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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
291/292

291.「その2、3分後くらいに

「その2、3分後くらいに、

 ウサギさんのお父さんとお母さんが病室に現れてね、

 で、

 ウサギさん、

 出産することを伝えて、なんとかOKをもらえたんだ」

神社のキザハシに坐っている私は、

スマートフォンの画面に映し出された、ウサギさんのコメントを見ながら、

そう言った。

隣から、少年の声が聞こえてきた。

「お父さんもOKしたの?」


訊かれた私は、

ウサギさんのコメントを指で少し戻して答えた。

「うん。

 不承(ふしょう)不承(ぶしょう)と言うか、仕方なく・・・って雰囲気だったけど、

 でも、

 笑顔でOKしてくれたみたい」


「ウサギさん、

 嬉しかっただろうね・・・」


「うん。

 産むのを許してくれたこともそうだけど、

 お父さんが明るい感じで言ってくれたことが何よりも嬉しかった、ジーンと来た・・・って、

 ウサギさん、

 確か、誰かのコメントに書いてた」


「あぁ、

 そっかぁ・・・」


「・・・その後は、

 ウサギさんの今の高校をどうする?、って話になったんだ。

 で、

 ウサギさん、

 今の高校は辞めると思うし、通信制等の高校への編入も多分しない、

 大学にも行かないかも・・・って、親たちに伝えた。

 そしたら、

 ウサギさんのご両親、驚いちゃってね、

 どういうことなんだ、高校を卒業しないと就職が・・・とか、

 いや、高認の資格を取れば代わりになるはずよ・・・とか、

 ふたりでそういう話をし始めて、

 それで、

 ウサギさん、

 慌てて両親の会話に割り込んだんだ。

 高校卒業は、やっぱりしたほうがいいかな・・・って思ったけど、

 大学に行かないかも・・・って言ったのは、

 あぁ、えっと、

 ・・・すぐに働きたいとか、そういう理由じゃない。

 ワタシ、

 ある人から結婚を前提とした交際を申し込まれ、

 妊娠中のこの子も一緒に・・・と言われてる、って、

 ウサギさん、

 親たちにそう説明し、

 そうして、

 今からその人と会ってほしい、って告げたんだ」


「ウサギさんの親たち、ビックリした・・・?」

少年が、そう訊いた。

私は、

口元に笑みを浮かべて、

うん、と頷いた。

「部屋の中が、

 シーンと静まり返っちゃったんだって」と続けた。


「だよね・・・」


「で、

 ウサギさんのご両親、

 会うことを承諾したんだけどね、

 お前に交際を申し込んだ人間は誰なんだ・・・って尋ねたんだ。

 ウサギさんは答えた、

 “えっと、

  カメさん、って人。

  お兄ちゃんの大学の友達でね、同じ研究室に所属してる人”って」


┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ ¶笹舟職人¶さん、

│ コメント、ありがとうございます。

│ はい。

│ 出産をOKしてくれたこともそうなんですけど、

│ お父さんが明るい感じで言ってくれたことが何よりも嬉しくて、ジーンと来て、

│ それで、思わず泣いてしまいました。

│ 産むことに関しては、

│ 実は、

│ なんとなく、認めてくれるような気がしてました。

│ このちょっと前に、ワタシの病室にお父さんがひとりで来たとき、

│ 分かってくれたような感じだったので。

│ ただ、

│ ワタシとカメさんの子として育てることに関しては、まったく分からない・・・って言うか、

│ どちらかと言うと、許してくれないような気がしてました。

│ ダメだったときのことをカメさんとふたりで相談し、覚悟した上で、

│ この日、

│ お父さんたちとの話し合いに臨みました。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

なんか、そこまで短くもなかった。

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