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守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
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高取は現る⑨

ヤッカイの分子の進行を食い止めようと結界のバリアを張った(自称)宇宙人。しかし数多くの分子達の攻撃に、バリアにヒビが入り始め、段々と持ちこたえる事が難しくなってきました。再び防戦一方となった(自称)宇宙人。ヤッカイは言います。

「時間の問題よ。と言っても早さとか距離とか、そういう算数の問題を解く訳じゃないわよ」

スルーする(自称)宇宙人をスルーして、ヤッカイは考ました。

「(あぁ、これ以上、猿に構っていられないわ! 反応がないし! それにもう『猿』をキーワードにした超面白いダジャレが出てこない。・・・・・・最後の一つを残してね)」

ヤッカイはニヤリと笑い、注射器のような武器を数本取り出しました。そして、(自称)宇宙人の結界に投げつけると見事につきささりました。

「百発百中ね! 三本しか投げていないけれど!」

ヤッカイはプッと吹き出しました。

「私ったらまた面白い事を! 天才のなせる技かしら? あっ、『天才』って言っても、自然災害の『天災』じゃないわよ。頭の良いという意味の天才よ。ま、私、ヤッカイだから自然災害の天災には違いないけど?」

ヤッカイはまた自分で吹き出し、体をよじりながら笑いを堪えて、困った顔で言いました。

「ヤバイ! ヤバイ! 自分が面白すぎて、先に進めない!」

(自称)宇宙人は色んな意味でヤッカイにビームを打ち込みたい気持ちに駆られますが、そんな余裕はありませんでした。それどころか、注射器の突き刺さった辺りから段々と結界のバリアが黒く変色していき、生き物のようにうねり始めたのです。

「ナニ!(何だ!)」

驚く(自称)宇宙人。ヤッカイは言いました。

「その結界は、もう私のペットになったのよ。そして、もうすぐあなたもなるのよ。わたしのかわいいペットにね」


竜泉寺。

鬼気迫る表情の三人。観音は息を呑むと、子角仙人に問いました。

「ペットと言えば・・・・・・ 仙人様も昔、人間様に私達の事を『二匹の鬼を連れている。こやつらは、わしのペットのようなもの者じゃ』と紹介された事がありましたが、あれは一体どういう意味ですか?」

子角仙人はドキッとしました。

「(聞いておったのか!?)」

稲村も観音と同じように子角仙人を見ました。子角仙人は強引に言いました。

「しかし、結界までも自分の攻撃に変えるとは!このヤッカイ、恐ろしいヤツじゃ!」

稲村は言いました。

「宇宙人もどきの作り出した結界が、弱かっただけではありませんか?」

「確かに作り出される者によって、結界の強度に差は出る。とっさに作り上げた結界にしては上出来なのじゃが」

結界は瞬く間に黒く染め上げられていきました。

観音は心配そうに、子角仙人はしわくちゃな顔で見ていました。少しして観音はまた問います。

「あの、『ペット』って何で(すか?)・・・・・・」

観音の言葉の途中で、子角仙人はかなり強引に言いました。

「このヤッカイは恐ろしい!」


― 高取山に得体の知れない、奇妙な生き物がたくさんいるから近づくな! ―

町ではそんな情報が流されて騒がしくなっていました。明日香やタツミ達はそれぞれ自分家の窓から不安そうに高取山を見つめていました。


高取山。

ヤッカイは告げました。

「さぁ、最後の仕上げよ。渾身の超面白い一発をお見舞いしてあげるわ!」

ヤッカイは三度笑うと、大声で言いました。

「猿よ!」

ニタリ顔のヤッカイは僅かに間を置いて言いました。

「去るがいい! 猿だけに!」

結界は巨大な一枚の紙の生き物となり、(自称)宇宙人を呑こもうとします。

「オマエノ テシタニナド ナラナイ!(お前の手下にはならない!)」

(自称)宇宙人の目が様々な色に乱反射すると、足下から灰色に石化していきました。

「私の攻撃を拒絶するために石になるつもり? それともあなた自身の死を意味するのかしら? まぁ、別にどっちでもいいわ。そんな事より・・・・・・」

ヤッカイは勝った為か、それとも自分で言ったジョークの為か、体をうねらせながら、爆笑していました。

「あ~、笑った、笑った! さぁ、猿も葬った事だし、さっさと高取山を攻略するか」

ヤッカイは(自称)宇宙人の頭上を越えて山頂へと向かって行きました。


 竜泉寺。

「お猿さんが大変です!」

観音が叫ぶと、思わず手を水面に触れてしまい、高取山の様子が波紋で見えなくなってしまいました。『しまった!』という顔の観音に、稲村がいいました。

「バカ! 何をやっているのだ!」

子角仙人がいいました。

「今から助けに行っても、間に合うまい」

観音は、わざと水面をバシャバシャと音を立たせながら両手で何度もすくい上げ、半ば拗ねたように同じ台詞を叫びました。

「お猿さんが大変です!」

「だから、止めろ!」

稲村が怒って言うと同時に、観音の頭を小突くと、勢いで観音は泉に落ちてしまいました。ゴボゴボと顔が沈む観音。子角仙人は稲村にいいました。

「バカ者! 何をやっとるのじゃ!」

『しまった』という顔の稲村は、観音に申し訳ない思いから、自分から泉に顔をつけました。子角仙人は怒っていいました。

「だから! 何をやっとるのじゃ! こんな時に!」

( ※ちなみに竜泉寺の泉は浅いです。)

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