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ステージ11-5 空中の島の探索

「それでこの置物……完全に龍だな。元の世界なら権力の象徴や信仰対象として龍モチーフの物は多いけど、この世界での龍も色々と重要な役割を担っている。コクアも興味を示したし、今回のクエストの嵐にも何か関係しているかもな」


「見たところかなり古そうですね。材質は……銅? 鉄? 風化した金や銀にも見えます」


 地上に戻った俺達はその龍の置物を置き、それを五人と一匹で囲むように眺めていた。

 俺の隣にはユメがおり、その隣にはソラヒメ。その横にセイヤがおり、セイヤの隣。俺の片隣はミハクとミハクの頭に乗ったコクアが居る。

 龍の置物に使われているものは分からない。ユメが言うように結構な年代も経っており手入れがされる筈もないのでなんの材質かは不明だ。


「かなりの年代を経た設定の置物か。ますます怪しいな。鳥居の近くにはこれしかなかったし、絶対何かある」


「そうですね。けど、今はまだ何も起こりそうにもありません」


「なら、キーアイテムとして持っておくか。この湖が誰かの私有地なら窃盗に当たるけど、この世界の法律はどうか分からないしな」


 年月が経っていると言っても、この世界になったのは一ヶ月と少し前。なのであくまでそう言う設定。

 だが、そう言う設定だからこそ何かあるのは明白。今は何もないので取って置き、その時が来たら使用するとしよう。


「じゃ、また雲の上の島を探索だね。嵐を消し去るのが目的だし、私達はまた探索に戻るよ」


「ああ、頼んだ。ここにあったなら、他の場所に何かある可能性も高まったって事だからな。俺とユメも改めてここ以外にも色々と調べるよ」


「オッケー!」


 置物は後々。今は残りの場所を探索する事にした。

 ここは本当にまだまだの場所だからな。入り口? から見えたすぐ近くの湖だし。

 また再び俺とユメ。ソラヒメとセイヤに分かれ、俺達は行動を開始した。


「後はひたすら真っ直ぐ進んで村的な場所が無いかを探してみるか。人里があってもおかしくないし、魔物達の巣があるかもしれない。警戒は解かずに置こう」


「元々の目的はこの島がある嵐を止める事ですものね。原因探しも続行です」


 それから湖を後にし、俺とユメ。ミハクとコクアは嵐の島を調べて回る。

 景色は基本的に変わらず、草原のような場所にいくつかの木々がポツリポツリと立ち並ぶ。道と言う道もなく、広大な草原だな。

 人の手が加わっていそうな建物も特には見つからず、自然が自然そのままの姿で残っていた。改めて見ると、高い木とかは少ないんだな。基本的には草原。そしてたまに見える水溜まりのような湖。あの辺りも調べた方が良いかもな。


