高取は現る⑫
高取山。
悔しそうなヤッカイ。しかし今度は一笑して言いました。
「のこのこ蘇ってきたか、高取。しかし妙だな。一度敗れた者が、再び現れるなんて。自然の摂理に反している。自然を歪ませている。そういう者は自然界の裁きを受けるべきよ! 私はあなたを笑わせたりはしない。その代わりに泣かせてあげるわ! って、すでにうっすら泣いているじゃない!」
高取は普段から涙目でした。ヤッカイは叫びます。
「おのれ、高取! 天誅だと知りなさい!」
ヤッカイは注射器のような物を高取に向けて飛ばしました。しかし、高取の姿はもうありません。続いてヤッカイは地面にポタポタと液を垂らしてしました。地面を分子に変える為です。しかし、地面に何の変化も起こりません。
「そんな! ペットが生まれてこない!」
よく見ると地面がグレイに光っています。
「高取の力か!」
ヤッカイは高取の力の及んでいない場所を探すために空を飛びました。しかし、高取山一体どころか、町まで光が及んでいました。
「こんな広い範囲にまで!」
「そなたは今、妾の城の中におる」
空中にいるヤッカイは声がした方を見ると、壺坂山にある大きな観音様の肩の上に高取の姿が見えました。
「我が守護山、高取山の高取城は日ノ本一の山城! その規模はそなたの想像を上回る!」
「(そうか。高取の山と城は一体になっている。高取の力は山だけではなく城によってより強められているという訳か。しかし、以前は高取城の力など無かったはずなのに!)」
「もうそなたの分子達は消滅しておる。そなたは一人じゃ」
「だったら、何?」
「退いてはくれぬか?」
「退く? 馬鹿な! 私のペット達をかわいがってくれたお礼はきちんとするわ!」
「お礼とかいらぬ」
「そういう問題じゃない! そういう問題じゃないわ!」
ヤッカイが二度同じことを言うと、高取は目をつむりました。すると高取山の効力であるグレイの光が消えていきました。
「(高取山の力が消えていく!)どういうつもりなの?」
高取は目を開けると光る棒を投げました。棒はヤッカイより手前の地面に突き刺さりました。
「私を狙って投げた割には、とっても見当外れな所に刺さったわね」
高取はまったく同じ棒を手に持っていました。
「一対一で勝負じゃ」
「一対一?」
高取は頷きました。
「(だから高取城の力を解除したと言うの? 以前と同じ条件をわざわざ作って何をしようと?リベンジがしたい訳?)分かっているわよね。お前は私に敗れた。それに、私は以前よりも強力な力を得ている。一方のお前はただ眠っていただけではないか。それでもこの棒でチャンバラをしてまで、勝負を決したい訳?(はっ!? 『チャンバラ』で面白いジョーク見つけた!)」
高取は真面目に言いました。
「真剣勝負じゃ。チャンバラでは・・・・・・」
高取が『チャンバラではない』というより先にヤッカイは言いました。
「チャンチャラおかしいわ! チャンバラだけに! 『チャン』繋がりで!」
強引に話を中断された高取は、しばらく無言の後、静かに言いました。
「・・・・・・だから、チャンバラではないのじゃ」
ヤッカイは驚きました。
「(笑わないどころか、逆に不機嫌に!?)」




