1話 彼の人生
読みづらいかもしれませんが最後まで読んでいただけると幸いです。
また一話目の大半は語り部が語っているため主人公目線ではありません。それを理解して呼んでいただけると幸いです。
森の中で一人・・・その青年はあと一分も持たず死ぬであろう状態でいた。その青年に名前はない。生まれてすぐ親に捨てられとある組織に拾われた。
彼は天才だった。
五歳にして五つの言語を習得していた。
数学では教えることもなければ習うこともないと言われたほどだ。
彼は髪が白く目が赤い。
元々は別の色をしていただろう。
しかしなぜ今そんな状態なのか?
その組織は人体実験を国家公認でしていたからだ。
もちろん公にはなっていない。
八歳にしてその少年は勉学において教わることは何もないと言えるほどの知識を入れられていた。変わったことは赤色だったその目は黒くにごっている目になっていたことだ。
次は無理やり身体能力をあげる実験をされていた。
投与される薬の利用も増え体によく分からないものを埋め込められもした。彼の目は次第に黒くなっていた。
十歳にして彼はその組織にいる人間を皆殺しにした。
その目は見ただけで人を殺せる程黒くなっていた。
だが街を歩く彼を恐れているのはその目ではなく拷問されたあとの傷・・・身体中を流れる血にズボン以外何も履いていないその姿。
だが・・・どんなに人体実験され人間離れした運動能力を持ってても所詮は人間。剣を通さぬ皮膚を持とうが銃で打たれればさすがに体に傷が着く。
何十発と当たれば致命傷をおう可能性だって低くない。
血をずっと流したその体に限界は来ていた。
彼は路地裏に入りそのまま倒れた。
次に目を開ければそこには一人の女性の顔があった。
紫色の髪に紫色の目・・・眼鏡をかけ常に白衣を羽織っていた。右目の斜め左にホクロがある。
名をローズ・・・彼女は死にかけていた彼を家に入れ治療を施した者だ。彼女は医者の仕事をしているらしい。
彼女には暖かいスープを食べさせてもらった。
彼は泣くほど美味しかった。
彼女は怖い時一緒にいてくれた。
彼は怖いのを忘れ直ぐに眠ることが出来た。
彼女は人との接し方を教えてくれた。
彼は少しずつ友達を増やしていった。
彼女は面白い話を沢山してくれた。
彼は・・・・・・・・・
いつしかローズは彼にとって掛け替えの無い者になっていた。親友のアズもリリもサーズもイシナも彼にとって大切な人だった。
彼の目はいつの間にか赤色の目に戻っていた。
しかし現実をそう優しくはなかった。
彼等は国によって派遣された暗殺者達だった。
彼は大切な人と思ってもローズ達にとってはとてつもない力を持った化け物・・・殺さなければならない対象。
ただそれだけだった。
彼はその事実を知ることなく三年の時が過ぎ十三歳になった。彼は彼女達に一切の警戒をしなくなっていた。
それはそうだろう。
生まれてすぐ暗く狭い牢獄に閉じ込められ普段は誰かも分からない大人たちのモルモット。与えられる食事はパン一つに冷めたシチューと変わることの無い食事。
体を強化するようになってからは拷問が始まった。
最初は泣き叫んだあの痛みも今では何が痛かったのかが分からない。彼はずっと独りで孤独に生きてきた。
誰も自分を助けてくれなかった。
誰も自分を見てくれなかった。
誰も彼を・・・・・・人として見てくれなかった。
心を閉ざし、誰も信じず、自分の力だけで生きてきた彼も心は十歳・・・・・・。温もりが欲しかった。
優しくして欲しかった。
心配して欲しかった。
褒めて欲しかった。
自分を見て欲しかった。
抱きしめて欲しかった。
頭を撫でて欲しかった。
自分の為に怒ったり泣いたりして欲しかった。
そんな状態の彼にとって心を許すなという方が酷だろう。彼は暗殺者の前で完全に心を許してしまったのだから。
あとは転々表紙に事が進んだ。
森にみんなで行くことになり親友からマシンガンで後ろから追撃・・・後ろを見た瞬間前にいたローズに両目をナイフで刺される。
そして流れるように右から蹴られて落とし穴に落とされる。そこには時限式爆弾が大量に置いてあった。合計172個・・・他その他の爆弾が用意されていた。
遠のいてく笑い声・・・・・・。
チッチッチッチッチッチッチッチッ
爆発までの音が鳴る・・・・・・。
これは悟っただろう。
騙されていたのを・・・・・・。
彼にみせてくれた笑顔も、彼に与えた温もりも、全て偽りだったのだろう。だが彼は、涙を流さなかった。
何がいけなかったのだろう?
どうして俺はこんな目にあっているのだろう?
世界で一番不幸などと言うきは無い。
俺以上に苦しんだ人も世界には入るかもしれない。
チッチッチッチッチッチッチッチッ
求めたのが行けなかったのだろうか?
温もりなど求めず、人など信じず、ただ自分の力だけで生きていればよかったのだろうか?
愛情とは何か?
俺はよく考える。
ローズに出会って今さっきまではこういう事を言うのだろうかと思っていたが違ったのだろう。
チッチッチッチッチッチッチッチッ
愛情等元からなかったのだろうか?
悲しいかな・・・どうせ裏切るのならこんな気持ちを教えないでくれたら良かったのに・・・・・・。
どうせ悲しくなるのなら俺は・・・・・・
チッチッチッチッチッチ───────
彼は涙を静かに流し誰にも聞かれることの無い
「・・・・・・・・・・・・・・・愛ってなんだろう?」
ピ───────────────────
その言葉を発した。