「結構探しているけど、めぼしい物は他に見つからないな。建物の影すらないや。何なら敵すら湧かないぞ」


「限りなく自然が続いているだけですね。目にも優しくて落ち着く光景ですけど、何て言うか、物寂しさがあります」


 気になるものがあれば調べ、特に何も見つからず先に進む。

 あの湖には魚とかも居たが、ここにはモンスターも居ない。あの魚が何だったのかと気になるレベルで周りには何もなかった。


「あそこが一応この島の端か……結局何も見つからないで着いちゃったな」


「そうですね。あれからミハクちゃんやコクアちゃんにも反応がありませんし、嵐の根源は不明なままです」


「そうなると後はソラヒメ達が何かを見つけたかだな」


 草原と湖を進み、到達した最端の地。と言ってもまだ先はあるが、それでもここまで何も見つからないと本当に何かあるのか思うところもある。

 こうなってくるとソラヒメ達が何かしらの成果を挙げるのを待ちたいところだな。


「あ、ライトー! ユメちゃーん!」


「お、ソラヒメにセイヤ。噂をすればなんとやらってやつか。まあ、目的地が一緒だから自ずとここに集まるのは分かっていたけど」


 そんな事を話していると、その二人もこの場にやって来た。

 真っ直ぐに進んでいた訳ではないので出会うまでに多少の遅れはあったが、これで数十分振りに全員が揃う。


「それで、ソラヒメ達の成果は何かあったか?」


「それが全然ダメ。その様子、ライト達も特に発見や進展は無かったみたいだね」


「残念ながらその通りだ。後は最端に何かないかを期待するだけだな」


 ここは最端付近ではあるが、最端ではない。なので少ないながらも期待を込め、五人と一匹で最端の地へ向かった。


「……。これは……階段?」

「ですね。さながら天国への階段と言った感じでしょうか」

「本当にそうみたいだねぇ。だって階段が浮かんでいるし、空から眩しい光が差し込んでいるし、そもそもの階段が白いし」

「まあ、確実に秘密しかないね」


 最端の地にあったのは、何処までも天空に届く階段。

 その階段は空中に踏み面のみが浮かんでいる状態。足を踏み外したら落ちそうな造りだな。

 終着点は見えず、ソラヒメが述べた通り光が空から差し込んでいる。

 途中のステージというより、何となくクリア後の世界にも思えるな。


「………」

『キュルッ!』


「……! ミハクにコクア……」


 その光景を眺めている時、ミハクが一足先に進み、その後をコクアが追っていた。

 コクアはともかく、ミハクがこういう風に行動を起こすのは珍しいな。


「ミハク達が動いたって事は、ここが次の目的地で間違いないみたいだな。特にミハクがみずからの意思で行動したなら何かある筈だ」


「その様ですね。ミハクちゃんは世界について何かの秘密を持っております。それなら、着いて行った方が良さそうですね」


「賛成ー! 空に続く階段……何だかワクワクしてくるよ!」


「僕も賛成だね。攻略に必要な事になりそうだからね」


 空の階段を上るのに反対はない。俺達もミハク達に続いて足場が不安定な階段を上り、天上へと近付く。

 何かを見つける為に受けたクエストで、俺達は世界攻略のヒントを掴もうとしていた。



*****



「わぁ……辺り一面雲の世界……!」

「綺麗……」


 階段を上り終え、到達した先にてソラヒメとユメが順に感嘆の声を上げる。

 ここは上空数千メートル。大気圏にも近く、星のようなものもうっすらと見えている。下方は雲の上に作られた陸地のある島という感じだったが、この場所こそ俺達が想像する雲の世界だった。

 足元も全て雲で、時折見える緑も雲に生えているという不思議な植物。更なる上空には複数の虹が架かっており、大気圏付近まで届く入道雲のような雲が俺達を見下ろすように漂っていた。


「この雲……踏んでも大丈夫みたいだな。ここの雲はただの水蒸気の集合体って訳じゃなさそうだ」


「そうだね。お伽噺やファンタジーの世界には乗れる雲があるけど、現実世界の感覚でこんな体験をするなんて思わなかったよ」


 雲の上に乗り、その強度を確認。当然柔らかいが、弾力もあり跳んだり跳ねたり、何なら高所から落下しても底が抜ける心配も無さそうだ。

 この柔らかさなら高いところから落ちてもクッションになりそうだな。


「………」

『キュルルゥ!』


「あ、待ってくれよ。ミハクにコクア!」


 雲を観察している時、ミハクは俺達を一瞥して先に進み、その頭に乗るコクアは相変わらず楽しそうに吠える。

 俺達もその後を追い、雲の道なき道を進む。沈むように歩くのは疲れそうだが、思ったよりかは疲れない。この世界での身体能力向上の影響もあるんだろうけど、割とすんなり進む事が出来た。


「一体何があるんでしょうね。ミハクちゃん達……何となく何かを知っているかのように進んでいます」


「実際に知っているのかもな。下で拾った龍の置物……偶然か否か、ミハクとコクアも龍。ここに龍の置物があった事から考えても、何らかの形で龍を信仰していた文明か何かはあった筈だからな。その何かが何なのかは分からないけど……まあ、基本的には曖昧な推測だ」


