第26話
こんにちは!ノーレッジです!私は今、平地(農地予定地1)に来ています!
「よし、じゃあ昨日の続きだ!」
本日はそう!昨日の続きをしていきます!
…いやぁ、一日で終わるつもりが、まさかこんなに長引くとは…
「ここは農地予定地なんだが、その前に水路の説明をしておく」
そう!これこそ、川の氾濫時からコツコツと作った努力の結晶!
一時は流木や、土砂が溜まり使い物にならなかったが、それも除去しきり、完全開通!
「水路は大きく分けて二通り有って、それぞれ、内路・外路と呼んでいる」
因みに、内路は教育ポット施設の回りに張り巡らされた堀がメインで、外路は、農業用水兼、非常用のため池となっている。
「どちらともに共通しているが、山側が上流で、反対側が下流となっている。
下流の方が一段低くなっているから、気を付けてくれ」
今のところ綺麗に循環しているし、川の水も豊富だ。
通常型で殴り固めたから、水が染み出たり、水路が削れて…というのも無くいけている。
…まあ、その分だけ水路が大きくなってしまったが…
「農業組がメインで使うのは、ため池の方だろうから、注意点を言っておくと、ため池はすり鉢状になっていて、中心はかなり深くなっている。
人一人位すっぽり入ってしまうから、中には入らないようにしてくれ」
因みに、飲み水やら食事用やらのため池は上流に有り、洗濯や水浴び等の浅めのため池は下流にある。
川との合流場所には、濾過用の石や、石を砕いて作った砂利等を設置している。
水路を作った際に「これだけはやらないといけない」という、謎の使命感に駆られ作ったのだが…なんだったのだろう…
「よし、こんな感じだな…何か質問はあるか?」
すっと手を上げる国民がいたので、質問を促してみる。
「国王様、水やりする時の甕は何処にありますか?」
「あー、それは今木工組に頼んでる」
「国王様、水やりするための道具はどうなってます?」
「あー、それも今木工組に頼んでる」
「国王様、鍬はどうなりました?」
「石工組が先作ったから、後は木工組待ちだな」
「「「………あれ?」」」
説明を受けていた全員が首をかしげる。
「国王様…ちょっと木工組覗いて行きません?」
「そうだな…甕とか出来てたら運べるし…行くか!」
「「「おおっ!」」」
そうしてやって来た木工組のエリア。
即席弓作成と、道具要らずの木工品作成の二組がいるこのエリアは現在―――
「出来た奴から順にコツ教えていけ!」
―――地獄だった。
「弓組!持ち手作成どうなってる!」
「ある程度作れてる!そっちはなんとかなりそうだ!」
「柄杓の先はどうなってる!」
「そっちは駄目だ!誰も成功してない!」
あちこちから飛び交う怒声と、失敗作であろう割れた木片。
「最悪水やりは甕持ってでもやれるはずだ!鍬と甕だけはなんとしても今日中に作れ!」
「「「はいっ!」」」
チラリと、製作場面を見てみれば、木の根を利用して、先の丸い部分を作ろうとしては、木目に沿って真っ二つになるのを繰り返している。
「俺達のこの仕事に!こっから先の飯ぃ掛かってんだ!材料は山ほど有る!何度失敗しても!絶対成功させるぞ!」
「「「おう!」」」
リーダが声をかける度に、死んだ目の作業者が生き返る。
リーダの声かけのペースはかなり速く「そのペースでかけないと不味い」という必死さを感じる。
俺達は、無言で頷き合い、作業場を後にした。
「「「怖かったぁ…」」」
もとの平原まで戻って来た国王と愉快な仲間達は、揃って深いため息をはく。
「しっかし国王様、なんで木工組はあんなに失敗してたんですかね?」
「ああ、あれか…あれはまあ…簡易弓作成と、道具要らずの木工品作成の範囲外だからだな」
「「「えっ?」」」
狩人と農家の声が重なる。
「簡易弓作成の方は、多少石も扱える感じだったが、木工品作成の方は『道具要らず』だからなぁ…」
「あのぉ…国王様、言いにくいんですけど、なんで『道具要らず』にしたんですか?」
「うん?だってそりゃまあ…それ以外の最低レベルが鉄器からだったしなぁ…」
「「「ああ…なるほど…」」」
心をひとつにした見学組は、次の説明へと移っていく。
濾過施設を半ば強制的に作らせたのは、川を汚染して生息域を広げるという戦略を取った国家があったからなんです…
イッタイドンナジンルイノコッカナンダー
ヒントは『ゾ』から始まります。