冒険者は考える
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ちょっとした状況整理です。
穏やかな日差しの中遠くで鳥のさえずりが聞こえる。ぼんやりした頭の中でフロンティアは確認するように指に居座るソレを見下げた。
じっとりと。
ぴったりとはまった凝った意匠4本のリングがドーンとさり気なく存在を主張している。
ただただ怖い。
自分の人生設計にある日起きたら四人の婚約者がいて証の指輪を嵌められていたなんてどんな御伽噺にもロマンス小説にもなかった。
正直どうしていいかわからない。
こんな時に導いてくれるはずの両親はいないのだ。相談できるはずの相手は叔父だがこの惨事の一因を担う叔父に相談すべきことなのか悩む。
やはりどうしていいのかわからない。
ただ現実としてわかるのは自分に家族ができるらしい。ということだ。しかもいっぺんに4人も。
ここに至ってはたと気づく。
(生活拠点はどこになるんだろう?)
普通の一夫一妻であるならばどちらかの入り先の家へ伴侶が身の回りのものと一緒にやってきてやがて親から引き継ぐものである。
そもそも自分は向う側なのか迎え入れる側なのかすらわからない。もし誰かの家に移るなら残り三人も転がり込むのだろうか、義理両親と夫と他の夫と嫁が同じ屋根の下で暮らすなど許されるのか…?
否。
フロンティアの中にそんな常識は点在しない。
(となると、自分が毎日交代で四人の家を訪れればいいのだろうか。)
まるで旅人のようだ。と他人事のように考えて頭を振る。
そんな生活嫌すぎる。落ち着かない。ひどく尻軽な人間に思える。好きでこんなことになってるわけでもないのに。
ちょっと理不尽ではないか。とすら思えてきた。
第一、この家を離れる気なんてない。大切な家族の思い出が詰まった家だ。
そう思って改めて部屋を見渡した。
平民の女子が寝起きするには十分な広さで、向かいの弟の部屋も同じ広さだ。隣の部屋は両親がいつ家族が増えてもいいようにと空き部屋にしていた。空き部屋の向かい側にも部屋があり、そこはこれまでフロンティアと弟の成長段階で使われなくなったものが大切にしまわれている部屋だ。
家族がもう帰らないことは理解していたが、何かの間違いでふらっと帰ってくるかもしれない。という思いから家具はおろか物の配置ひとつ変えていない。
今はそれが思い出となって自分を縛り付けるものになっていると理解しても変えることができずにいる。
(家族になるってことは四人がここに住むこともありえるのかしら?)
ようやくその考えに至って自室を出た。
向かいの弟の部屋にあるベッドは子供用で小さい。テディなら使えなくもないが、寝具は水色の星柄だったりカーテンが動物柄だったりとあまりにも子供用過ぎて使ってもらうにしても部屋の調度は変えなければならないだろう。
逆に他の部屋は必要なものがない。空き部屋は絨毯とカーテンと弟には合わなくなったベビーベッドが新しい主を迎えることなくずっとそこにたたずんでいるだけだ。
これまでの物も処分するべきかもしれないと思いつつ手を出すことができないのだ。
ご覧いただきありがとうございます。
一か月も更新せずにすみませんでした。7月に参加したイベントの片づけしてたら旦那が失業するわ子供は夏休みだわとてんやわんやでした。すこしずつペースを戻していきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。