「痕跡が見つかりませんからね。曖昧なのも仕方の無い事ですよ。ライトさん」


 この、嵐の中にある雲の島が龍に関係している事だけは明白。それを踏まえた上での行動。なんにせよ、このままミハク達が向かっている場所に行けば何かは分かるだろうし今は景色と雑談を楽しみながら進むとするか。


「……そう言えば、いつか一緒に行こうってソフィアと話していた空の上にある島……ここがそうなんだな。結局その約束は果たせなかった……」


「……。そうですね……出来る事ならソフィアさんと一緒に見て回りたかったです」


 綺麗な、天国のような光景。この世界にて旅をした当初のパーティから一人と一匹増えたが、一人は足りない。

 この世界が始まった当初の人数からはおそらく四桁。いや、五桁から六桁の単位で人が消えている事だろう。家族を失ったプレイヤーも多い筈。そう言えばユメとソラヒメ、セイヤの親はどうなんだろうか。

 しかしながら、身近な者を失う辛さはよく知っている。もしもここにソフィアが居たらと考えると、その反応などを見てみたかったといたたまれない気持ちになる。


「けどそれは叶わない願い……ソフィアに託されたし、この世界の攻略を急ぐか」


「はい。私もソフィアさんと約束しましたから。ソフィアさんとの勝負にも勝ちます……!」

「勝負?」

「ふふ、こちらの話ですよ」


 ソフィアとユメの勝負か。気になるが、俺には関係無いらしい。

 ユメは悲しい、遠い目付きの中でも笑顔を作る。その勝負はまだ続いていて、その中でソフィアはまだ生きているのだろう。

 本当に強いな。俺もそんなユメに似合う男になれるよう努力しなくちゃならないか。


「ライトー? ユメちゃーん?」

「ああ、悪い悪い。少し考え事をしていたんだ」


 先に進んでいたソラヒメから声が掛かる。今の話は聞こえていないみたいだが、ソラヒメも確かな悲しみを覚えている筈。セイヤもそう。

 だけど先に進んでいるんだ。だったら俺も後を追いながら進むか。


「………」

「……! ここは……」


 それから数分進み、ミハクがとある場所で止まる。どうやら着いたらしい。ふと上を見上げると、俺達の視界には巨大な門のような扉が映り込んだ。


「扉……左右というか周りは壁だな。唯一の入り口って言った感じだ」


「横幅もそうですけど、凄い高さですね……何十メートルでしょうか……」


 見上げても先が見えない。高さは何十メートルどころか、何百、何千メートルくらいはありそうだ。世界最高層の建造物をも遥かに凌駕する高さだろう。


「鍵穴……のような場所は無いな……開いているのか?」


「どうでしょう?」


 見たところこの門に鍵穴などはない。高過ぎて見えない可能性もあるが、本当のところは分からない。

 俺達が近付くと脳内に声のようなものが響いた。



【──確認。認証。“巨龍の宝鱗”。扉が開きます】



「「……!」」

「「……!」」


 ──聞こえた声。それは以前、俺達が巨龍の化石があった場所から見つけ、コクアが食したアイテムの名。

 それの確認と共に巨大な門が開いた。


「まさか……あのアイテムの名って……!」

「あの時の……!?」


 その門が開かれた瞬間、俺達は光の中へと吸い込まれるように飲み込まれた。



*****



 ──“龍の楽園”。


「「……!」」

「なっ……!」

「ここは……」


 空を飛び交う、幻獣の姿。それは元の世界の爬虫類にも近く、ゲームや漫画。この世界でも何度か見たもの。

 ソラヒメとセイヤは息を飲み、俺とユメも息を飲んで何とも言えない声が漏れた。

 空に浮かんだ文字、ここの地名。“龍の楽園”。

 俺達は前に開けた扉の先、“龍の楽園”へと到達した。

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