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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第一章 森の強者
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第8話

 おはよう皆!私は今、施設内にいるよ!


「ぐっぐおお…」


 筋肉痛…噂には聞いていたが…まさかここまでとは!


 そう、俺は今、絶賛筋肉痛になっている。


「話が違うぞ謎の声…重篤な病には掛からないのではなかったのか謎の声…」


 まあ、勿論、筋肉痛が重篤な病等とは欠片も思っていないが、さりとて文句は言いたくなるものである。


「くっ…まさかこんなに痛くなるとは…」


 ノーレッジを含む国王の体は、長期間の戦いと生存を考えられて、構成されているため、色々な特典が付いている。


 例えば、命に関わったり、その後の生活に支障をきたす怪我や病は、自動的に治ったり、そもそもならなかったりする。


 例えば、最初期に原生生物に襲われることも加味して、少しだけ身体能力が上がっていたりする。


 例えば、戦闘に支障をきたさないようにと、戦闘中、またその前後には、痛みを感じにくくなっていたりする。


 つまりはそれである。


 ちょっと高めな身体能力に酔って調子に乗り、入れ食いと言える程のゴーレムの戦闘で痛みを感じにくくなり、1つ目の効果があるから大したことにはならないと、たかをくくった結果が今の惨状である。


 外では「夜中の活動は防衛のみな」という主の命令を、律儀に守ったゴーレム達が、伐採を再開している(仕事を増やしている)


 かなりの絶望を感じるノーレッジだが、通常型ゴーレムが戦闘を開始したことで、動けるようになる。


「仕事…終らせる…仕事…増やしたくない…」


 ゆらりゆらりと揺れるノーレッジは、思い足取りで外へと向かう。


 しかしてそこでは―――


 ―――巨大猪と通常型ゴーレム達が戦っていた。


「………へ?」


 え?いや、おかしい!一昨日確認した時点では猪の獣道は無かったはず!


 しかしその疑問は、奥へと逃げて行く小型肉食獣の姿を見て霧散する。


「あいつ…!猪連れてきた上に擦り付けやがった!」


 猪を正面から受け止めるも、ジリジリと押されている通常型1号を尻目に、2号が殴り掛かるもこれを回避。


 このままだと、此方が先に崩れるのは明白で、ジリジリとした焦燥感が襲ってくる。


 掘削型ゴーレムを含む技能系は、直接攻撃が出来ない上に、戦闘が始まっていても仕事をし続けるという、超ストロングスタイルなので、大概直ぐに破壊されるのだが………掘削型ゴーレム先生は生き残ってる!というか猪の直ぐ側で木の根掘り出してる!


 それでも猪が襲わないのは、攻撃がないことを見抜いているのか…それとも、攻撃をすることで何かデメリットがあるのか…


 先程の攻防を見た限りだと『通常型の攻撃が避けきれないから』というのが、有力な所である。


 というかさっきからコーンコーンうるさいんだけど!今良いシーンなんですけ…あっ!猪が突っ込んだ!通常型は1号と2号で押さえ込む形だけど…まだ、押されてる!…くっ…やっぱり厳しいか!


 恐らくあの猪は、木や岩なんて簡単に壊してしまうのだろう。そう…正にあの木のように………あの木のように?


 開拓予定地のなかでも、頭1つ大きい巨木。


 今倒すと、他の木材予定の木を駄目にしちゃうからという理由で、放置されていたそれが今、大きな音を立てて倒れて行く…それも猪に向かって…


 その巨木が倒れることを悟った猪は、全力をもって逃げようとするが、今までのはなんだったのか、と聞きたくなるような剛力で、通常型2体が押さえ込んで行く。


 そうして倒れたその巨木は、通常型が押さえていない、猪の下半身を見事に撃ち抜いた。


 その効果は絶大で、今までパワーで押していた猪の剛力は、後ろ足が折れたことで消失し、今までスピードで避けきっていた攻撃は、その全てが当たる。


 その結果訪れたのは…我々の勝利であった。


「ばっ…伐採型大先生ぇぇぇぇぇ!」



 その後の調査で、ただ単に回りの木がなくなったから、順番通りに巨木に手を付けただけ、という衝撃の事実が明らかになったのだが、それを読んで動いた、通常型の読みは、凄まじいの一言である。


 ゴーレムには、行動をこなす毎に最適化していく能力があるが…まさかここまでとは…


 それは、昨日の数十連戦の凄まじさを物語るものであり、ゴーレムとしての能力を、惜しみ無く発揮した結果であった。


「これが戦闘型だったら…熊との直接戦闘も視野に入ったのかなぁ…」


 しかしそれでも、熊には及ばないということを再確認し、少し気落ちしたノーレッジであった。



 カン!カン!カン!カン!カッコゴォ………ズズゥン………


「えい!はあっ…はあっ…えい!はあっ…あのっ…大…先生…手…加減…を…」


 カン!カン!カン!カッコゴォ………ズズゥン………


「大先生!ペースが上がってます!最適化が進んでますよ!」


 勿論、最適化が進んでいるのは戦闘だけでは無い。


 木を伐採する速度も、それを運ぶ速度も上がっているのである。


 カン!カン!カッコゴォ………ズズゥン………


「あぁぁぁぁぁ!枝落としが…枝落としがぁぁぁぁぁ!」


 とうとう、枝落としが一本に対して、伐採が二本の時代が訪れる。


 カン!カッコゴォ………ズズゥン………


「お慈悲を!お慈悲をー!」


 戦闘が終り、段々と来る痛みを感じながら…今日も今日とて枝落とし…


 カッコゴォ………ズズゥン………


「やってられ…いったぁ!」

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