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ビルドキングダム  作者: ライスパディ
第二章 群れる奴等と下準備
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第15話

 本日二本目の投稿ですよ~

 前回の襲撃から大体1ヶ月…


 川までの木を伐採して道を作ったり、そこから侵攻してくる中型を処理しながらも、この日がやって来た。それは―――



 こーんにーちはー、私ノーレッジは今、教育ポット施設前に来ております。


「はい!五!四!三!二!一!0ー!は………」



 ―――ポイント追加の日である。


 といっても、前回とは違い、命が脅かされるような危機もないし、破壊されたゴーレムもいない、差し迫った問題も………有る。


 前回のゴーレム購入の際にも言っていた拡張計画が、無視できないレベルで遅れている。


 2ヶ月掛けて広がった範囲が、予定の半分も行ってなく、このままでは居住区はともかく、農業区が足りなくなることは明白で、もしそうなった場合、半年経って、教育ポットから出てきた国民を、もう一度ポットに叩き込む必要が出てくる。


 そうなった場合の遅れは、正直見逃せるレベルでは無いだろう。


 長期的に見ればなんともないと思うかもしれないが、短期的に見た場合、もっと言うならば、近くに別の国王がいた場合、その遅れは致命的となる。


 戦端が開かれた開かれた際に起こる、食糧と人材の不足…


 これ等は決して見逃せる問題ではない。


 だからこそ、今回買うゴーレムは決まっている。


「大先生2号と3号、いらっしゃーい」


 伐採型が2体、その姿を形作っていく。


「掘削型2号と、通常型11号も、いらっしゃーい」


 その後に続くように、新たに2体のゴーレムが作られていった。


大先生(伐採型)達は、今まで大先生1号がカバーしていた範囲を三分割して伐採を開始してくれ」


 早速指示を与えられたゴーレム達が散っていく。


「掘削型先生達も、今までの範囲を二分割して根っこの除去を開始してくれ」


 指示を与えている本人も鬼気迫る表情で指示を出し、真剣さが伝わってくる。


「通常型11号は、3号と仕事を交代だ、3号には、1号がしていた仕事(伐採された木の運搬)の範囲を二分割して、半分を受け持ってくれ」


 そうして指示を受けたゴーレム達が散っていき、指示出しの間聞こえていた音以外の音も聞こえ始める。


「うらぁぁぁぁぁ!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」


 その音に奮起したのか、ゴーレムの主は、()()()()()()やり続けていた仕事(枝落とし)のスピードを、更に上げる。


 ズウゥン…ズウゥン…


 しかし、現実は無情である。


「あっああっあああっ」


 伐採型2体の追加…それは、その主が思っていた以上に、大きな変化だった。


「やめて…やめてくれ…」


 国王は成長する。


 己の設定した国民と同じ様に…


「これ…以上の…絶望を…」


 いくら習得速度が星2だとしても、毎日、毎日、死に物狂いでやれば、2ヶ月でも、ある程度技術を得ることが出来る。


「俺に…与えないで…くれ…」


 そして習得深度星5の者が得た技術は、通常のそれを凌駕する。


 枝を落とす姿勢も、石を振り下ろす角度も、全然出来ていないノーレッジはしかして、その速度に関しては異常に速い。


 成長の余地を大きく残してのその速度は、見る人が見れば、驚き、そして己の技量に絶望する者さえ出てくるだろう。


「終わ…らない…」


 しかし、その技量を持ってしても、ゴーレム(成長速度の塊)の数の力には勝てない。


「増え…ていく…」


 いや、最終的には勝てるのかもしれない。


「ああっ…あぁぁぁぁぁ!」


 しかし、成長の遅いその歩みでは、()の絶望を越えることは出来ない。


「うわぁぁぁぁぁ!」



 その日、とある森でその支配域を広げつつある勢力のすぐそば、その支配域を奪わんとする原生生物達は、その勢力の長が、発狂しながら石を振り下ろす姿を目撃した。


 その後の反応はそれぞれで…


 後ずさる者、逃げ出す者、これ幸いにとその首を狙う者等、様々な者がいた。


 そして、その場に残った者が見た光景は、その首を狙った者の死と、襲われてもなお、叫び、石を振り下ろし続ける長の姿だった。


 その日以降、その森の一部原生生物にとって、その勢力は恐怖の対象となる。


 曰く、森の強者(四本腕の熊)を倒した勢力の長が、その身を狂喜に落としたと…


 曰く、その狂喜とは石を振り下ろす事であると…


 曰く、近寄ったものは全て殺されると…


 原生生物の移り変わりは早い。


 この程度の恐怖ならば、数ヶ月もすれば完全に忘れ去られるだろう。


 しかし、その数ヶ月間であれば話は別だ。


 それを目撃した、原生生物の群は逃げ出すし、そこまででなくとも近寄りはしない。


 こうしてノーレッジ王国は、予期せぬ形で束の間の平和を手に入れた。

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