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ステージ3-11 モンスター情報

「か、勝った……のか?」

「えーと……そうみたい」

「勝ったんだ……私にも“EXP”が入っちゃった……」


 休んでいたフレアも集まり、俺達ギルドメンバーは全員が集合する。しかしサイレン、スノーにフレア。他のギルドメンバー達もイマイチ実感はしていないみたいだ。

 まあ、本当に一瞬だったし、第三者視点から見たら当然か。


「アハハ。やっぱりライトの特殊スキルで決着が付くと反応に困っちゃうよね~。今までの頑張りは何だったのぉ!? ……ってレベルで本当に一瞬なんだもん!」


「そうだね。あのワニもまだ体力は半分近くあったし、何となくあっさりし過ぎていた感が出てくるよ」


「本当ですね。ライトさんがそれくらい強いって訳ですけど、何だか締まらない感覚はありますもん」


「ハハ……随分と手厳しいな。まあ、確かにこの特殊スキル。色々と謎がある割に力がそのままだから気付いたら終わっていたって感覚になるな。俺もそう思う」


 他のギルドメンバーは慣れていないので困惑がまさっているようだが、既に慣れているユメ達はもはや軽い文句を言っていた。

 けどまあ、否定はしない。出来ない。何故なら俺自身がそう思っているからな。本当に謎だ。この特殊スキル。


「だが、味方なら頼もしい限りだ。俺達のレベルも一気に上がったし、Lv75のモンスターを倒して得られるモノは色々とうまいな」


「それもそうだね! すごいすごい!」

「そんなに凄いなら近くで見てみたかったかな?」


 サイレン、スノー、フレアの三人。そして他のギルドメンバーも次第に状況を飲み込み、取り敢えず勝ったならそれで良いかという方向で話がまとまる。

 実際、俺の特殊スキルの謎は多いが、その分利点も多くある。それが役に立ったならそれに越した事はないだろう。


 因みにだが、今現在の俺達はマウンテン・クロコダイルと大量の山岳千鳥を経て俺が【Lv37→Lv60】。ユメが【Lv34→Lv54】。ソラヒメが【Lv38→Lv60】。セイヤが【Lv35→Lv55】となっている。

 ユメとセイヤは20レベずつ上昇。いや、かなり上がったな……。特に俺とソラヒメは、大体山岳千鳥だがより多くのモンスターを倒したからか、若干上がり幅が大きい。俺が23レベ上がって22レベ上がったソラヒメのレベルに追い付いた。

 そして一応、サイレンは【Lv25→Lv50】に上昇。スノーは【Lv23→Lv48】でフレアが【Lv22→Lv46】となっている。レベルが低かった分、サイレン達は獲得“EXP(経験値)”が多いらしい。

 そして他のギルドメンバー達も当然レベルが上がり、今回のボスモンスター討伐に参加した者達の平均レベルは俺達を除外して十六人でLv45。日本支部のギルドはこの世界でもかなり強い組織となっている事だろう。


「ハッハ! かなり強くなったな! 一気にこれだけレベルが上がると、どのステータスに割り振るか悩む! 嬉しい悩みだ!」


「私は当然物理攻撃と素早さ! 全振りしちゃおうかな!」

「流石にバランスが悪いよ。スノーちゃん。特化型も強いけど、この世界じゃ体力や防御力が無くちゃ“GAME OVER”になった瞬間にそのまま死んじゃうもん。バランスは大事だよ」

「大丈夫! 当たらなければ無傷! わあっ! 私って天才!?」

『ヒュッシャー!』

「そう上手くいかないと思うけど……」

『バウワン……』


「私は魔力か魔法攻撃かしら?」

「俺様は断然物理攻撃だ!」

「すぐ疲れちゃうから持久力にしようかな~」

「やっぱり必殺スキルのロマンで“SP”だな!」

「この世界の危険度を考えたら物理防御か魔法防御かなぁ……」

「無尽蔵の体力があれば何の防御も要らないぜ!」

「どんな大技も当たらなければ意味がないからな。ここは精度を多めに割り振るか」

「素早さで目にも止まらず逃げるぜ!」

「逃げるのかよ! ……俺は運が悪いし、よく分からないステータスだけど運に振ろうかな」


 一気にレベルが上昇した事で多くの経験値が得られた。それもあり、サイレン、スノー、フレア達と他のギルドメンバーは自分がどのステータスに割り振るか悩んでおり、和気藹々としていた。

