第45話
中間の殲滅戦から2ヶ月…秋の実りがやって来たそんな日に俺は―――
「なんでっ!俺以外!全員!」
―――自分の畑の収穫をしていた。
え?掛け声が何処かで聞いたこと有るって?
ハハハ…気のせいじゃないですか?
それはそれとして…全然関係ない話なんですが…
先日、一年組の最後の2人が結婚しました!
いやぁ!めでたい!本当にめでたい!
「腰のっ!痛みなんてっ!これに比べればっ!」
え?何?目から溢れ落ちているのは何かって?
いやいや…えっと…そう!汗だよ!汗!
こんなにめでたいのに泣くわけが無いじゃ無いですか!
いやぁ…しかし…何処で知り合うのかね?
「ああ、水配ってるの?有り難う。後で手伝いに行くよ」
あぁ…疲れた体に水が染みる…
あれ?おかしいな?口で水飲んでるはずなのに、目の辺りから溢れるなんて?
それはそれとして…別の話なんですけどね?いや、全然関係ないんですけど…
最近、水汲み場の近くにベンチが出来たんですよ!
その広さが絶妙らしくて、丁度二人の肩が触れ合うか否かって広さらしいんですよ!
いやぁ…石が焼けるまで立ちはキツイですからね!
「ハイ!よいしょォ!よいしょォ!よいしょォ!」
え?やけくそ?ちょっとなに言ってるか分からないですね!
それはそれとして、めでたい話はまだあるんですよね!
そう!天からの授かり物…子供を授かった夫婦もいるんですよ!
いやぁめでたい!めでたい!めでたいねぇ!
そんな感じで、村の中は幸せ1色である!
「え?俺も手伝う?バカ野郎!てめえの嫁さん今日予定日だろうが!そっち優先しろ!」
妊娠ラッシュから大体11ヶ月…我が村では、空前の出産ラッシュが起きていた!
というか、出産前の男の性なのだろうか?かなりの確率で、俺の畑を手伝いに来るのだが、正直やめて欲しい。
というのも、出産と子育てをするための施設は、教育ポット回りにある堤防の内側に作られており、階段を上り下りしなくてはいけない、
そんな中、手伝いに来てて出産に立ち会えないとかになったら、なんのために出産前後の仕事を休ませてるのかわからなくなる。
全くもう………あれ?戻ってきた?
「国…………襲………」
「え?もっと大きい声でってか嫁さんの………」
「…っはぁッ!国王様!っはぁッ!敵襲ですッ!」
てき…しゅ………敵襲!?
「おい!指揮官!ここにいる全員連れて訓練場に立て籠れ!なんとしても守りきれよ!」
「ハッ!国王様はどちらに?」
「俺は教育ポットまで援軍に行く!」
敵の詳細は解らないがやるしかない!防衛機能は強化しているが、早く行かねば!
「こっ国王様!俺も!…っはぁッ!嫁がポット近くに!」
こいつは…ッチ!不味いな…どうするか………ん?指揮官?
「バカ野郎!この国王様が死んだら終わりだぞ!相手がカツカツの状況下で子供抱えて国王が変わってみろ!どうなるかなんて解りきってるだろ!」
思いっきり殴ったぁ!
え?なに?あなたそんな力に訴えかける人でしたっけ?
「でも…でもよぉ…」
「うるせぇ!」
もう一発行ったぁ!
凄いな…割と吹っ飛んだぞ!
「ハッキリ言って足手まといなんだよ!てめぇが行って国王様が死んでみろ?俺はてめぇを一生恨むからな?」
そういえば、指揮官の嫁さんってこの前妊娠が発覚したんだったか…
「早く行ってください国王様!こいつは引きずってでも、訓練場に連れていきますから!」
それでか…よし!
「わかった!ポットは俺に任せろ!」
なるべく早く行かな………
「国王様!」
いや、引き留めるんかい!
「任せました!」
「………おう!」
今度こそ早く行か………
「国王様!」
もうなに?折角キマッてたのに………
「フラグ立て無いようにしましょうね!」
「………基礎教養1のバカ野郎ぉぉぉぉぉ!」
そんな教養要らないってぇぇぇぇぇ!
走って走って、やっと前線らしき所にたどり着いた。
ドォン!
「ッ!土煙!」
ノーレッジは、家の影から土煙が立つ場所を覗き見て、唇を噛む。
「妖精っ!」
その姿は小さく、されど放つ魔法は強力で…こちらの通常型は、一撃では倒れずとも、数発の内には…
唯一救いなのは、敵の武器が木剣で有ることか…
「釣りは…厳しいか…」
既に、前回のT字路に近い場所まで入り込まれていた事を利用して、前回使い損ねた作戦を始動する。
「盾型ゴー!」
一直線の道の前後から盾型が現れ、挟み撃ちにする。
横幅がゴーレム1体分の中、二列になっての挟撃は、奴を釣り出す為の罠………
「セェイ!」
木剣で通常型を切ったぁ!?
なっなっなっ…なんじゃそりゃぁ!
「我に続けェ!」
「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」
クソッ!前側に突っ込んできた!
「セェイ!」
ズガァン!
っよし!止めきった!
「腕が駄目なら!」
ッ!跳躍し…って今だ!
「掘削型!」
この村の道は全て掘削型より整備がなされている。
屋根上に土を乗せて準備しておけば………ッ!