第八話 宣戦布告
あの冒険者の後、何人かダンジョンにきた。最初は人気がないのかなぁ…なんて思っていて、気長に待とうと思っていたら、開放10日目位で、ぞろぞろと挑戦者達が来るようになった。どういう事なのか不思議に思い、コアに確認したところ、
「救済措置のあるダンジョンなんてここだけだし、いい訓練所になると思って来たんじゃないのか?それよりも、ダンジョン外周に宿とか飲食店とか建ってるけど、どうするんだ?あれ。」
「あれか?放置でいいぞ。あそこもダンジョン領域内だから人がいるだけでDP入ってくるし、それにつられて冒険者の街になってきてるみたいにだしな。そのうち訓練街みたいになるんじゃないか?」
むしろそうなってくれたら理想的だ。こっちは簡単にDPを稼ぐ事ができるし、むこうは挑戦者の訓練が出来る。両者に得しかない関係だ。お陰で毎日最低1万DPの収入があるからな。召喚陣も少しずつだが増やして、戦力の増強を図っている。
そんな生活が2ヶ月程続き、街も少しずつ大きくなり得られるDPも日に10万の大台に乗っかった頃、コアに手紙が届いた。また神からの手紙かと思ったが、どうやら他のダンジョンマスターからの手紙らしい。
「おいマスター、まずいぞ。これはダークナイツからの宣戦布告だ。」
「ダークナイツ?宣戦布告?どういう事だ?」
「ダンジョンどうしはマスターの同意があれば同盟を組む事が出来る。その同盟で中堅の実力を持つのがダークナイツだ。そして宣戦布告はその名の通り、このダンジョンとダークナイツが戦争状態に入ることを意味する。どうやらダークナイツは俺達のダンジョンで挑戦者が強くなるのが面白くないらしい。これは当然だ。自分達のダンジョンが攻略されやすくなるわけだからな。」
「は?戦争?そんなの聞いてないぞ!?せめて事前に説明しておくとかはしてくれよ…」
「3ヶ月後に交流会ってのがあるんだが、その前に新人ダンジョンマスターを攻撃する事は余りないんだ。だからその時に言えばいいと思っていた…すまない。俺の想定不足だ…」
まぁ、コアも謝ってくれてるし、これはいいとして、それよりも、「コア、そのダークナイツ?のダンジョンを攻略すると何かいいことあるのか?」
「ある。相手のダンジョンコアを破壊、奪取する事で、相手のDPと魔物、召喚及び召喚陣を総取り、出来るメリットがある。」
なるほど、戦争はやはりハイリスクハイリターンって訳か…今回の相手にとってはハイリスクノーリターンだと思うがな…
「それで、ダンジョンの戦争ってどうやるんだ?」
「まず、お互いのダンジョンが向き合うように広めの平原に飛ばされる。そして平原にお互いの魔物の布陣が完了したら前哨戦が始まる。その前哨戦で敵の魔物を全滅させて初めて、敵のダンジョンに侵攻出来る様になる。そうして敵のダンジョンコアを破壊、もしくは奪取する事で勝利が確定する。」
「それで、戦争はいつからやるんだ?」
それで勝てるかどうかが決まる。
「1ヵ月後だそうだ。」
勝てるか微妙なラインだな…。「急いで準備をしよう。出来るだけ人型と獣型の召喚陣を増やしてくれ。それと挑戦者達が巻き込まれない様に戦争前日にはアナウンスして、強制脱出させて、出入り口を封鎖してくれ。俺達に敵対した事を後悔させてやろう。」