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守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
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金剛は駆ける⑥

姫乃は金剛と共に山頂を目指しました。

「(今日は絶対に登りきる!)」

姫乃は今回、強い意志を持っていました。前回登りきる事が出来なかったのが悔しかったのです。登山道は階段状へと変わりました。

「(今度こそ!)」

姫乃は階段状の道を登り続けます。

「(絶対に!)」

姫乃は階段状の道を尚も行きます。

「(登るんだ!)」

姫乃は突き進みます。しかし、顔が疲れでだれてきました。

「長くない?」

「はい?」

「この階段、めっちゃ長いんだけど」

金剛は気を遣いながら答えました。

「あの、もう少しで山頂です」


ようやく階段状の道を登りきると、大きな鳥居にたどり着きました。姫乃は息を呑みました。

「この鳥居、古いけど、何か神聖な感じがする」

金剛は頷きました。姫乃はキョロキョロと何か探し始めました。

「確かこの辺りに公園みたいな広場があるって聞いたけど」

金剛が鳥居と反対の方を指さしました。

「それならこっちです」


二人はついに広場(ちはや園地)へとたどり着きました。

「やったぁ! 登ったぁ!」

姫乃は嬉しくて金剛に抱きつきました。

「やりましたね! 姫乃様」

姫乃はそのまま、金剛に体を預けるように足下がふらついていました。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫。ちょっと足がもつれただけ。それより、やっと山頂に着いたんだ!」

感慨深そうに言う姫乃に、言い辛そうにしながら金剛は教えてあげました。

「あの、ここは山頂ではありません。さっきの鳥居の方を行けば山頂に行けます」

広場では子ども達が元気にはしゃいでおり、大人達は休憩をとったり、景色を眺めたりして、それぞれに楽しんでいました。一方の山頂と勘違いして喜んだ姫乃はぐったりしていました。

「・・・・・・反対だった?」

「はい…… すみません」

「いや、公園も見たかったから、いいの・・・・・・」

 

ちはや園地で景色を眺め、しばらく進み鳥居を抜けると、神聖な神社の雰囲気が漂い始めました。姫乃も疲れに慣れ始め、登山を楽しめるようになっていました。そして今度こそ本当の山頂、葛城神社。姫乃は神社での作法に則って、お参りをしました。

「(憧れの人に近づけますように! お願いします!)」


先を進むと、姫乃はある言葉が刻まれた石版を見つけました。姫乃はその言葉を読み始めます。

「二十代は 愛で、三十代は 努力で、四十代は 我慢で、五十代は 諦めで、六十代は 信頼で、七十代は 感謝で、八十代は 一心同体で、そしてそれからは……」

続きの言葉を姫乃の後ろにいた男性が読みました。

「そしてそれからは、空気のような触れ愛で」

姫乃は振り返ると、その人物に驚きました。

「せっ、先輩!?」

「よぉ!」

姫乃は慌てふためいていました。憧れの橋本先輩。彼も金剛山に登っていたのです。

「ど、どうして先輩がここに!?」

「それは俺の台詞でもある」

「そ、そうですよね?」

「うん」

橋本先輩は大袈裟に頷くと、今度は笑い始めました。姫乃は顔を赤くしたまま半分放心状態でした。

「俺、一人でよくこの山に登るんだ。ほら」

橋本先輩はあるカードを姫乃に見せました。

「何ですか、これ?」

「登山回数表。金剛山は一日一回登るごとに山頂でスタンプを押してもらえるのさ」

見るとたくさんスタンプが押されていました。

「すごい……」

「高鴨は一人で来たのか?」

「いえ。この子と一緒に……あれ?」

姫乃は周囲を探しますが、さっきまでいた金剛の姿が見あたりません。金剛は杉の上から二人の様子を見守っていました。

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