アイテム職人の杖の作り方
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ふわりと紅茶の薫りが漂う中、ルリは一人瞑想していた。その向かいでは改築された店の中をキャロキョロと見つめる漆黒の男。
紫黒の瞳がキラキラと少年のように好奇心を讃え、飾られた武器を見つめている。
「ずいぶんと店が広くなった。これは全部ルリが作っているのか?」
「ええ。」
突然降って湧いた自称番にルリは緊張しつつも短い返事をする。
「その、俺は詳しいことはわからないけど、ルリは鍛冶師じゃないのか?装飾があればポーションもあるがそれは細工師や錬金術師の分野だろうし、魔道具の外装のぬいぐるみ?は縫製士とも思うし、杖は杖師とかに入るのでは?」
その語り口から探るような、もしくは責めるような気配はなく、むしろ楽しんでいる空気を感じすら漂う。
「あ〜。始まりは鍛冶師です。ただジョンが……あ、ジョンっていうのはここの建物であるダンジョンのことなんですが、私が鍛冶屋としてここに住んで店を構えるにあたり、ジョンの望むアイテムを作成しすることを条件に共生してるんです。なので、武器以外の物を要求されたら作るしかないんですよ。」
あさっての方向を見ながらるりは続ける。
「この増築だって、ジョンが上位ポーション欲しいから作れって言うけど流石に錬金用の部屋がないとそろそろキツイってことで増築になったんです。」
「って、ことはルリはこのダンジョンのボスってこと?」
レイヴンの素朴な疑問にルリはこてんと首を傾げる。これまで自分が作りたいものを作り、求められるままに作っていただけなので考えたこともなかった。
「え〜と。そうなるんですかね?私はよくわかりませんが〜。」
共生ということならダンジョンにとっては魔物と同じ扱いなのであろう。
あえてそのあたりは濁す。
「そういえば杖と魔道具の使い心地はどうですか?なにか不便などありませんか?」
「ああ。すごく手に馴染む。魔道具の失せ物探しは意外といいな。目当ての魔物を探すのに重宝する。だか……そうだな。せっかくだから杖は新しくオーダーメイドを頼みたい。」
「それはもちろん。なにかご要望がありますか?」
「そうだな……。俺は闇と雷持ちなんだ。あとちょっとだけ光もある。前に使っていたのはニワトコに雷獣の爪を芯にした物だったんだが、先週霧散させてしまって……。」
「霧散するほど魔力が上がったということでしょうけど……。そんなの初めて聞きました。樹木の杖ではないほうがいいのかもしれませんね。ちょっと失礼します。聞き手は右ですか?」
いうが早いか、ルリはレイヴンの右腕を触り始める。筋肉の付き方や手首の曲がりを確かめる。
「ちょっと魔力流しますね。」
にぎにぎしていた手を止めてレイヴンの掌に自分の掌を重ねて少しずつ魔力を流す。
「なるほど。雷の魔力が強いですね。これなら素材をもっと雷耐性のあるものにして伝導率を上げないと霧散するのも納得です。サンダーバードの羽とペガサスの蹄、ヌエの鬣を芯に入れて、ブラックスライムの粉と雷獣の核、エンシェントドラゴンの牙を混ぜたインゴットを使えば良さそうです。」
言いながらも手はレイヴンの肘から下の長さを図っている。
「あ〜でも雷獣、サンダーバードとエンシェントドラゴンの素材がないので暫くお待ちいただかないといけませんが……。」
申し訳なさげに言い募るルリの前に琥珀のように透き通った黄色い石が出される。
「えっと……。」
差し出された素材にルリは目を丸くする。
「タイミングのいいことに今日杖の試し打ちで倒したんだ雷獣。使ってくれ。それに足りない素材は俺が取ってくるよ。自分のために使う素材だからね。」
「でも、それぞれ稀少種だし簡単に倒せる相手じゃ……。」
「問題ない。魔道具のおかげで索敵能力も上がった。それに俺はこうみえてもAランクの冒険者だから。」
ニコニコと微笑まれてしまったらそれ以上何も言えなかった。
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