ワイバーン討伐
ワイバーン討伐クエストの場所は街から離れた岩山だ。
装備を整えてクエストの地点まで辿り着いた僕達は、早速ワイバーンを狩り始めることにした。
ワイバーンは一応、ドラゴン種である。但し、ブレスを吐いたり魔法を使ったりはしないし、知能もそれほど高くないようだ。そのため罠にかけて殺すのが一般的なのだが、今回は正々堂々と戦おうと思う。
「サーシャとムートは2人でワイバーンを倒せるか?」
僕は当然倒せるだろうと思って聞いたのだが、
「?…倒せるわけないじゃないですか。何を馬鹿なことを言ってるんですか?」
「ワイバーンは小隊を持ってきてようやく一体狩れるかどうかのモンスターですよ?僕達如きだけで倒せるわけないですよ。」
…何かおかしくないか?
「お前ら2人はクエストに来る前にギリギリいけるとか言ってなかったか?」
「はい、言いましたけど、当然小隊を2つほど雇っているものだと思って答えましたよ?」
…はぁ、なんてこった。ワイバーンってそんなに強いのか。
「悪いが、小隊は雇っていない。僕達だけで討伐するつもりだ。」
その宣言に琴音を除く2人が
「「ええ!そんなの、勝てるわけないよ!」」
と、仲良く言ったこと自分が致命的な勘違いをしていることを確信した。
「はぁ、仕方がない。僕が1人でやるよ。」
僕が発した一言に、2人が反対するかと思ったがサーシャとムートは呆然としてブツブツと何かを呟いている。どうも聞いた無いみたいだな。
「琴音、2人を守っとけよ。」
「うん!わかったよ!「シールド」!「魔力障壁」!」
琴音が治癒魔法の派生である2種の防御魔法をかけたことを確認して僕はワイバーンに向かっていった。
「ふぅ、やるか。「身体強化」「魔力強化」「反応速度上昇」「知覚速度上昇」「魔力活性化」」
僕は自身に幾つかの付与効果をかけた。それぞれ名前の通りの効果だ。「魔力活性化」は自分の体の魔力の循環スピードと純度を高めて、魔法の発動速度と威力を上げる魔法である。
先ずは近くにいる1匹から殺ろうか…
「…ッ!!」
身体強化による神速での移動からの一撃。ワイバーンは反応すら出来ずに絶命した。
「この調子でここら一帯のワイバーンを狩るか…」
ここから、一方的な虐殺が始まった。
狩り始めて1時間ほどでワイバーンは狩り尽くされた。元々数がそれほどいなかったため意外と早く終わることが出来た。
「狩った数は…大体20弱かな。」
僕の報告を聞いて、サーシャとムートは
「本当ですか…?こんなのもう勇者クラスなんじゃ…」
「すごーい!この調子で英雄になっちゃえば!?」
僕には勇者と英雄の違いがわからなかったが、一般的な記録ではないことはわかった。というか、分かっていた。
「翔!これ、ギルドに正直に報告したら目立っちゃうよね?どうするの?」
琴音の言っていることはもっともだ。目立つのを避けるようにした僕達はこれを隠すべきだろう。しかし、僕はたっぷり20秒程考えた末導いた答えを3人に告げた
「これを正直にギルドに報告する。そして、目立つ。」
これからが忙しそうだな。