令嬢は再び婚約する
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温かな日差しの中でシェリーは花の咲き乱れる庭園を歩いていた。その横には笑顔のレオニード。シェリーの歩幅に合わせてゆっくりとした歩調で花の説明やなぜそこに植えられたのかとか、庭師がどれほど手をかけているかなど説明をしているがその視線は目の前の番から離れない。
そんなことは気にしていないのか気づいていないのか、シェリーは次々と途切れることない説明に相槌を打ったり、時々質問をはさんだりした。
庭園の中ほどに白で統一された東屋がある。そこに案内されて促されるままに腰かけようとすれば、すかさずレオニードが先に座る。
どうしたらいいのかわからずにいるとエスコートのためにつながれていた手を引かれふわりと抱きかかえられる。
「あの、この状況は。」
恥ずかしい。おろしてほしい。とまではっきりと言えず言葉を濁す。
赤面するシェリーをニコニコと見つめながら悪びれもなくレオニードは応える。
「馬車の中でもこうしていたじゃありませんか。」
「いえ、ここは馬車ではありませんし、揺れる心配はないのでは。」
「しかし、ここは風通しがいいのでリィの髪が乱れてしまうでしょう?」
そう言いながらレオニードはシェリーのこめかみにキスをする。
昨日はれて思いが通じ合ったとはいえ、こんな急にスキンシップするものなのかと困惑する。いっそのこと髪はどうでもいいから放してもらえないだろうかと身じろぎするも余計に抱き込まれて無駄な抵抗に終わる。
「リィ?そんなに逃げようとしないで。もっと追いかけたくなるから。」
バリトンのよく響く声が耳元でささやかれて、くすりと笑みをこぼされる。それなのにその眼はどこまでも切なげで瞳だけで愛を囁かれているような錯覚にとらわれ、シェリーは俯く。
カチャンと小さな音がしてシェリーは我に返る。
いつの間にかやってきた侍女が紅茶とお菓子を置いている。思わず見つめていると目線が合い微笑まれてしまう。なぜかその目は暖かいものを感じる。
一層赤面してもっと俯く。
侍女が離れる気配を感じてホッと無でを撫でおろす。
(まさか自分がこんな花に囲まれたとこで恋人といちゃいちゃする日が来るなんて。王都で流行っていた恋愛小説みたい。)
きっとできても政略結婚になるだろうと思っていたシェリーにとってそれは縁遠い世界であったはずなのに、思いもがけず早々にやってきたこのシュチュエーションに驚きと困惑を隠せない。
「リィ。」
呼ばれて視線を上げれば、顎に手を添えられ上を向くように固定される。空色の瞳が細められながら近づいてきたかと思うと唇に触れる柔らかな感触。
伝わってくる温かな液体をコクンと喉に流せばくちゅっと水音がし、そっとはなされて初めて口移しで紅茶を飲まされたことに思い至る。
あまりの出来事に思考が追いつかず、その顔を見つめていれば「落ち着いた?」とほほ笑まれる。
落ち着くはずがない。とは言えず反応に困ってしまう。
「そうだ、リィに伝えなきゃいけないことがあるんだ。」
「はい。」
反射的に返事をする。
「昨日父君のアイスクリン伯爵から私たちの婚約証明書が届いたんだ。私の署名と両親の欄は記入済みだからあとはリィの署名を入れれば私たちは正式に婚約者となる。あとで部屋に届けさせるから記入してほしい。」
「婚約証明書ですか・・・・・・?」
(え?準備早くないですか?いったいいつそんな手はずを整えていらしたのでしょう。)
そんなシェリーの疑問を呼んだようにレオニードは口を開いた。
「実はあちらの国を出る際に父君に手紙を託した。内容はリィが私の探し求めていた番で異国の地であるが大切に守りぬくと誓うことや結婚することを許してほしいということ、取り急ぎあちらの王室が手を出せないように婚約証明書に署名がほしいことをしたためておいたんだ。」
頬染めて告白する姿にシェリーは息をのむ。
(まさか私が婚約破棄された瞬間から動き出してたってこと!?)
ちょっと怖い。とは今更言い出せない。そこは惚れた弱みとでもいうべきだろう。これがかの王太子なら身震いものだというのに、気持ちを自覚した後ということもあってちょっとした喜びを感じる自分に気づく。
(ちょっと染まってきてるのかもしれない。)
冷静な頭でそう考えるがいやだとは感じない。
「不快でしたか?」
問われてふるふると首を横に振る。
「では記入していただけますね?」
ふわりとした笑顔を向けられてコクンと頷くのだった。
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