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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第三章 目覚めと国民
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第33話

 次に行くか…と少し寂しく言って、次に来ましたは研究所。


「先程と同じ見た目ですが、これは何の施設なんですか?」


 …まあ、見た目はただの住居なんですけどね…


「ここは研究所だな、既に必要そうな素材は持ち込んでいるから、道具の発注が終われば、すぐにでも取り組めると思うぞ」


 そしてお待ちかねの研究者の内訳発表である!


 まず一つ目は、基礎鉱石知識である。


 これは、各惑星に多くある、一般的な鉱石の、生成される条件や、どの様な使われ方をしているかという知識が得られるものである。


 基礎教養1が必要な為に、一年掛かった医療組と違い、これ単発で一年掛かる鉱石知識の知識量は折り紙つきで、惑星特有の鉱石は解らないものの、大抵の鉱石は判別出来る能力が有る。


 一つ惜しむらくは、専門知識が欠片もない我々では、彼等の言う言葉の意味が、今一解りづらい事だろう。


 現に今も、大氾濫で流れ着いた石を見て、興奮気味に捲し立てているが、捲し立てている相手が同種の研究員で、更に2人とも興奮しているため、なにを言っているのかてんで解らない。


 まあ、後で詳しく教えて貰う予定なので、その時に解るのだろうとは思う。


 そして、基礎鉱石知識を選んだ理由だが『先を考えて』である。


 我々ノーレッジ王国の長所は、教育ポットによる、知識の取得である。


 ただ、それは短所でもあるのだ。


 どれだけ得られるといっても、知識は知識であり、物品ではない。


 例えば、鉄の精錬方法を知っていたとしても、肝心の鉄鉱石が無ければ、それは無用の長物となる。


 その様な事態を、未然に防ぐために選んだのが、基礎鉱石知識となる。


 後々の重要資源となる鉱山を、どこの国よりも先に押さえる。


 それが、彼等に課された目標となる。


 次の二つ目は、基礎植物知識である。


 これは各惑星に多くある、一般的な植物の、生育条件や、現在の生育状況から、どの時期に種を植えれば良いか、といった知識を得られるものである。


 そしてその他にも、特に今の我々に必要な知識として、毒性の有る植物の毒抜き…


 つまり、今まで食べられなかった植物を、育て、食べることが出来るようになる知識を有している。


 既に一つ、どの草食原生生物も食べず、毒持ちとして処理されていたものの一つを、調味料として提出されている。


 この植物は後で、俺が毒見をした後に、国民の食卓に並ぶことになるだろう。


 …いや、国王が毒見って…性能的には正しいんだけど…まあ、良いか…


 そして、基礎植物知識を選んだ理由は『3年後を考えて』である。


 前回産婆さんを説明した時に、3年後位にベビーブームが来ると予想していたのを覚えているだろうか?


 この基礎植物知識を選んだのも、その時の食料事情を危惧してのものとなっている。


 3年程を掛けながら、食料探索や栽培を開始する予定が、今回のベビーブームにより、大幅に前倒しとなったため、大忙しになることだろう。


 先々の食料事情を支える。


 これこそが、彼等に課された目標となる。


 そして最後の三つ目は、基礎動物知識である。


 鉱石、植物ときての三つ目だったので、予想していた人も多いであろう。


 そんなこの知識は、各惑星の動物の特徴として多いものを網羅しており、その動物の特性や、魔法使用の有無などを判断してくれる、非常に有用な知識となっている。


 この人材の登場で、狩りの効率化や、今までは考えもしていなかった畜産への道も開けていくこととなるだろう。


 そんな基礎動物知識を選んだ理由は『周辺環境を知ること』である。


 これは、今村のある周辺を…という意味ではなく、この森自体の環境を知るため、というのが、大きな理由となっている。


 それ如何によっては、村の拡張方向や、開拓地の変更、そんな色んな事柄が変わって来る。


 動物の状況、種類から、この森を把握せよ。


 これこそが、彼等に課された目標となる。


 そんな各2人づつの研究者の紹介を終えた訳なのだが…


 …皆さんももう気が付いているだろう。


 そう…俺が…ここについてから一言しか喋ってないことに!


「お前らもかよ…」


 仕事場を紹介した直後に解散するのは、何かの決まりごとなのだろうか?


「はあ、次に………あっ」


 料理組が…いない?


「いったいどこ…に…はぁ…」


 はい!やりました!とうとうやらかしました!


 料理組さん!自分達で職場見付けて駆け出して行っちゃったよ!どうするの?


 え?なに?もう食材有るって言っちゃったの?そしたら駆け出したの?


 うん…まあ…はい…そんなことだろうと思ったよ!


 はあ、じゃあ一緒に料理組の解説を…


 原生動・植物料理術という知識を手に入れた彼等4人組は、その知識により、各動植物の調理、そして料理の開発が出来る。


 この中で「そんな事か」と思った人はいるだろうか?


 そんな事…そんな事が我々には出来ないのである!そう!誰一人として!


 土器が出来たことで、料理は各家庭でするものになったと言った…それは間違いではない。


 しかし、出来る調理法は、そのまま焼くか、水で煮るかの二択である!


 そうして調理したものに塩を振り、食べる。


 それが、我々の食事である!


 …だが…それも今日までだ!今日より先は、きちんと調理されたものが、各々の食卓へと運ばれる事だろう!


 食事は!娯楽である!


 その日の夕方、各々の家庭は、料理を習ったという、パートナーに喜び、満面の笑顔で口に入れた。


 その表情が変わるのは、パートナーからの「全く成功しなかったんだけどね」という言葉が紡がれてからだった。

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