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ステージ3-6 ギルド招集

 ──“ギルド前”。


 早速“転移ワープ”を使い、俺達はギルドの前にやって来た。

 上の文字を余所にギルド内に入り、一先ずは受け付けの元に行く。


 ──“ギルド”。


「お疲れ様です。ライト様。ユメ様。ソラヒメ様。セイヤ様。サイレン様がお待ちしております」


「ああ、分かったよ」


 ギルドで働いている“NPC”、パール=アマリリスさんが丁寧に出迎え、俺達は軽く挨拶を交わして奥の階段を登り、他のギルドメンバー達が居る部屋に向かった。


「おーっす。ライト、来ました~」

「やっほー! ライト達ー!」

「おう。って、なんだよそのダルそうな雰囲気は。それに、スノー。挨拶早いな。呼んだ俺より早いぞ」

「そりゃ詳しく教えてくれなかったからな。それで、サイレン。何の用だ? 全員ではないけど、スノーにフレア。よく見る面子と他の皆も集まっているみたいだな」


 部屋に入った俺に返したのはサイレン。軽い対応をし、俺は目的を訊ねた。


「ああそれだが……最後に連絡したライト達が来たって事はもう待っていても他の者達は来なさそうだな。必ず来る確信があったから最後に連絡した訳だし……それじゃ、概要を話すとしよう。各々(おのおの)で楽な体勢になってくれ」


 言われ、俺達は席に着く。もしくは壁にもたれる。

 しかし、俺達が来るのを待っていたという事は他の皆にも説明はしていなかったのか。一体何の用なんだか。


「んじゃ、率直に告げる。ボスモンスターを確認した」


「……!」


 その言葉に、ここに来ている者達全員が反応を示した。

 ボスモンスターの確認。確かにそれは重要な事柄だろう。だが、気になる事もある。


「ボスモンスターか。それは慌てる理由も分かるけど、わざわざ他の冒険をしている皆を呼ぶ程の事か? 前に分かれてから一日しか経過していないけど」


「ああ、まだレベルとかは確認していないんだけどな。その大きさに問題があるんだ」


「大きさか。それ程大きい敵って訳か。どれくらいだ?」


「そうだな……比喩的に言うなら……お前達、山を砕けるか?」


「山? 無理じゃないか。身体能力は強化されたけど、山を砕く程の筋力は無いだろうしな」


「そうだね。山と言っても砂遊びの山からエベレストまで大小様々だけど、平均的な山で考えればダイナマイトのような爆弾や、威力を抑えた核兵器でも砕けないんだ。そんな力は持ち合わせていない」


「成る程。まあ当然か」

「分かり切ってるなら聞くなよ……」


 山を砕け。“砕く”の範囲にもよるが、単純に考えれば粉々。残すとしても一つ一つを数メートルの岩並み程度に小さくして砕くという事だろう。

 生身の人間どころか、肉体的に世界最強の動物。何ならそれらを遥かに凌駕する現代兵器をもちいても至難の技。

 サイレンは一体何を思ってそんな事……って、そう言う事かよ。


「ああ、成る程。つまりそのネックだった大きさ……山並みはあるって事か」


「ハッハ、その通りだ」


 その言葉に全ギルドメンバーが黙り込む。当然だろう。

 ゲームのような世界になってはいるが、主な武器は剣と魔法。もしくは徒手空拳。短剣に槍。弓矢に銃など。

 職業によっては超能力者エスパー召喚師サモナー獣使い(ビーストテイマー)死霊人卿ネクロマンサーなど武器以外に様々な力を使える者も居るが、そのいずれを以てしても山を砕くのは難しいだろう。

 レベルがもう少し高ければいけそうなんだけどな。目安は、ステータスの割り振りにも寄るけど大体Lv300~Lv1500くらいか。それくらいあれば標高1500メートル程の山からエベレストも砕ける筈。エベレストに特に恨みは無いけどな。どちらにせよ四桁レベルは必須だ。

 何はともあれ、今の俺達じゃどう足掻いても無理って事だけは確かだった。


「だがまあ、ここにギルドメンバーが二十人は集まってくれた。それなら何とかなりそうだろ? 本当に山を砕くのではなく、あくまで山並みの大きさを誇るモンスターの討伐だからな」