 確かにこんなにレベルが上がって、ステータスの割り振りの邪魔をするモンスターも出て来ないし悩んじゃうな。


「ま、取り敢えず一旦ギルドに帰るか。何人かは残っているにしても暫く空けていたから心配だ」


「モンスターや暴動には専用アビリティで対象出来るけど、確かに不安はあるな。時間で言えば半日くらいは空けていたし、俺を含めた他のギルドメンバーはともかく、ギルドマスターのサイレンが離れているのは問題か」


 現在、ギルドから離れて半日は経過している。ボス討伐の為に編成された俺達以外にも待機組として何人かギルドに残っているが、戦闘方面ではなくクエストの受付など公共機関のような役割として色々と大変そうなので早いところ戻る事にした。

 即決でステータスに割り振った者と一旦保留にした者も全員がその場で別のステータス画面を開く。同時に最終的な確認を終えて“転移ワープ”を使い、ギルドに戻るのだった。



*****



 ──“ギルド”。


「お帰りなさいませ。サイレン様。ギルドメンバーの皆様方。お疲れ様です」


「おう、ご苦労さん」


 ギルドに戻り、受付のパール=アマリリスさんが俺達を出迎える。と言っても名指しはギルドマスターであるサイレンだけ。二十人も居るんだからそりゃ当然だな。

 特に問題なども無い様子のギルド内。他のプレイヤー達がクエストを受けに来ており、俺達の存在からして仕方無い事だが滅茶苦茶視線を浴びた。しかしながらギルド自体は平和だった。


「流石に一週間近く経つとこんな世界にも慣れるんだな。他のプレイヤー達も。初日は困惑していたけど、今じゃ普通にクエストを受けたりギルドで食事をしたり、普通に満喫している」


「人間は適応するからね。生まれや育ちによって耐性も出来たり逆に弱くなったり、その適応力があったから繁栄出来たんだろうね」


 先程見たギルド内の様子から感想を述べる。それにはセイヤが返した。

 こう言った事に対しての話はセイヤの得意分野。適応力か。確かに人間はその環境で生き抜けるだけの相応の力が宿るならどんな世界でも適応しそうだな。

 軽い雑談をしつつギルドメンバー専用の部屋に向かう。ギルドの確認は出来、特に問題も無い事が分かったので今回のボスモンスター。マウンテン・クロコダイルについての情報をまとめるのが目的だ。


「さて、これで俺達ギルドが確認したボスモンスターはライト達が戦ったライムスレックス。ドン・スネーク。スパイダー・エンペラー。そしてさっきのマウンテン・クロコダイル。レックス首領ドン皇帝エンペラーマウンテン以外はザ・ボスモンスターって感じの名前だったな」


「ギルドが確認したボスモンスターか……そうなるとマウンテン・クロコダイルを除いて、まだ俺達以外のギルドメンバーは他のボスモンスターを見つけていないのか?」


「ああ、そうだな。むしろ、何でそんなにボスモンスターに出会えるのか俺達が気になる程だ。……とまあそれはて置き、今回はマウンテン・クロコダイルと、ボスモンスターの中で首謀者に繋がりそうな存在。魔王軍幹部のスパイダー・エンペラーについて話し合おう」


 マウンテン・クロコダイルについてのまとめも主軸だが、やはり全員が気にしているのは魔王軍。もっと言えば首謀者。それに繋がるであろうスパイダー・エンペラーについても改めて確認するようだ。


「まずはマウンテン・クロコダイルについてのまとめだな。と言っても情報は集まった。様々なアイテムも入手したし、これから詳しく調べるとしよう」


「後は生息地域。生息地域は山岳地帯だな。餌は……まあ、あの辺に居た動物かな。ボスモンスターってならただそこに居るだけって事は無さそうだけど……群れとかは率いていなかったよな?」


