第40話
「行ってらっしゃい!」
「「「はい!また5年後に!」」」
元アイアン王国のメンバーを、彼等にとっては一瞬の…我々にとっては長い眠りへと送り…1ヶ月…
「服が、着たいかー!」
「「「オォォォォォ!」」」
「おめかしした赤子が、見たいかー!」
「「「オォォォォォ!」」」
「ならば我々がやることは?」
「「「耕す!耕す!耕す!」」」
「そうだ!では………宴の時間だぁぁぁぁぁ!」
「「「ヒャッハァァァァァ!」」」
我が村で最近恒例になりつつある、男組による畑大拡張が行われていた。
広げるだけ広げても、管理など無理だと思われていた大量の農地は、全員が植物の声が聞こえる状態であるため、管理が可能となった………
そう!賭けに勝ったのである!
1人30反は持っている現状から、更に拡張する理由は…ひとえに服が着たいからであろう。
糸が作れる植物は、食べることが出来ない。
そんなに余裕が無い現状、衣服のために畑を使うと言うのは、悪手とも言える………が、植物知識班の一声がそれを一変させた。
「食料と比べると?何言ってるんですか?麦育てた後に、これ育てる予定なんですよね?」
「へ?来年も同じの育てようかと…」
「は?」
「え?いや、俺国王…」
「は?」
………そう、我々ノーレッジ王国は…というか俺は、その一声に負け、畑の量を拡張することとなった…今麦を育ててる範囲分…
お、俺は悪くねぇ!全部あのれんさしょうがい?とか、はたけのえいよう?とかいうやつが悪いんだ!
まあ、そんな感じで、今では植物知識班の主導で作物が決まっていく事が、通例となりました。
あっ因みに、仕事を奪われた形になる古式改良班は、「これで改良に専念できる」と、大変喜んでましたよ。
「っしゃあ!耕し終えた!」
「行けぇ!」
「「「ヒャッハァ!」」」
完全に畑を奪いに行くとしか聞こえない、この世紀末の住人も、きちんと仕事をしている。
追い出された…とも言えるが…
「何から?」と問われると、「耕すことから」としか言えない………
…はい!我々非農業組は!耕すことから戦力外通告を受けました!
だってしょうがないじゃないか!
三倍だぞ!三倍!
その位スピードに差があったんだよ!
三反耕し終える間に一反しか…それもかなり汚くしか耕せない我々は、正直彼等にとっては邪魔だったのだろう。
二日だ!たった二日で我々は戦力外となった…
ただ、誰も反対は出来なかった…
何故かって?彼等無茶苦茶働いてたもん!
俺達の指導をして…自分達も耕して…汚い畑を綺麗にして…
非農業組の5倍位働いていた彼等に、文句を言える者など誰もいなかった…というか、言った奴は笑顔で鍬を向けられていた…
あの土下座…綺麗だったなぁ…
まあ、そんな事情もあり、我々非農業組は、畑に転がっている石や、埋まっている岩などを取り除き、運び、貢献している。
ただ、それらは全て耕している途中には出来ないため、このように終わるのを虎視眈々と狙っているわけだ。
無論、石除去組以外にも、種まき組や、水路拡張組等もいる。
水路の作り方は、相も変わらず、掘削型が掘り、通常型が殴り固める方式で、各所に丸太橋が架けられている。
増水してる今がチャンスとばかりに、ため池も量産しているので、仮に日照りが続いたとしても、なんとかなりそうな水量は確保できている。
最初期の、良く解ってない時に設定した畑の形のおかげで、無茶苦茶水路が引きやすく、碁盤目状に作られている畑と水路は、もはや我が村の名物である。
…そういえば、毎回水路を増設する度に、水草やら貝やら、水質を保つ物を増やさないといけないと、謎の使命感でどんどんとため池が豪華になっているのだが…なぜだろう…
種まき組の方は、これまでの拡張時に採取した種の中から、毒見済みのものを蒔いている。
先程自分でも体験したのだが、種を蒔こうとすると、どのくらいの間隔で、どういう場所に蒔けば良いのかが、感覚的に解る。
先程、建築組が枝と葉っぱを利用して、木陰畑を作っていた意味も良く解る。
…まあ、風に飛ばされたのだが…
この光景も、秋には様変わりしているのだろうか?
今から、秋の収穫が楽しみになっているノーレッジであった。
糸を作れる植物は、この世界特有の植物です。
謎の声の「栄養を増やしたり、整えたりする植物が他でも使えるって最高じゃね?」という考えの元作られた、実験作でもあります。




