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獣人さまと一緒  作者: 牧野りせ
獣人パーティと一緒
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冒険者は焚火を囲む

お越しいただきありがとうございます

 食事の後片付けも終わり、道具を巾着に戻すと、今度は三つ目の巾着の青い紐を緩めて寝袋を取り出す。夜間は火を絶やさないため交代で寝ることに決まった。


 しかし、そうはいっても体はくたくたなのにフロンティアは眠気がやってこない。初めて誰かと火を囲むことに自分が思っている以上に神経は高ぶっているようだ。


 狭い寝袋の中で何度も寝返りを打てば、最初の火の番をしているトマホークがそっと声をかける。


 「眠れないの?」


 「体は疲れてると思うんだけど、眠くならなくてちょっと困ってる。」


 「子守歌でも歌おうか?」


 紳士な笑みを浮かべて冗談でも囁くような言い方にフロンティアの心は軽くなる。鳥族の雄は獣人の中でも歌が上手いことで有名だ。歌が上手じゃないと同族の女性に相手にしてもらえないらしい。そんな習慣があるからか、旅の吟遊詩人は鳥族であることが多い。


 「ふふ、ありがとう。でも、子守歌をねだる歳は過ぎちゃったかな。」


 「では愛の歌でもさえずろうか?」


 「愛……?ん~。それはトマさんの大切な人にとっててあげてください。旅の子守歌には贅沢すぎます。」


 「おや、これでも十分本気なのですが、つれないですね。」


 紡がれる言葉のわりにその調子はフランクなもので、フロンティアに気を使わせないためのものだと感じ取れる。


 「そういえば、トマさんはどんな武器を使うんですか?」


 「私ですか?基本は剣です。距離が必要な相手には槍を使うこともあります。」


 「剣と槍ですか。っていうことは前衛役ですか?」


 誰かと組んで戦ったことがないので今後の立ち回りは聞いておきたいのだ。


 「そうだね。私はクーとよく組むんだけど、二人でするときはクーが盾持ちなので彼が前に立ちます。彼が引き付けた敵を倒すのが私の役割なんだ。」


 「そうなると、接近のテディが入ると役割が変わっちゃいますか?」


 「テディさんは接近なんですか?そうなると・・・・・・。」


 「僕は手甲と足技の力押しスタイルだ。中距離より外は役に立たない。ってのは教えとくよ。」


 フロンティアに一番近い位置で寝袋に転がっていたテディがうつ伏せから顔を上げて頬杖を突いてこちらを見ている。


 「あ、ごめんね。起こしちゃった?」


 「ううん。丁度起きてたよ。」


 朗らかなテディは楽しげである。どうやらこの話に興味があるようだ。


 「力技と言うならアタッカーになってもらうのがいいかもしれないですね。」


 「あたっかー?」


 「パーティの中で攻撃の決め手をする役割のことだよティア。僕は白熊獣人だから力が強いし小難しいこと考えるより先に体が動いちゃうんだよねぇ。」


 「アタッカーがいるなら俺はタンクに専念できる。」


 トマホークの向こう側にいたクロウが体を起こした。


 「クーが盾って意外・・・・・・。」


 思わず漏れた声にクロウがパタパタとしっぽを揺らす。


 「そうか?」


 「もっとバサバサ切ってくイメージだった。」


 「一人の時は大剣だったんだが組んでやるならこのほうがいいと思って今のスタイルに落ち着いたんだ。適材適所ってやつだ。」


 淡々と応えるクロウは一瞬トマホークと視線がぶつかり眉を下げて口角を上げた。


 「そうなると妨害は俺だな。」


 いつの間にか寝袋の上で胡坐をかくヴァイスが楽しそうに言う。


 「俺は弓と双剣。基本は妨害や隠密が得意だ。」


 「それはまた、見事に別れましたね。」


 「やっぱり我らの妖精に惹かれた者同士ってことか。」


 一番遠くでつぶやいたヴァイスの声はフロンティアに届かなかった。


 「ところでティアさんは何を使うんですか?」


 「ティアは魔法だよね。風と光は見せてもらったけど他には何か使えるの?」


 無邪気なテディの問いにフロンティアは星を見ながら答える。


 「えっと、火と水と風と土と氷と雷と光と闇。あと鞭が使える護身用に短剣も持ってるけど戦えるほどは使えないと思う。」


 考えながら答えると全員が息をのむ。


 「ちょっと、待ってティアちゃんそれ本当?」


 「6属性使えて上位魔法までって、そんな人はじめて聞いた。」


 「それなら戦い方も広がるな。」


 互いの武器や戦術などを嬉々として語らう男たちを眺めてフロンティアは嬉しく思う。いつかギルドホールでまぶしく見た光景が目の前にある。


 話している内容の半分も理解できなかったが、今は子供のようなキラキラした目で語らう男たちに水を差したくない。憧れた景色がここにある。そのあたたかさがフロンティアは嬉しかった。




ご覧いただきありがとうございます。

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