「それっぽいものなら山岳千鳥でしょうか? けど、あれは共生しているだけですので根本的には違いますよね?」


「そうだよなぁ。まあ、あのワニの群れが居たらそれはそれでかなり問題だけどな。取り敢えずマウンテン・クロコダイルについてはこれくらいでいいか」


「そうだな。ま、さっきも言ったように得られた戦利品を詳しく調べて色々と情報を得る予定だから今はまだ置いといていいな」


 マウンテン・クロコダイルについての情報をまとめるが、得られた情報は少ない。まあそれについてはあまり関係無いので特に問題も無かった。

 本題はスパイダー・エンペラー。もとい、魔王軍と首謀者についてだ。


「それで、ライト達は昨日何処に行ったんだ? 日本全国を巡って情報を集めると言っていたが……」


「ああ、あれは途中で中断したな。その時に大華樹ってモンスターの群れを見つけて大輪華樹ってのを倒したけど、特に得られた情報は無かった。一応当てはあるんだけどな」


「ふむ、何か心当たりはあるって事か」


「ああ。今回のボスモンスター討伐に呼ばれなかったら俺達は昨日中断した場所からまた進もうかって思っていたんだ。で、昨日俺達が進んでいたのは、依頼を受けた“レコード”の街からのギルドとは逆方向。“レコード”の街で会ったのは幹部だけだったけど、魔王軍と接触した事を考えてそこから真っ直ぐ行けば魔王の城か幹部の拠点にでも行けるのかもしれないって考えたんだ」


「成る程。確かにそれなら魔王に迫る事が出来るかもしれないな。魔王軍の幹部が来たならその近くに何か関係する場所はある筈……盲点だった」


 俺達の目的についてサイレンに話す。無論、他のギルドメンバーにも聞いて貰っている。

 何がどうあれ、今出ている情報で魔王軍に最も近いのが“レコード”の街。その先にある場所だからな。


「……。他のギルドメンバーも日本中を巡っているが、基本的に当てはない旅。ライト達と同行するかは兎も角、同じ方面で進めた方が良いかもしれないな。仲間は多い方が良いんだろうが、もしもの時の為に行動出来るメンバーは残しておきたい」


「“もしもの時”……か。縁起が悪い事を言うな。確かに大人数の一つのパーティを作ったとして、それが全滅したら一気に攻略が難しくなる。一つのパーティではなく、今まで通り何組かに分けて進むのは同意だ。けど、弱気なのはお前らしくないな。サイレン」


「……。ハッハ。念には念を入れているだけだ。備えあれば憂いなし。昔の人はよく言った。取り敢えず、ライト達が向かう場所には、パーティは別として方向だけは同じように何組かのパーティを向かわせるか。当然、今までのように調査組みや待機組みも色々と調べている」


 話は大凡おおよそまとまってきた。

 マウンテン・クロコダイルについての情報はギルド内で進めるとして、俺達の向かう方向にも何人かのギルドメンバーを派生させる。

 それならいざという時、臨機応変に対処出来るようになるだろう。加えてギルドを中心として、既に東西南北の全方位に他のパーティが冒険を進めている。穴はないな。他のメンバーからも異論は上がらなかった。


「じゃあ、これくらいだな。後他に質問は……ないか。よし、じゃあ解散!」


 最後にサイレンがまとめる。

 今回の行動だが、次の行動が分からないままで動くより効率的だ。色々と情報も得られて、ギルドメンバー専用アビリティもあるので幸先は良好と言える状況だった。

 俺、ユメ、ソラヒメ、セイヤのパーティも含めたギルドメンバー達は、ボスモンスターであるマウンテン・クロコダイルを倒した事でかなり強化された。これなら余程の事が無い限り順調に進める事だろう。

 俺達ギルドメンバーは、このゲームとなってしまった世界の攻略に向け、また新たな一歩を踏み出すのだった。

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