第6話
では、やらなければいけない事を発表しよう。
薪集めと石拾いだ。
理由としては、今現在持っている水と食料、その全てが生というところにある。
知ってる人は知っているかもしれないが、川の水なんかを生で飲むと腹を下すらしい。
中には耐性を会得して、大丈夫な者もいるかもしれないが、俺にそんな耐性は無い。
調理機器が一切無い現状、運搬型の籠に焼いた石を放り込み、なんとか沸騰させるしかないと、俺は判断した。
肝心の着火道具は、数は少ないけれど、施設内の食料に混じって置いてあるのを確認した。
だから、今必要なのは薪である。
………ということで、森の中にやって参りました~
ある日森の中を実践しないよう、無茶苦茶警戒していて、正直足元なんて殆ど見えてもいないんだが、それでも問題無いくらい、薪は見付かる。
そうして見つけた薪を腕一杯に抱えて拠点へ帰る。
都合三度目のこの往復も、これで終わる。
というか終わらなければ、日が暮れる。
ということで、施設まで戻って来た。
薪探しに森まで入ったことについて、疑問もあると思うので…火打ち石で、着火しながら説明しようと思う。
えっと、このもけもけな枯れ葉にっと…よいしょぉ!…ふう。
疑問を持つ人なら察しているとは思うが、目的の薪と、石は、施設回りをぐるりと一周して集めきった。
「よし、2回目だ、よいしょぉ!…ふう」
それでも森に入ると言う事は、それなりの理由があるわけで…
「三、回、目ッ!」
その理由というのが―――
「四!五!六!七!八!」
―――獣道の捜索である。
「九!十!十一ッ!十二ッ!十さっ…キタキタキタ!」
昼間に行った川は、施設を正面にして右の方角にあったので、今回はその他の探索へと赴いた。
「フー、フー、フっあっちっとと、よしついた」
なにも知らずに、拡張して獣道にかち合ったら…それは即ち避けられない戦いを意味する訳で…
「移れー移れー移れー、っ!よし!来た!」
それを避けるために、探索へと赴いていたわけである。
「このどうせ汚れるのにと思いながら綺麗にした石を入れて…」
幸いにして、この周辺に獣道は無かったようで、その心配は無さそうである。
「はい、運搬型、ここに座ってくれ!」
それもこれも、あの原生生物のテリトリーだからな気がしてならないのだが…うん。
「後は焼けた石を…この枝で…よっと!」
ああ、1つ朗報なのだが、今回見た範囲のなかに、熊の爪痕らしきものは見付からなかったので、取り敢えず、この近辺にはベアー殿はいなさそうだということが、解った。
「解ってたけど全然足りない…はぁ…追加も焼くか…」
あのクマさん、律儀に印付けながら歩いてたからね…頭いいんだろうなぁ…
「芋も一緒に焼くか…ほい」
とにかく、あの川には極力近寄らないことを、熊対策としよう。
「石ほいっ!…お?湯気たってきたぞ!」
小型の肉食獣位なら、通常型でもなんとかなるかもしれないしな…
「石を焼きながら、芋を食う~あっつ!でもうまぁ…食事最高ぉ…」
言い忘れていたが、通常型の特徴は、万能性である。
「石を入れて、さらに焼く~ほいっと…コポ?今コポって言った?」
伐採型なら伐採!みたいな長所が無い代わりに、どんな行動でも取れる便利さがある。
「おお、きてる、煮たってきてるよ!」
逆に言えば、伐採型は伐採しか出来ないし、剣型なんかも戦いしか出来ない。
「後は冷めるのを待つだけだな…手が汚れてるから直接すするしかないし」
まあ「斧の上に芋置くから動かさないで」位の命令なら、聞いてくれるんだけどな…
「もう…いけるか?よっと…熱っ!でもうまぁ…飲食最高ぉ…」
なんにせよ、これで今日のノルマは達成だな。
火を起こして、水を飲む、達成である!
…これで明日腹を下していたら………察してくれ…