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守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
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大和三山は結ぶ①

三個セットで売られているカップ付きのゼリーを一つ取り出してみてください。その一つをひっくり返して、お皿に載せると、いっそうおいしそうに見えませんか? 『さぁ、頂きます!』と、その前に、その形を上から眺めてみてください。おいしそうなゼリーの形。絵に描いたような単純な形の山。『耳成山』(奈良県橿原市)は、まるでそんな形をしています。耳成山はとても小さな山です。その耳成山の麓には大きな池と公園がありました。


耳成山の公園にて。

「痛っ!」

自転車に乗る練習をしていた藤原 団子朗は自転車ごと転んでいました。足をすりむいて痛そうにしています。服は土で汚れていて、もう何度も転んでいるようでした。

「大丈夫ですか?」

そこに声を掛ける女の子。団子朗と同じ小学校、低学年くらいでしょうか。彼女は耳成山の守護山娘『耳成』と言いました。しかし、団子朗は耳成の存在に気がついていませんでした。

「大丈夫?」

耳成はまた声を掛けました。団子朗は服を払って自転車を起こしていましたが、まだ耳成の存在に気がついていません。団子朗は自転車にまたいでペダルを漕ごうとしました。

「大丈夫なのですか! って聞いています!」

今度は大きな声で言ったので、さすがに気がついた団子朗は、側にいた耳成に驚きました。

「わっ! ゆ、幽霊!」

「ゆっ、幽霊じゃないもん!」

耳成は怒って言いましたが、同じように団子朗も怒って言いました。

「なんだよ! お前」

「だから、大丈夫?」

「何がだよ?」

「転んだでしょ?」

「もう起き上がっているだろ?」

耳成は言い訳がましく言いました。

「だって最初声を掛けた時は、まだ転んでたんだもん」

「は? 変なヤツだな。お前、誰?」

呆れた顔で尋ねる団五郎に、耳成は誇らしげに答えました。

「エッヘン! 何を隠そう、耳成はこの耳成山の守護山娘、耳成なのです!」

団子朗はすでに自転車を漕ぎ進めていました。

「ちょっと! 尋ねておいてヒドイよ! 待ってよ!」

そして団子朗も少し進んだかと思えば、また転んでいました。

「あれ? 待ってくれた?」

団子朗はただ転んだだけでしたが、耳成は思わずそう言ってしまいました。


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