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獣人さまと一緒  作者: 牧野りせ
鳥獣様と一緒
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朱之鳥は真実に目覚める

お越しいただきありがとうございます。


誤字報告ありがとうございます!


✽✽✽✽✽✽✽✽✽


今回はエリュトロン視点です

 その日は珍しく非番だった。


 王国騎士、第四士団の団長であるエリュトロン・ショゥビーン27歳は自宅の窓から外を眺めてため息をついていたいた。


 「ティナ嬢が靡いてくれない。辛い……。」


 行儀など気にすることなく執務机に備えられた回転椅子の上で膝を抱えていた。年甲斐もなくクルクルとまわってみる。


 「ゔっ……。」


 「気分が悪くなるならお辞めになればどうですか?」


 呆れた風の執事がこちらを見下げている。いろんな意味で。


 「なぁ、どうやったらティナ嬢は振り向いてくれるんだろう。贈り物は沢山してるのに……。」


 ティナ嬢は同じ第四士団の部下だ。彼女がうちの団に入って来たときに好ましいと思った。それから沢山のプレゼントを渡してきたが、受け取ったはくれるものの好意が返ってくるふうではない。


 「ところでぼっちゃま。」


 「ぼっちゃまはやめろぉぉ〜……俺27なんだけど……。」


 最後は尻すぼみになりながらもブツブツと答える。


 「私はこれから例の品を受け取りに参ります。」


 「ああ、ティナ嬢へのプレゼント……か。」


 頭の中にティナ嬢を思い浮かべる。入団当初「団長、団長」と雛のようにくっついて回る姿は随分と庇護欲を掻き立たされた。それから少し成長して剣を覚えると今度は覚えたての技を得意げに見せてくる。単純に可愛いと思う。好ましい。


 暫く考えてからふと思いつく。


 「や、俺が行こう。お前は忙しいだろうし、珍しいものがある店なんだろう?自分の目で見て他にいいものがあれば見繕って買ってこよう。たまには数で押すのもいいかも……しれない……。」


 「あまりやりすぎもどうかと思いますがね。」


 なにか言いたそうな執事をおいて、獣化して空に羽ばたく。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 その店は森の中にあるという。


 王都から馬でも一日はかかるだろう距離を鳥となって半日ほどでたどり着く。


 何もこんな街から離れたとこで商売しなくても。と、他人事ながらに心配してしまう。


 木立から目的の店にたどり着くと獸化を解いて地面に足をつける。


 「山小屋?」


 騎士団に所属していればもちろん地方への遠征もある。当然田舎の商店にも行ったことがあるので王都の豪奢な店だけが店でないことは理解している。


 しかし、商店らしく間口が広いわけでも中が見える窓があるわけじゃない。


 どこから見ても狩人の山小屋といった風情だ。それでもここが店だとかろうじてわかるのは入り口の横に黒板がおいてあって、そこに『ジョンのアイテム用品店』と書かれているからだ。


 片開きの木製の扉を開けて中に入ると中はお世辞にも広いとは言い難い店だが、壁にかけられた剣や短剣を眺めていればそれがなかなかの名品であることがわかる。


 そのへんの武器屋ではお目にかかれない。A級S級ダンジョンで手に入れるレベルだろうと思われる。


 魔法効果でもついているのか、武器の種類ではなく色ごとにまとめられた棚と壁はずいぶんと目を楽しませてくれる。


 店の中央の台を見ればご婦人が喜びそうな物が並んでいる。ティナ嬢に似合いそうなものはないかとそこを眺めてみる。


 凝った作りと王都ではみないようなデザインが面白くて思わず前のめりになる。


 「いらっしゃいませ。」


 耳に届いた金玉の声に思わず振り向く。


 店の奥から出てきたのは癖のある濃紺の髪を首の後ろだけ伸びた部分を結んでいる。鳥族によく見られる髪型はインナーだけ朱が混じっている。二重の大きな黒い目には長いまつ毛が影を落として神秘的に見える。


 (あの色はルリカケス族だろうか。)


 全身に電撃を受けたような衝撃。羽毛がぶわりと逆立って全身を駆け巡る。


 衝動を悟られないようにちらりと台に視線を落とせば、青い鳥がモチーフになったピンを手に取る。


 回復薬が並べてあるカウンターに近づく。


 (どうしたものか……。目が離せない。)


 人生で感じたことのない衝撃に戸惑っているうちに心臓が早鐘を打つ。ドクドクと耳に響くそれが煩い。


 再び声をかけられて我に返る。


 名前を告げれば店員はわかったようで、カウンターの下から一つの箱を取り出し中身を見せられる。ティナ嬢のために注文していたアクセサリーだ。


 それを見た途端に胸の中に鉛のような重みが押し寄せる。


 (なぜ俺はこんなもの頼んだんだ?番でもない相手に……?)


 今まででは考えられない思いに驚愕する。


 包むかどうかを問われてやんわり断る。もうこれを彼女に渡す必要はない。包む必要もない。


 手に持っていたピンをカウンターに乗せて一緒に会計をしてもらい、革袋を出す。多めに入れててよかった。


 ひとまず箱を懐に入れて、ピンを手に取ると彼女の髪に留める。


 少女が自分の選んだものをつけているだけでほのかな満足感で胸がいっぱいになる。


 驚いた顔が可愛くて頬が緩む。


 店を出て暫く歩いて木にもたれかかる。


 「ーーっ!」


 ずりずりとしゃがみこんで頭を抱える。


 ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待て!


 俺の番はティナ嬢じゃなかったってことか?!


 今朝まで頭の中はティナ嬢で埋め尽くされていたというのに今はその顔も思い出せない。


 その代わりに頭の中は先程の少女しか浮かんでこない。ルリカケス特有の濃紺と朱の髪。


 (見た目より滑らかで手触り良かった……。)


 ふと、自分の手を見つめる。


 あの肌はどんな手触りだろう……。ぷっくりとした唇を啄めばどんな感触だろうか。


 惚けたように空を見上げて正気にかえる。


 (俺は変態か!?初めてあった少女になんてこと妄想して……!) 


 ティナ嬢相手にもこんなこと考えなかったのに……。


 考えなかった……?


 そして驚愕に目を開く。


 (つまり俺の番は彼女か!!)

ご覧いただきありがとうございます!


今回は恋愛要素に気をつけて気をつけて

ズモモモモモモ……

と、強迫観念背負いながら(笑)書いてます。


これからも頑張ります!よろしくお願いします

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