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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第三章 目覚めと国民
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第30話

 こんにちはノーレッジです!私は今、元戦場である、平原に来ています!


 そこで何をしているかというと―――


「ハッハー!取り放題だぜぇ!」


 ―――石拾いである。


 我がノーレッジ王国では、石の硬度について、一つの基準がある。


 それは俗に、ハイゴーレム、ローゴーレムと呼ばれており、農家が使う鍬や、狩人の使う剣は、ハイゴーレムの物しか使ってはいけない、というルールがある。


 そこで、前回の対中型原生生物(猿タイプ)戦で、ゴーレムの体を削る固さの石が投擲されていたことを覚えているだろうか?


 そう、ハイゴーレムクラスの石が、投擲されていたのだ。


 その石は現状において、最も強い戦略物資であり、最も必要とされているものである。


 ただ、素人目にはどれが固くて、どれが柔らかいかなど解りはしない。


 で、あるならば!投擲の専門家(猿タイプ)に選別して貰おうではないか!


 というのが、前回のサブ目標であったのだが…


 まあ、見事に達成出来たので、こうして拾いに来たわけである………一人で………


「なんでだよ!」


 まあ、解るよ?こっちに来てから7ヶ月…季節も秋を迎え、そろそろ冬に入ろうかという季節である。


 前回の殲滅戦だって、初の越冬だから、多すぎる位で十分だという考えの元伐採してたら、偶々中型の群れを発見して、これ以上の伐採は群れを倒してからでないと…となって計画されたものだしね!


 猟組は現在、冬のための保存食作りに精を出している。


 その他にも、毛皮を利用しての布団や、簡単な衣服など、猟組の仕事は多岐に渡る。


 そんな中での殲滅戦参戦は、前々から次の殲滅戦への参加が決まっていた事実が有っても、反対されていた。


 中型の種類が猿タイプと、食用にはしない種であったことも、その意見を後押ししていたが…


 結局、木工組の「経験してなくて、後から後悔するのは…辛いぞ」という、とても心の籠った一言により、参戦が決定された。


 そんなところの人、石拾いに借りれるわけ無いよね!


 え?じゃあ他の人に力を借りれば良いって?


 猟組以外となると…製作組か、農業組だな!


 まず、製作組だが、今はどの組も越冬の道具や、日常生活に必要になる道具の作成をしている。


 特に建築組は、元沼であろう場所からの、粘土採取によって、雨漏りしていた場所の改良や、新たに作られる個人宅へのストーブ設置等、仕事量が爆増している。


 石を土台にしたストーブを、木製の壁に引火させないように作る…


 彼等は、いつぞやの木工組と同じ顔をしていた………


 いや、呼べないよね!もう、鬼気迫る表情してんだもん!無理だよ!


 じゃあ、農業組はどうなんだって?


 農業組が、栽培組と、改良組に別れていたのと、改良組が、管理は栽培組がすると言っていたのを覚えているだろうか?


 あの後、改良組は、有言実行のごとく、耕すことから管理まで、栽培組へと丸投げした………そう、新たに植える植物を決めるまでは…


 秋に実を落とす植物から、数種類が選ばれた後「これで仕事納めだ」と、笑い合う改良組の背後には………般若が立っていた。


 無言でアイアンクローをされ、気絶した改良組リーダーを見た他のメンバーの行動は早かった。


 鍬を扱えないという、自分達の弱点をすぐさま理解し、掘り上げられた石の撤去、農業への掘削型導入の提案等、今迄がなんだったという勢いで仕事をこなしている。


 そして今は、小麦の作付け時期である。


 全員揃って、腰を叩きながら、種を植えて行く。


 忙しい…大変だ………だけど、楽しみでもある。


 そんな輝きを持った、農業組の顔を見て「石取りに行こうぜ!」とは、なることは無かった………


 まあ、だよね!今無茶苦茶忙しいもんね!少しでも遅れると育たなくなるって、鬼気迫る表情で言ってたもんね!


 ということで、一人寂しく石拾いである。


 というか、運搬型2号が岩塩取りに行ってるせいで、往復数が凄いことになってるんですけど…


 元々縄張りの外周だった場所で、腕いっぱいに、石を拾う。


 そしたら、農地との境目に行き、持ってきた石を地面に落とす。


 その往復を繰り返して、運搬型2号がやって来るのを待っているのだが、全然やって来ない…


 既にかなりの数往復しているはずなのだが、まだ来ない…


 さっき「岩塩が来たぞ!」って声が聞こえたから、来ても良いはずなんだが…来ない…


 ………あれ?忘れられてる?



 結局、その日の最後、農業組が仕事を終えるときに伝言を頼み、運搬型2号を、なんとか呼んできて貰った。


 そうして帰って来てから、今日岩塩を取りに行くと言っていた猟組の一人に話を聞くと、全力で目を逸らされた。


 ………やっぱ忘れてんじゃねぇか!

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