「うーん、そうか? まあいいか。仮にここに居るギルドメンバー全員で挑むとして……それ程の大きさのボスモンスターだ。レベルはともかく、どこに居るのかも気になるところだな」


「位置は既に把握済みだ。まあ、普通に山岳地帯なんだが、海沿いの県境だな。そこまで調査に行ったギルドメンバーの仲間が居て、その時ボスモンスターを確認したらしい」


「県境か。確かに県境には山が多い場所もあるな。そのうちのどれかがモンスターで、発見したって事か。……あれ? その発見した奴は報告したんだよな? 情報共有の端末に連絡があったのか? それとも、ボスモンスターから逃げられたのか?」


「ああ、そうだな。管理者専用能力。今はギルド専用アビリティ。“転移ワープ”はいざという時の為にも使えるから、本来は逃げられないボスモンスターからも逃げられるようになるんだ。一応念の為に端末にも報告はあったが、特に問題無く帰ってこれていた」


「へえ、改めて便利な力だな。この専用アビリティ」


 山並みの大きさを誇るモンスターが居て、それがボスモンスターなら普通は逃げられない。

 しかし空間に直接干渉して転移する“ワープ”なら見えない壁をすり抜けて逃げ延びる事が出来るようだ。


「まあ、俺も詳しくは知らない。だから慌てて他のギルドメンバーを招集したんだ。仮にボスバトルの途中で戦線離脱したなら戦闘は継続中の筈。そのボスモンスターが所構わず暴れていたら責任持って俺達が止めなくちゃならないと思ってな」


「成る程ね。ああ、いいよ。俺は……俺達、俺とユメとソラヒメとセイヤ。勿論参加する」


「当然! だって経験値が沢山貰えそうだもんね!」

「はい! 私もオーケーです!」

「僕も構わない。断る理由は無いからね」


「あ、もちろん私も行く! 山での戦闘は“狩人ハンター”の専売特許みたいなものだから!」

『ヒュシャー!』


「私も行くよ。まだ使える超能力スキルは少ないけど、利便性はあるからサポートは任せてください!」

『バウワン!』


 俺、ユメ、ソラヒメ、セイヤに続き、スノーとフレアも賛成した。

 他のギルドメンバーも、断る素振りも悩む素振りも見せずに快諾し、計二十人。山並みのモンスターを攻略するには少しばかり少ない気もするが、全員が参加する事になった。



*****



『グギャア!』

「よっと」

『ギ……!』


 目的地となる山岳地帯に行く道中、当然モンスターが襲い掛かって来る。なので木刀をもちいて薙ぎ払い、一撃で倒した。


「はあっ!」

『グゲッ……!』


「“アロー”!」

『ギギ……!』


「はっ!」

『グゴ……!』


 俺に続くよう、ソラヒメ、ユメ、セイヤの三人も各々(おのおの)が一撃で倒す。

 レベルがレベルなので近辺のモンスターは相手じゃないだろう。


「凄いな。お前達……Lv20のモンスターを簡単に倒せるのか……」


「本当だね。すごーい!」

「お見事です!」


「ハハ、そうでもないさ。……と言うか、アンタ達も簡単に倒しているように見えるけどな」


 やはりというべきか、ギルドメンバーは全員が手練れのようだ。

 俺達を称賛するサイレンにスノーにフレアだが、この三人を始めとして他のギルドメンバーもこの辺りに出てくるLv20のモンスターを容易く倒している。


「いや、倒してはいるけどやっぱりお前達が主戦力だな。レベル的に見ても、Lv30を超えるお前達にまだLv20前後の俺達。差は歴然だろ?」


「逆に、この辺のモンスターと同じくらいのレベルで簡単に倒せる事が凄いけどな。流石だよ。皆も」


「ハッハッハ。伊達に管理者……ギルドマスターはやってないって事だ。当然他のギルドメンバーもな!」


 ギルドメンバーは仲間なら頼もしい限りの存在。Lv20のモンスターを簡単に倒せる者はまだこの世界にも少ないだろうからだ。

 ゲームなら本当に序盤のレベルだが、現実となったゲームの世界。まだ一週間も経過していない中、順当にレベルを上げてここまでになった者達は少ない事だろう。


「取り敢えず、お前達。スキルは使い過ぎるなよ! “SP”が関係していないギルドメンバー専用アビリティなら問題無いが、ボスモンスターまで通常スキルは残しておきたいところだ!」


