第21話
川の氾濫から今日で大体一月、塩の発見から三週間と少しが経った今日この頃―――
「はい!五!四…はい!板ド…」
―――ノーレッジ王国では、いつもの光景が繰り広げられていた。
「よし!来た!」
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ビルドキングダム
【ノーレッジ王国】 国王:ノーレッジ
KP 102
人口 100 (大体の数字です)
人種 人間種
権利 ゴーレム購入
所持機体
・通常型 13
・運搬型 1
・伐採型 3
・掘削型 5
通常型
・通常型 10P
・運搬型 15P
技能型
・伐採型 30P
・採掘型 30P
・掘削型 30P
戦闘型
・盾型 50P
・剣型 50P
オーバーテクノロジー 教育ポット
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「うーん…どうするか…」
今現在進んでいる計画は主に3つ。
一つ目は、今まで伐採していた施設回りの伐採。
二つ目は、将来農地になるであろう川の付近の伐採。
最後は、岩塩鉱山までの道の作成である。
それぞれの伐採には、上から順に、伐採型1号・2号・3号が送り込まれでおり、かなりカツカツである。
拡張計画も、氾濫での貯金を食い潰しているような状況であり、伐採型の増産は確定なのだが…
ここからが問題である。
まず、発見した岩塩鉱山だが、通常型は勿論、掘削型での採取も出来なかったため、岩塩を採取するためには、新たに『採掘型』を導入しなくてはいけない。
これだけを聞くと、採掘型一択なのだが、問題はまだある。
ズバリ、岩塩鉱山の防衛である。
現在、岩塩鉱山の防衛をしている通常型1号・2号なのだが、どうやら、猪の中型原生生物と戦ったらしく、少しの破損が見られた。
そして皆さんも思い浮かべたであろう奴が…
大型原生生物が、存在する可能性が出てきた。
前回戦った際も、大先生のラッキーパンチが無ければ…或いは…
という敵に、対策無しで挑むのは愚策であると、俺は思う。
ということで、候補その二は、戦闘型の導入である。
今まで、散々後回しにされていた戦闘型だが、今回、新たに導入するタイミングがやって来た。
前回の様に、守るものが柔らかい肉ではないということも、大きく影響している。
なんせ、スルーしたところで、後ろにあるのは、岩塩という名の岩であり、その一撃が、山にトンネルを作るレベルの一撃でもない限りは、大丈夫である。
更に、戦闘型導入の追い風となっているのが、岩塩鉱山、道繋がってない問題である。
現在の進捗は三分の一程度であり、今月中に、なんとかたどり着くかも?というレベルである。
つまりまあ、岩塩を掘った所で運び出す手段が無いということである。
「うん。戦闘型にするか!」
と、当然の帰結に辿り着いても、第二の問題が出てくる。
盾型にするか、剣型にするか問題である!
どちらも揃えれば良いじゃないかと言う人もいるだろうが、それは不可能である。
何故なら「どうせ購入するからいいっしょ!」という、雑な考えの元に、伐採型4号が購入され、既に稼働を始めているからである!
現在のポイントは72Pであり、2体購入は不可能なのである!
ここで、前回の戦いを思い出してみると、そこには………巨大猪の突進を受け止める通常型と、その攻撃で大ダメージを受けている巨大猪の姿が………
あれ?戦闘型要らなくね?
………いやいやいや、猪以外も考えないと…他の原生生物とかも想定しないと………
そこには、ゴーレム程の大きさの岩をベアーバックで割る熊と、一撃で倒される大先生の姿が………
あれ?盾型でも無理じゃね?
一発位は耐えれるかもしれないけど、それ以降無理じゃね?
「………よし、剣型でいこう!」
そんな流れで決まった戦闘型の購入は、すぐに実行される。
光の粒が姿を変えるという、最近見慣れてきた光景はしかし、その手の部分で違いを見せる。
その手を剣に変え、現れたゴーレムに対し、始めに思った感想は…
やっぱり剣も岩製かぁ…
であった。
切れ味など欠片もなさそうなその大剣はしかし、殴打武器としての役割は、十分に果たせそうである。
…というか、果たせる。
実際にその後、戦闘を見たノーレッジは―――
こいつは剣型じゃねぇ!こん棒型だ!
―――と叫んでいた。
今日も少しづつゴーレムが増えていく国の国王は―――
「距離的な問題で楽になると思った俺がバカだった…」
―――今日も今日とて同じ仕事をしていた。
「一体増えてんのに、楽になるわけねぇだろこんちくょうがぁぁぁぁぁ!」