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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第三章 目覚めと国民
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第28話

「他国の人間…か…」


 我々国王にとって、他国の人間とはどういう存在か?と問われると、皆一様に答えるものがある。


 『己を殺せる人類』


 これは、そのまま真理である。


 逆に言えば、自国の国民は、直接・間接的にでも、国王を殺せない、ということでも有るのだが…


「今のところは、取り敢えずスルーだな」


 ただ、国王を殺せる人間、というのは、国民にとってもありがたい存在となる。


 暴君の暴虐を止めてくれる存在は、何よりも得難いものだろう。


「相手に交易の意志が有っても、今のところ、こちらが出せるものもないしな」


 だからこそ、国民は交流を望む。


 一部条件を満たせれば、元他国民であっても、国民へと引き入れることが出来るが為に…複数の国家との交流を…


「まっそれもそうですね」


 ただ、それはある程度国家が成熟してからとなる。


 国王が死ぬということはつまり、次の国王に何をされるか解らないと言うことなので…


 自分達の力が満足に無い今の状況では、むしろ引き入れるだけデメリットが大きい。


「あとは何か質問はあるか?」


「あーそれなら………」


 その後は、細々とした地形の質問や、今まで出会った原生生物の質問に答えながら、時は経っていった―――



 ―――そうして一週間後…ノーレッジは現在…


「ハイッ!ハイッ!ハイッ!よし!一本!」


 いつもの仕事(枝落とし)に邁進していた。


「ハイヨイショ!ヨイショ!ヨイショ!木材一本分終わったぁ…ってなんでだよ!」


 いつもと変わらぬ木材置き場に、いつもと変わらず、通常型が伐採した木材を運んでくる。


「ちくしょう!わかってたよ!どうせそんな余裕無いってさ!わかってたけど…ちくしょう!」


 少し変わった光景といえば、木材組用の通常型14号が、枝落としが終わった木材を運び出す位か…


「達成感!俺の達成感がぁ!」


 ああ、後、猟組が猟終わりに岩塩を運搬型に居れてくれるお陰で、仕事がひとつ減った。


「息抜き!俺の息抜きは!」


 後は飲料水だが、毎日ローテーションで二人づつ、ひたすら沸騰させては甕に移すという仕事となり、全員に行き渡っている。


「俺の息抜きその二ぃ!」


 ローテーションは、男女で別々に、仕事も別々になるよう組まれているらしく、出会いの場にもなっているそうだ。


 …因みに、俺は国王特権で免除(お前は来るな)になっているらしい。


「わぁい…大変な仕事が無くなって嬉ぃなぁ…」


 うん、わかってた。


 皆必死だもんね…男女比的にぴったり合うもんね…変な人とお近づきになりたくないもんね…


 そんな血で血を洗う戦場に、国王(対象外)が来ても面倒なだけだもんね…


 国王は、その(国と心中)(自分も不老)な恩恵の元に、結構人気になりそうなものだが…


 子供が確実に自分より先に死ぬという、圧倒的なバットステータスにより、全く人気にならない。


 これが文明が成熟した後であれば、永遠の美やら、国王の妃やらに惹かれた人間(九割方ろくでもない)が寄って来るかも知れないが…


 ここは原始時代、そんなものに価値を感じる人間など、ほぼ居ない。


 そうして国王は、独り身街道をひた走る事になる。


 一応、そのルートを外れる方法はある。


 答えは単純、暴君になれば良い。


 国民から、全ての食料を吸い上げれば、その食料を求めた人間や、その立場(食料が入ってくる)を求めた異性が寄って来ることだろう。


 まあ、そんなことをすれば、国力の衰退どころか、破滅への道を突き進むことになるので、大抵の国王はそんなことをしない。


「ハイッ!ハイッ!ハイッ!よし!一本!」


 …大抵の国王は、こんなこともしないが…


 指示は出しても実務はしない。


 大体の国王はこの方針が多いのでは無いだろうか?


 まあ、俺の場合、そもそも前提条件(国民無しサバイバル)が違うのだが…


 そんなこんなで進んでいく、新たな日常。


 普段の風景は変わらずとも、一日の終わりには皆揃う。


 笑顔で食事を食べて、就寝する。


 そんな幸せを噛み締めながら、今日も1人、施設前で眠りにつく…


「なあ!やっぱりおかしくない!?」

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