第41話
「堤防作りの時間だぁぁぁぁぁ!」
「「「ヒャッハァァァァァ!」」」
前回の宴から1ヶ月。
猟師と農家から、そろそろ雨季に入りそうとの報告を受けて、今現在は川の近くへと来ている。
今回作る堤防は片側…つまり村のある方角のみに作る予定である。
というのも、これまで猟組の優秀な狩り場として機能していた、向こう岸なのだが…
この度、外部より流入してきた、中型雑食原生生物の群れ複数により、見事に壊滅状態となったそうだ。
しかも、メインが猿タイプなので、食用にも出来ないとまさに踏んだり蹴ったりで…
前回猿タイプに使った包囲殲滅は、ある程度の空間が無ければ使用出来ないため、今回の増水を利用して、ある程度奥に行って貰おうというわけだ。
その影響から、岩塩の防衛をしているゴーレム達への被害を押さえるため、盾型2体と、通常型5体を追加で購入・配備する事にしたが…
原生生物の濁流にのまれて、行方不明にならないことを祈るばかりである。
「今だ差し込めぇぇぇぇぇ!」
「「「ヒャッハァ!」」」
叫びながら石を差し込む俺のテンションは、実は結構高めである。
前回から高めじゃん?
ハイそうだけどちょっと違うんです!
見てもらった方が早いので、一部だけ板ドン!
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人口 150 (大体の数字です)
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そう!人口が増えてたのだ!
まあ、これのおかげで、増えるのが10刻みでは無いことも判明したのだが…
それはさておき、初の人口増加である!
これで貰えるポイントも増えて、少しだけ楽になるはずである!
因みに、対アイアン王国戦で召喚したゴーレム達は、そのまま元アイアン王国の領地を防衛しているので、我々の王都の防御力は、拡張分だけ日に日に減っている。
大体の国王が、国の開始場所を決めるのは、半年から一年程………だったはず………
「しゃあ!次は岩設置じゃあ!浮いてるとこの隙間に差せぇぇぇぇぇ!」
「「「ヒャッハァ!」」」
しかし…こんなに汗だくになったら、村入れないんだろうな…
は?何を言ってるんだ?と思った方は沢山いることだろう…
それもこれも、全ては産婆の一声から始まった。
「国王様、赤ん坊が生まれた後はどうするのですか?」
「ん?それぞれの自宅に帰ってもらうつもりだけど?」
「え?あの地面剥き出しの家に?」
「まあ、魔法兵の協力で板が作れるようにはなったけど、まだまだ貴重品だしなぁ…自宅になると思うぞ」
「は?」
「え?産婆…さん…?」
「は?」
………そう、我々ノーレッジ王国は…いや、俺はその一声に負け…現在女性陣を中心とした、衛生革命が起きてます。
…なんかね…『基礎教養1』に衛生観念も入ってたみたいでね…
トイレの場所が村外れに設定され、汚れた場合や、仕事終わりには必ず水浴びをし、赤ん坊を育てるためだけの家が誕生した。
現在の標語は「体を洗ってうがいもする!守れない奴は追放だ!」となっており、男性陣を中心に、震え上がっております。
暑くなってきたとはいえ、川の水は冷たく、そっちの意味でも震え上がっていたのだが…
現在、木を削ってその中にお湯を入れる方式の『風呂』が、建築組により、開発されている。
それと同時進行で、前回の畑大規模拡張時に土木に目覚めた者達により、ため池型風呂も、開発されている。
こちらは、ひたすらに土を盛っては通常型で固め、形を整えていく方式であり、始めに差し込んだ木の棒を抜けば水も抜けるという、便利設計となっている。
ただまあ、排水を実現するために湯船が傾いているらしく、そこはご愛嬌と言ったところか。
「はい岩二段目ぇ!もう一回差し込めぇ!」
「「「ヒャッハァ!」」」
因みに、様々な革命が起きている現在、俺の仕事は…全く変わってない。
というかむしろ忙しくなっている。
新しい何かをする度に、木材の要求量増えるんだから当たり前だよね!
ごく稀に、戦闘訓練と称して、兵士組とゴーレムの戦いの指揮をとったりするが、それ以外の時間は全て枝落としに消えている。
ああ、そうだ!訓練の手伝いのお返しとして、一部兵士が枝落としの手伝いをしてくれるようになったんだ!
まあ、枝が落とせなさすぎでぶちギレた魔法兵が、風魔法をぶっぱなすという事件も起きたが、その事件のお陰で、板を作れるという新事実も発見され、魔法兵は引っ張りだことなってしまった…
うん、一番戦力になりそうな奴が居なくなったよね!
「後は土入れて固めるだけだ!もう解散して良いぞ!」
「「「終わったぁ!」」」
そんなこんなで、曇り空のなか、堤防建設が終了する。
…雨季は…もうすぐだ…