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獣人さまと一緒  作者: 牧野りせ
獣人パーティと一緒
41/86

黒狼は頭を抱える

クロウ視点です。


――――――――


お越しいただきありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

 クロウは一人苦悩していた。


 冒険から戻った足でギルドマスターの部屋に行き結納金としてその日の戦果すべてを差し出した。もちろんこんなもので足りるとは思っていないが長年見守っていた番にこれ以上余計なやつが出てきてもたまらない。とにかく己の存在意を示す必要があった。


 クロウの状態を把握しているギルドマスターも協力していてくれていることを知っている。


 (でも、許可をもらったからといって本人に無断で婚約指輪を嵌めてしまったのは早計だったかもしれない。人族の習慣だと男が跪いて愛を囁いて結婚を申し込むものらしいし……。)


 知らなかったとはいえ、うら若き少女にも憧れぐらいあっただろう。余裕もなく慌てた男たちの意地の張り合いによって壊してしまったのかと思うと、己の行為に沈む思いだ。


 事実彼はいつもの屋根の上で愛しき人の家を観察し続けてもう三日がたつ。特に目立った動きはない。


 むしろないからこそ不安である。


 冒険の間家には誰もいなかった。保存食くらいはあるだろうが、いまだに買い物にも出ていないというのは大丈夫なのだろうか。


 自分ならありえないと思う。


 種族の違いがそうさせるのか、性別の違いがそうさせるのか、これまでも何度か数日家から出てこないことはあったがそのたびによぎる不安は拭えない。


 (家の中を動き回る姿は窓からちらほら見えるし大丈夫なはず。)


 自分に言い聞かせるように胸の中で繰り返す。


 (で、でも食事忘れてることもあるし。)


 そのうち倒れでもしないかとハラハラする。ここはさり気なく何か食べ物をもっていくべきか。しかし、婚約の件をどう思っているかわからない今下手に動けない。


 しかも今回はこれまでと何かが違うと、長年見守り続けているクロウは感じ取っていた。


 いつものように毎日洗濯している。してはいるが、なぜか大物が多い。大きな布を何枚も洗っているし、絨毯は入念に干して叩いてホコリや汚れを落とし、表を内にして巻いては納屋にしまっていく。


 ほかにも多くのものを運んでいる姿を見た。たまに大きなものを抱えているのを見かけて飛び出したい衝動を何度も抑えた。


 「もしや…模様替えをしてるのか?これまでそんなこと一度もなかったのに?」


 これまでかたくなにそんなことはしなかった。むしろあの日から家の中の時を留めておきたいかのようにフロンティアは現状を維持しつつづけた。本当に必要ね迫られなければ新しいものは購入すらしていなかった。


 まさか身の回りの整理を始めたのだろうか。


 なんのために。


 まさか婚約が嫌で逃げ出す準備をしているのだろうか。


 それほど嫌だったのか。


 これまで長期で留守をした時もこれほど入念に整理していた様子はなかった。


 おまけに入念な掃除まで始めたではないか。


 (いかん、頭が……。)


 目の前が暗くなるとはこういうことか。と、頭を抱える。


 いなくなると考えただけで気が狂いそうだ。


 (これは一刻たりとも目を離すわけにはいかない。)


 並々ならぬ闘志を胸に秘めクロウは昼夜問わず見張りと言う名の見守りを決意する。


 他人の家の屋根の上で。



ご覧いただきありがとうございます。

なんと不在(?)の間にブックマークが80件も!!

ありがとうございます!ありがとうございます!

このまま三か月放置したら100越えでは!?(んなアホな)


精進してまいりますのでよろしくお願いします。

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