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守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
31/78

高取は現る④

翌日。

宇宙人は高取山の登山道に者達の気配を捉らえました。昨日の少年達(タツミ達)三人が宇宙人を探しに来たようです。タツミはナマコに尋ねます。

「本当にこの山にいるのか?」

「います。この山に引き返す姿を見ましたから」

ヒカルは意気込みました。

「今日こそ絶対に捕まえるぞ!」

三人の少年達を宇宙人は山の上から冷静に察知していました。

「ジツニ コッケイダ(実におかしい)」

宇宙人は少年達を攻撃しようとして、目が七色に光りました。

「宇宙人さん!」

いきなり後ろから明日香の声がしたので、ビックリした宇宙人は目の光が消えました。

「ニンゲン!(人間か!)」

無表情ながら驚く宇宙人に明日香が駆け寄って来たかと思うと、宇宙人の腕を掴んでどこかへ連れて行こうとします。

「こっちだよ!」

そのまま宇宙人は明日香に引っ張られて、大きな木の陰にたどり着きました。

「オマエハ・・・・・・(お前は・・・・・・)」

宇宙人の言葉の途中で、明日香は『しっ!』と言って鼻の前に指を立てました。

「静かに! ここならきっと大丈夫だから」

明日香はしゃがむと少年達の行動を木に隠れながら見張りました。

「来たよ!」

明日香は宇宙人に少年達が近づいてきた事を知らせました。しかし宇宙人は明日香の言葉を聞き流して、あっさりと木の陰から姿を現しました。

「え?」

思わぬ事に明日香は驚きました。宇宙人を見つけた少年は棒を拾って身構えました。

宇宙人の目の前にいたのは棒を持ったタツミだけでした。他の二人はもう宇宙人の後ろに回っていました。タツミ達は宇宙人の居場所に最初から気が付いていたのです。宇宙人もそれを分かっていたのでした。宇宙人はタツミ達に取り囲まれました。そしてタツミ達は一気に距離を詰めると、飛びかかって宇宙人を捕まえました。明日香が木の陰から出て来ました。

「いじめないで、って言ったでしょ!」

明日香は大きな声で怒りました。

「やったぁ!ついに捕まえたぞ!」

明日香の言葉を無視してヒカルとナマコは喜びました。しかし、タツミだけは明日香の顔をじっと見ていました。明日香は本気で怒っていました。タツミは明日香から目を逸らすと大きな声で言いました。

「よし! かくれんぼはこれで終わりだ!」

明日香やヒカル、ナマコの三人はタツミの言葉が理解出来ずに静まりかえりました。タツミは強引に話を続けました。

「かくれんぼの次は鬼ごっこしようぜ!」

ナマコは困ったように言いました。

「タツミ君、何を言っているのですか?」

タツミは言いました。

「タッチされたから、今は宇宙人が鬼だぜ」

「おい、説明しろ、タツミ」

ヒカルの言葉を聞き流して、タツミは楽しそうにいいました。

「逃げろ! 宇宙人の近くにいたら捕まえられるぞ!」

タツミが言うとヒカルとナマコは驚きながらも、今度は愉快そうに逃げ始めました。

「明日香、お前も早く逃げないと捕まるぞ!」

状況について行けずに、ぼーっとして立っている明日香。

「え?」

タツミが言います。

「鬼ごっこが始まったんだよ」

「う、うん!」

明日香は急いで宇宙人に近づいて耳打ちしました。

「誰かにタッチして。宇宙人さんは今、鬼なの」

「ワレワレ オニ? ワレワレ ウチュウジン!(私は鬼ではない!宇宙人だ!)」

明日香は逃げながらいいました。

「知っているよ! でも今は鬼なの! 誰かにタッチしたら鬼じゃなくなるわ!」

気がつけば宇宙人の周りには誰もいなくなりました。

「ワレワレ ウチュウジン(私は宇宙人だ)」

宇宙人は明日香達を追いかけ始めました。足が一番遅かった明日香はまもなく宇宙人に追いつかれてしまいます。

「ワレワレ オニ チガウ(私は鬼ではない)」

宇宙人は明日香の肩に触れました。明日香は息を切らしながらいいました。

「あ~、捕まったー。今度は私が鬼だよ。宇宙人さんは逃げて。私に捕まるとまた鬼になっちゃうよ!」

「ジツニ!(何だって!)」

宇宙人は逃げました。いつの間にか宇宙人と明日香達は鬼ごっこをして遊んでいました。

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