのね」


 無駄な争いの挙げ句、無様に敗北を喫してしまったことに、ラティーナは未だに納得がいっていないようだった。


 エレズは苦笑した。


「でも俺は、ラティーナ様が出てくれてよかったって思ってますよ。だって、ラティーナ様、すごく輝いていました。あんな素敵なラティーナ様を見られて、本当に幸運だったと思います」


「もう、エレズったら……」


 ラティーナが頬を染めながらこちらを見つめてきた。


 エレズは彼女の青い瞳から目が離せない。


 ラティーナの肩に置いていた手のひらが熱くなってくる。胸の鼓動が、段々と速くなっていくような気がした。


(ああ……やっぱり、いつものラティーナ様もいいな……)


 特に飾った格好でなくても十分素敵だ。


 ラティーナの唇が、何か言いたそうにゆっくりと開かれた。


「おーい、二人ともー! ルーシーの祝勝会をするぞー!」


 雰囲気をぶち壊すような大声で、キュアノスがエレズとラティーナの間に入ってきた。


「わ、分かったわ!」

「うん、行くよ……」


 二人とも真っ赤になってキュアノスに従い、その場を後にした。しばらく、お互いの顔は見られそうになかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほわあああああああ♡ ふわああああああああああ♡ ステキな雰囲気……うっとり…… どっちもほんとに初々しくてかわいくてもーっっ おばちゃん頭なでたろ! 可愛い可愛いウンウンウンウンウン…
2021/11/07 15:36 退会済み
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