第43話
枝落とし王決定戦の火蓋が切って落とされた!
2週間前の成績は、製作組が2本で、複合組が0本、後の組はそれぞれ1本ずつという結果に終わっており、それがどの様に変わるかが見物である。
「さあ、製作組が今回もハイペースで枝を落としていく!」
製作組の最大の特徴は道具である。
「前回の苦情を元に設定された今回のルールでは、使う石は直前に、各チーム1つづつ選んでいく、ドラフト方式となっています!」
時間を掛けて磨かれたその目利きは、今回の道具選びでも光輝き、見事な迄に鋭い物を選び抜いていた。
「さあ言い訳が出来ない他の組は果たして…と、おお!混合組!驚異の追い上げだ!」
おお!上手い!的確に節を撃ち抜いている!
「ここで情報が入って来ました!どうやら混合組内の研究組が、大きく関わっているようです!」
おお!研究組か!確かに、他チームとは違って、全員が二つの石を持っている!
俺も途中やってたなぁ―――
「どの様に関わって…おおっと!ここで兵士組!兵士組が驚異の速度で枝を落としていく!」
―――石一個で枝落とせるようになるまで…
「強い!強すぎる!風魔法の力でぐんぐんと他チームを引き離していく!」
これは…決まったかな?
「いや止まった!止まったぞ!これは魔力切れだぁ!」
ああ!魔力切れか!これはまだまだ解らないぞ!
そして時は進み…
「さあ、いま!猟組女性陣から、正午宣言がなされました!制限時間は残り10秒です!」
「「「十!九!八!七!六!五!四!三!二!一!0!」」」
「さあ!そこまでです!」
猟組と農業組を除いた他三組は横一線だ!
「猟組と農業組は、同率で2本となっています!」
おっ計測終わったか?
「同率3本で並んでいた三組ですが!今!結果が出ました!」
どうなるどうなる!
「兵士組!木材3本と枝2本!」
一瞬で木材を完成させた瞬間は、若干意識が遠のいたが、魔力切れからの失速が痛かったな!
「製作組!木材3本と枝4本!」
流石は製作組、前回から成長しつつ、安定した枝落としは、見ていて安心するほどだった。
「混合組!木材3本と枝12本!」
「「「っしゃあぁぁぁぁぁ!」」」
下馬評では圧倒的最下位であった混合組だが、その全てをひっくり返した!
「予選勝者は!混合組です!」
「「「ワアァァァァァ!」」」
他チームが石1つで挑むところを、研究組の考えの元変えてきた!
この2週間、一切のヒント無しでここまでたどり着いた彼等には、後で何かご褒美をあげ無くては!
「それでは昼休憩の後、決勝戦です!」
ガヤガヤと賑わう昼休憩中…俺は、闘志を燃やし続けていた。
予選の合計本数は11本…
しかも前回と比べ半分以下の時間でこの成長…どれだけ真剣に練習していたかがわかる…
…そしてどれだけ暇だったのかも…
だからこそ、俺は…ここで!本気を出す!
デスマーチ中に編み出した最高効率で、迎え撃とうと思う!
「さあ!昼休憩も終わり、決勝の時間と相成りました!」
目の前には目を爛々と輝かせた混合組がいる。
「それでは早速!決勝戦………始め!」
「「「ワアァァァァァ!」」」
それに答えるように腕を振り上げ、下ろす。
「前回の半分の時間でどう国…王…様………が………」
そこには、2本の枝が落ちていた。
「「「す、凄げぇぇぇぇぇ!」」」
通常、十数回叩いて落とす枝を、ただの一振りで2本落とす…
「怒涛の追い上げ!物凄い勢いで枝が落ちていきます!」
これが…これこそが!
「それに答えるように混合組もペースを上げますが…」
俺の…奥義だ!
「速い!圧倒的速度だ国王様!どんどんと枝が落とされていく!」
「さあ!猟組女性陣から仕事終わりの宣言がなされました!制限時間は残り10秒です!」
「「「十!九!八!七!六!五!四!三!二!一!0!」」」
「そこまで!すぐに計測を始めてください!」
はぁ…はぁ…流石に疲れる…
「はい!それでは結果発表です!」
さて!どうなったか…
「混合組!木材4本と枝5本!」
更に成績を伸ばしてきた!大の字で倒れているのも納得の成績だ!
…ただ…枝落としてる最中数えてなかったから…どうなっているか解らない…
「対する国王様は………木材15本と枝14本です!」
「え?どっちだ?」
「予選の合計は…あっくそ!計算できるやつここにいねぇじゃん!」
「早く結果を言ってくれよ!」
「合計結果は………混合組15本対、国王様15本!予選の枝は考慮されないので………枝の本数5対14で国王様の勝利です!」
「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」
あっ…あっぶねぇ!
奥義出しながら危うく負けるとこだった!
「これにより、初代枝落とし王は…国王様となります!」
「「「ワアァァァァァ!」」」
でも………勝ったぞぉぉぉぉぉ!
そうして終わった共同生活最終日…
宴がおこなわれたその夜は、笑いが絶えることは無かったという。
ノーレッジ王国は、今日も平和です!