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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第四章 動乱の夜明け
47/70

第46話

「ダラッセイ!」


 ブウォン!


 剣圧で土を吹き飛ばした!?


「………シッ!」


「ッ!チッ!」


 ッ!左腕で狙撃を!


 クッ…今の完璧な狙撃でも防がれるのか…


「「「国王様!」」」


 あいつが国王だと!


 …また国王が一番強いパターンか…やめて欲しいぜ全く…


「射つな!」


 片手を上げて、盾型の後ろに歩いていく。


 ハハハ…奴さん(敵国王)、腕に刺さった矢、抜きながらこっち睨んでるんだけど…


「お前がここの国王だな?去年見たぞ!」


 ワーオ見られてるぅ…奴さん女性だけどこんなモテ方は嫌だなぁ…


「発狂しながら木の枝落としてる時には楽勝と思ったが…なかなかどうして骨があるじゃねぇか」


「ハハハ、そりゃどうも」


「どうだ?今なら私の物にしてやっても良いぞ?」


 ワーオモテてるねぇ…


 敵国王が異性の場合…或いは敵の親族に異性がいる場合のみ、負けても生き残る道がある。


 それは…婿入り、或いは嫁入りである。


 勿論、自分の国の全てが相手に渡るので、戦争に負けたのと同様の処理が行われることにはなるが、自分とその親族は生き残れる。


 まあ、二度と裏切れない属国みたいな存在になるわけだ。


 …で、この状況でそれを言ってくるって事は―――


「ついさっき、国王が変わるようなことはするなって言われたもんでね!断らせてもらうよ!」


「やっぱそうだよなッ!」


 ―――奴さんは相当ピンチって事だ!


「盾型!」


 盾型を前に押し出し、自分は後ろへと走り出す。


「甘いわっ!」


 ッ!盾を駆け登る!?んな無茶苦茶な!


 そのまま跳躍してこちらに跳んでくる敵国王を尻目に、掘削型へと指示を出す。


「それはもう見た!」


「………シッ!」


 土に対して剣を振るうのと同時に、弓兵による狙撃が炸裂する。


「それも…チッ!」


 先程攻撃を受けた左腕で防ごうとしたのだろう。


 到来した矢はしかし、その右足を貫いた。


「貰ったぁ!」


 しかし勢いは止まらない。


 急所を左腕と剣で守り、一直線に飛び込んできた敵国王はしかし、同じく跳んできた剣型への反応が一瞬遅れる。


「伏兵か!」


 ズバァン!


「「「国王様!」」」


 吹き飛ばされる敵国王に、悲鳴を上げる襲撃者達。


「今だ!盾型!」


 俺が現れたことで中断していた作戦を、再度始動する。


 これで後は、妖精さえなんとか出来れば…


「降参する!」


 これから追撃を…という所で、土煙の中から声がする。


「剣型止まれ!」


 そこには、両手を上げた敵国王がいて、目の前には『降参が受理されました』と書いてある板が浮いている。


「お前…本当に国王だったのかよ…」


 最後の最後まで、全く信じてなかったところが真実で、若干の動揺を覚えつつも、ボロボロの女傑に声をかける。


「ハハハ!騙されただろう!」


 降参は、自分の敗北を認める事で、戦争を強制終了させるもので、主に、虐殺などに耐えきれなくなった国王が行うことが多い。


 国民の数が減ることを嫌う敵国の国王から、待ったの声がかかることを願いながら…


「じゃあ、私の国民を頼むな!」


「「「国王様ぁ!」」」


 降参を行った国王は、別れの挨拶をする時間を与えられた後、消滅する―――


「おい!待ってくれ!」


「あん?なんだ?」


 ―――基本的には………


「いや、その………俺のものになる気はないか?」


「………ふぇ?」


 例外的に、そこで国王同士が結ばれれば、消滅は無くなる。


 その為なら、時間はいくらか延びるし、なんなら回りの時間も遅くなる。


 何故なら、ルールを創った者(謎の声)が、楽しめるから。


 極々希に起きるそれを肴に酒を飲むことが、その存在(謎の声)の楽しみだから。


 この世界は、そんな無茶苦茶に満ちている。


「どっどどど、どういう事だよ!さっき思いっきり断ったじゃねぇか!」


「いや…それは…国王が変わるからと言うか…なんというか…」


「ああ…そういえばそんなこと言ってたな…で?なんでそんな心変りしたんだ?」


「うーん…いくつか有るけど…一番はあれだな!」


「あれ?」


「こんだけ慕われてる国王が、こんなところで死んで良いわけがない!」


「………あっ」


 国王が一番気にするのは、国の事。


 そんな事は当たり前で、どの国王もやっている。


 だがしかし、そこに追加で国民の事を考えられる国王は、以外と少ない。


 ましてや食糧難で攻め込んだ敵地でまで心配される国王など…


 そんな人が…国王が!目の前で消滅しかけてる?しかも自分の意思で?


「どうだ?もう少しだけ…今度は一緒に、国を動かしてみないか?」


 じゃあ、その命…俺に預けてくれないか?


「フフ…フフフ…フハハハハ!」


 ………どっちだ?


「ハハハ!お前!本心隠せなさすぎるだろ!フフフ…」


 そっそそそ、そんなことないわい!


「ハハハハハ!よし!決めた!」


「はっ…ひゃい!」


「ククク…良いぜ!乗ってやる!」


「…って事は?」


「ふふっ…今日からよろしくって事だよ!」


「………いよっしゃぁぁぁぁぁ!」


 お父さんお母さん…この世界に来てから色々有ったけど、俺はにも今、春が来ました!


 まあ、両親はいないけどね!

 いやぁノーレッジ君、やりましたねぇ…


 いや本当、相手も含めて、凄いですよ…


 最初に考えていた流れを、ことごとくぶった切る相手の女傑に、本人の危機感からか、本来成功する筈の無かったプロポーズを成功させるノーレッジ君…


 いやぁ…凄いなぁ…


 作者の想定を逸脱しているノーレッジは、これからどう動いて行くのか!


 それは、作者にもわからない!

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