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獣人さまと一緒  作者: 牧野りせ
獣人パーティと一緒
38/86

冒険者は歩を進める

お越しいただきありがとうございます。


評価・ブックマークをくださった皆さんありがとうございます。

ちょっと7月中にイベントごとに参加が決まり更新遅れ気味になりますがちゃんと完結させますので気長にお付き合いいただけると幸いです。

 「ところで、ティアはもう大丈夫なのか?あとはこの先の道を降りたらダンジョンボスだが。」


 いくら聖樹の加護で傷が回復したとはいえ、つい数時間前まで流血し気絶していたのだ。心配はもっともだろう。


 ただでさえ番に対する感情のふり幅も大きいこともあって、獣たちの表情は迷子のようだ。


 「大丈夫だと思う。魔力も問題なさそうだし、傷も痛くない。」


 安心させるように微笑んだ後でふと気づく。


 「ところでなぜ私は服を着てないんだろう?」


 意識がはっきりしてくると冷静に自分の状況を把握する。体をぐるぐる巻きにしている脳紺色の布の中は下着に白の二―ソックスしか身に着けていない。ひざ丈のブーツは少し離れたとこに落ちている。


 幸いなことに彼らが獣の姿ていたためにフロンティアはあまり羞恥を感じなかった。その為彼らが攻められることも嫌われることもなかったのは幸いだったと言えるのだが、獣たちは焦りを隠せない。


 「それは、治療や体を綺麗にするときにシャツをダメにしてしまったんだ・・・・・・。ごめん。僕がぼうっとしていたから……。」


 尻すぼみになり最後は完全に落ち込んで下を向いてしまっている。大きな白い体を丸めているがその存在感は消し切れない。


 (どうしよう。落ち込んでいるはずなのに可愛いなんて言えない……。)


 何処までも暢気なフロンティアである。さらに落ち込ませてはいけないので余計なことは言わずにいようとも思う。

 

 「テディ、そんなに落ち込まないで、服は予備があるから大丈夫だよ。」


 おもむろに手を伸ばしふわふわの毛を撫でる。脱いだものは処分されてしまったのか、そのあたりには見当たらない。


 隅に置いてある鞄を取りに行きごそごそと中を漁る。布地の感触を受けてえいやと引っ張り出す。中から出てきたのは襟に刺繍の入った薄桃色のブラウスと髪と同じ絵具を混ぜたような白みがかったエメラルド色のホットパンツには白のレースが縁どられていた女性らしいデザインの服だった。それを手早く着込む。


 ついでに落ちていたブーツを履くとさらさらと髪が肩から落ちる。この長さもそろそろ邪魔かもしれない。と内心つぶやくも結局いつものように放っておくのだろうと自問する。せめてうっとうしくないようにと一度髪を解き乱れたそれを手櫛で整え慣れた手つきで耳の横にまとめ鞄から出したブラウスと同じ色のリボンを巻き込んで編んでいくと最後にキュッとリボンを結んだ。


 その様子を食い入るような8の瞳が向けられている。


 (着替えの様子が珍しいのかな?尻尾も耳もないから不思議だとか……?)


 視線には気づくものの、あえて何も言わないほうがいい気がしてフロンティアはあえて何も言わなかった。本能がそれを避けているとは当の本人は気づいていない。


 「さすがに外套の予備はないけど……。」


 せめて先ほど来ていたものがないかと見まわすがそれらしいものはない。


 (街に戻ったら新しいの買わなきゃいけないか。)


 特別思い入れのあった品ではない。むしろそろそろ買い替えねばと思っていたものをもう少しと先延ばしにし続けていたので案外丁度良かったかもしれない。


 しかし、それはそれ、これはこれ。


 今まで身に着けていたものがなくなるというのはダンジョン初体験のフロンティアにとってだいぶ心もとないように感じる。そもそも彼女は魔法全般で戦い武器はほとんど扱わないので前線に立つことは無い。その為いざというときは逃げることの方が優先なので重い鎧の類は身に着けていないのだ。


 外套すらつけていないの様子はちょっと近所にお買い物と遜色ない。


 身の置き場に困っているといつの間にか人型になったクロウが何かを肩にかけてくれる。濃紺色のそれはまだ暖かく、先ほどまで身に巻かれていたものだとわかった。


 「俺ので悪いが、他の奴のより長さは近いと思う。何もないよりはいいだろう。」


 「あ、ありがとう。」


 (そっか。これクロウのなんだ・・・・・・。)


 見下ろすとギリギリ引きずらない長さで、階段だと踏んづけることは間違いない。気を付けねばと思いつつ、素直にその優しさが嬉しかった。


 「おかげで私は問題ないけど、みんなは平気?」


 見渡せば各々人の姿に戻っている。もう少しモフモフを堪能したかったとは言い出せないので少し残念に思うが、それを表に出さないようにした。


 「ティアが大丈夫なら早くダンジョンボスを倒して戻ろう。いくら今問題がないとはいえ素人判断では何かあったら問題だ。」


 「そうですね。スクロールを持っていますので帰りは簡単ですし、早く医者に診てもらうべきでしょう。」


 クロウの言葉に同意するようにトマホークが続けた。


 スクロールとは自動転移先の魔法陣が書かれた羊皮紙で一枚につき一度限りだが誰でも扱える便利な代物だ。


 「ここのボスはそんなに難しくないんだ。さっさと倒して宝物庫のお宝持ち帰ろうぜ。」


 ダンジョンボスは倒せば何かアイテムを落とすわけではないし、その体から採取する部位以外は特に何かあるわけじゃない。


 ただし、ダンジョンで死んだ冒険者の持ち物や魔物が見つけたものなど、ある一定の基準を満たすものは自動的にボス部屋と呼ばれる空間の向こうにある小さな部屋に集められる。それがダンジョンという巨大な魔物の特性らしい。


 一説によれば鉱物に反応して集まるとかなんとか。しかし、その詳しい事情は明らかになっていないし、ダンジョンごとである程度差がある。


 フロンティアの無事を確認すると5人は階下を目指して歩を進めるのであった。




ご覧いただきありがとうございます。

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これからもよろしくお願いします。

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