「当たり前! ヒョウも頑張ってくれているし、まだまだこのままでやれるよ!」

『ヒュシャッ!』


「うん、当然! エンも頑張ってくれているから問題無いよ!」

『バワン!』


 スキルの温存。まだボスモンスターのレベルも分からない現状、それは重要事項の一つだろう。

 スノーやフレア。他のギルドメンバーもそれについては肝に命じており、言われるまでもないと言った雰囲気だった。


「ハハ、心配は無さそうだな。全員が管理者なんだし、その辺は分かっているって事だ」


「ハッハ、そうみたいだな。じゃあサクサク進むか。モンスターの平均がこのレベルなら俺達もレベルを上げながら進められるのは良い」


 実際、他のギルドメンバーのレベルが上がり、俺達が強くなるのは良いだろう。

 これからボスモンスターに挑むんだ。この辺に居るモンスターよりレベルが高いのは当然として、純粋にレベルアップは利点が多い。

 けど、これだけレベル上げに適した場所だとボスモンスターの強さとか色々勘繰ってしまうな。要するにそれだけの存在が居るかもしれないって事だからな……。


 ともあれ、それから俺達は数多くのモンスターを倒しながら進み、俺は【Lv35→Lv37】。ユメは【Lv32→Lv34】。ソラヒメは【Lv36→Lv38】でセイヤは【Lv33→Lv35】と俺達も2レベ上がり、サイレン達他のギルドメンバーも何レベか上昇した。

 ギルドメンバーは一番のリーダー格であるサイレンのレベルが25であり、他のギルドメンバー全員を平均するとおよそLv22。

 ボスモンスターと戦っていない割には案外全員のレベルが高かった。まあ、そこはギルドとして必要な能力って感じか。


「着いたぞ。此処がその山岳地帯だ」

「うわー、山ばっか!」

「当たり前だよ。スノーちゃん。山岳地帯なんだからね」

「フレアちゃんは冷め過ぎ~」


 それから数時間後、俺達は県境にある山岳地帯に到達した。

 サイレンがそれを告げ、各々(おのおの)が反応を示す。元々山の多い地形なのでどうやら世界融合によって受けた影響は少ないようだ。おそらく自然が少し増えたくらいだろう。


「さて、この中からボスモンスターを見つけ出すのか。俺達はこれから山に攻撃でも仕掛けるのか?」


「ハッハ。ステータスを確認すればどの山か攻撃せずとも分かるだろう。ま、それでもこの中から探し出す事には変わりないけどな。それに多分自分から出てくる筈だ。おそらくまだ戦闘は継続中だからな」


「そう言やそう言っていたな。あくまで憶測だけど、可能性は高いか。どちらにせよそれを探さなきゃならない事には変わらないけどな」


「まあ、山の調査もギルドの仕事だ。この世界じゃ、ありとあらゆる公共機関の役割を俺達が担っているみたいだからな」


 捜査も含めてギルドの仕事。確かに従来のゲームやフィクションの世界でもギルドがある程度の事を担う事は多い。食事にクエストの依頼に生態系の調査から治安維持など分野は様々。

 そう言や、この世界の警察組織はどうなんだろうな。それのみならず他の職業。ゲームとしてじゃなく、普通の仕事をしていた人達がどうなったのかも気になる。ま、いずれもこの世界に巻き込まれているんだろうけど。


「取り敢えず、此処からはパーティを組んでいた者達で分かれて調べるぞ。二十人居るなら基本的に4~5チーム出来る筈だ」


 その後、サイレンの言葉によって普段のパーティとなり、全員がボスモンスターの捜査を開始した。

 サイレンのようなギルドにおり、パーティを組んでいない者達は仮拠点となるテントを張り、万全の対策で行動に移る。

 それじゃ、俺達ソラヒメチームも行動に移るとするか。


「なんだか本格的だな。と言うか、全員が馴染んでいる」

「アハハ……そうですね。けど、心強いです」

「うんうん! じゃあ、私達も早く行こっか!」

「そうだね。此処に居るボスモンスター。気になるよ」


 いつものメンバーで行動を起こし、山岳地帯を調査する。何かあれば情報共有端末から報告。そして“転移ワープ”をもちいて仮拠点に戻れば良い。

 俺、ユメ、ソラヒメ、セイヤの四人からなるソラヒメチームも捜査を開始した。

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