第42話
ザアァァァァァ…ザアァァァァァ…
「おお、降ってんなぁ…」
堤防を作ってから3週間と少し…どしゃ降りの雨の中、俺は今、教育ポット施設前の、枝落としの場所に来ていた。
去年と同じ位の雨量なので、水路の増水対策は機能するはずだ。
とはいえ、去年の様なダムが決壊して…みたいなこともあり得るので、雨季が始まってからは、堤防の有る教育ポット施設内での集団生活となっている。
「いや、国王様…それ、上の空の速度じゃないですって!」
去年の事を踏まえ、雨季が終わるまでの堤防外への移動を制限したところ…「暇で暇でしょうがない」という、苦情が殺到した。
といっても、堤防内に有るのは俺の仕事場しかなく、「じゃあやってみる?」と言ったところ、満場一致で頷かれたため、今に至る。
「ハハハ…なに言ってるんだよ?こんなの、大先生初期の頃に勝てるかな?ってレベルだぞ?」
「いやいやいや!早いですから!手だけ別次元の動きしてますから!」
そうか?確かに、「雨降ってるな~」と思いながらも手は動かしていたが…
「いやでも、建築組が持ってく速度よりかなり遅いぞ?」
「「「あっ…」」」
「最近の革命続きで、消費ペース高かったしな」
「「「あっあっ…」」」
「板にも需要が出て、その原材料としても消費されてたからなぁ…」
「「「あっあっあっ…」」」
「いやぁ…こんなにゆっくり出来るのなんて久しぶりだなぁ…」
「「「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!」」」
一斉に土下座したぁぁぁぁぁ!
なに?なんなの!
「いやいや!頭上げて!というか妊婦さんは今すぐ上げなさい!」
「「「で…でも…」」」
「でもじゃない!大体こんなの、ココロヲコロセバ、イクラデモデキルンダカラ」
「「「うわぁぁぁぁぁ!手遅れだったぁぁぁぁぁ!」」」
「エダトル、モッテカレル、エダトル、キ、フエル」
ああ、いつまでやっても、一向に増えないストックと、どんどん増えていく仕事…
「おっお前ら!雨季が終わるまでになんとしてもストックを増やすんだ!」
「「「おう!」」」
「イッポン、オトシテ、モッテカレル、イッポン………」
「掛かれぇ!」
「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」
そんなこんなで始まった枝落とし大会は…
「くっ…全然削れねぇ!どうやってこんな太い枝………なっ!」
「イッポン…」
1対48という組分けで始まり…
「よし!建築組で1つ終わらせたぞ!国…王…様………3…つ…だと?」
「マダ…コレジャア、マダオソイ!」
その日の夕方まで続いた。
「そこまで!」
「「「終わったぁ…」」」
「………はっ!」
一年数ヵ月間…死に物狂いで手に入れたその技術は―――
「13対5で…国王様の勝利!」
―――圧倒的であった!
「「「つっ…強えぇ…」」」
男組が枝を落とした木材を見て驚く。
それは、最初の頃の木材にそっくりであり…今の木材とは、全然違ったからだ。
「俺…成長…してたのか…」
その事実を実感すると同時に、色々なものが、思い出と共に込み上げてくる…
初めて枝を落とし、大先生に大敗した思い出…
少しだけ成長を実感するも、3体に増えた伐採型に、大敗した思い出…
家の建築と共に始まった、1日2食のデスマーチ…
建築が終わり、堤防の為にと貯めていたはずが、革命によってどんどんと無くなっていくストック…
「良い思い出欠片もねぇじゃねぇか!」
涙引っ込んだわ!なんだよ!負けかデスマーチの二択ってどんな二択だよ!
「「「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!」」」
空に向かって叫ぶ国王に、土下座する国民。
「ああ、もう滅茶苦茶だよ!」
それを何処かからか覗いていた謎の声は、腹を抱えながら大笑いしていた。
それから2週間後…
雨季の終了と、川の水量が落ち着いてきた事を理由に、集団生活が終わりを告げようとしていた―――
「第一回!枝落とし王の開催を、ここに宣言します!」
―――この祭りを最後にして。
「「「ワアァァァァァ!」」」
「司会進行は、我々兵士組の指揮官が交互に行います!」
雨季の間に企画されたこの祭りは、チーム対国王で、どちらが多く枝を落とし切るかという内容になっている。
「今回の大会では、実力差があまりにも有りすぎるということで、ハンデが設定されています!」
この2週間、ひたすらに練習を続けてきた男組達は、いったいどこまで成長しているのか…
「まず、予選を戦う『農家組』『猟組』『製作組』『兵士組』『融合組』の中で、1組の勝者を決めます!」
ふむふむ、俺の参加は最後になるわけだな。
「そしてその予選の合計本数と、勝ち上がった1組の決勝での本数が、我々の合計得点となり、決勝で国王様が落とした枝の数と競われることになります!」
え?予選の合計も足しちゃうの?その組以外も?
「それでは予選!」
いや、それハンデ有りすぎじゃ………
「始め!」




