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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
272/294

271.その翌日の夕方

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ その翌日の夕方、

│ 前の日と同じくらいの時間に、お兄ちゃんが現れました。

│ お兄ちゃん、

│ 病室に入ると、壁際のイスをワタシの近くに持ってきて、

│ ベッドの周りにカーテンを引きました。

│ 背負っていたリュックを下ろし、イスに腰掛けたあと、

│ 『なんか、

│  今日も調子、あんまり良くなさそうだな・・・』って言いました。

│ ワタシは、

│ 『うん・・・、

│  今日も、ちょっと・・・』って答えました。

│ お兄ちゃんが言いました、

│ 『そうか。

│  なら、

│  大変だろうから、オレも早く退散するよ』って。

│ あれ?、って思ったワタシは、

│ すぐに、

│ 『今日、カメさんは?』って訊きました。

│ お兄ちゃんが答えました。

│ 『あぁ・・・、

│  カメ、今日はここに来てないし、

│  もう連れてこないから』

│ え・・・って思い、

│ 『何で?』って訊きました。

│ 『何で、って、

│  いや、

│  だって、

│  お前、迷惑だったんじゃないの?

│  途中、かなり怒ってるみたいだったし・・・。

│  だから、オレ、

│  悪いことしたなぁ、って反省してて・・・』

│ ワタシ、

│ お兄ちゃんに言いました。

│ 『・・・確かに、ちょっと怒ってたけど、

│  でも、

│  カメさん、最後にちゃんと謝ってくれたし、

│  それに、

│  ワタシのことも気遣ってくれたし・・・』

│ 『気遣ってくれた、って、

│  でも・・・』

│ ワタシ、小さくため息をつきました。

│ そうして、

│ お兄ちゃんに、

│ 『・・・カメさん、

│  なんで、

│  ワタシの力になりたい、って言ってくれたの?

│  どんなことを話そうとしてたの?』って尋ねました。

│ お兄ちゃん、

│ 顔を下に向け、そのまましばらく黙ってて、

│ やがて、

│ 『・・・いや、

│  オレの口からは、ちょっと・・・』って言いました。

│ ワタシは、

│ また、小さくため息をつきました。

│ その後、

│ 少しすると、急にいつもの吐き気の波が来て、

│ それを察したお兄ちゃん、

│ 『あぁ、

│  長くなってゴメンな。

│  オレ、そろそろ帰るわ。』って言って、慌てて立ち上がりました。

│ 置いてあったリュックを背負うと、

│ ワタシに目を向けつつ、

│ 『カーテ・・・、

│  あぁ、向こうで?』って言いました。

│ ベッドから足を下ろしたワタシは、

│ スリッパを履きながら、黙って頷きました。

│ 『分かった』って言ったお兄ちゃん、

│ ベッドの周りのカーテンを開け、イスを元の場所へ戻しました。

│ そのままふたりで病室を出て、通路をちょっと歩き、

│ トイレの前で、お兄ちゃんと別れました。

│ 次の日、

│ お昼の時間にお兄ちゃんが来ました。

│ ワタシ、驚きました。

│ 『どうしたの? こんな時間に』って訊きました。

│ ドアを閉めたお兄ちゃん、

│ こっちを振り返りながら言いました。

│ 『あぁ、えっと、

│  今日はオレ、

│  夕方からは、ちょっと用事があって・・・。

│  イスって・・・あぁ、そこか。

│  サンキュー』

│ 『時間、大丈夫なの?

│  午後の研究室、間に合うの?』

│ 心配になって、そう訊くと、

│ お兄ちゃん、

│ 自分用のイスをこっちに持ってきながら、

│ 『大丈夫 大丈夫。

│  いま夏休みだからコアタイム無いし。』って言って、

│ ワタシの近くにイスを置き、腰を下ろし、

│ ふぅ・・・って息をつきました。

│ そうして、

│ 辺りを見回しながら、

│ 『・・・部屋、移ったんだな』って言いました。

│ 『うん、

│  お母さんが、個室にしなさい・・・って』

│ 『そうか。』って言ったお兄ちゃん、

│ 顔をこちらに向けました。

│ ワタシを少し見たあと、

│ 『・・・今日は、ちょっと元気そうじゃん』って言いました。

│ 『あ、うん。

│  でも、

│  今日は・・・って言うより、今は・・・かな。

│  夕方頃になると、

│  多分、また悪くなるから・・・』

│ 『あぁ、そうなのか・・・』

│ ワタシ、

│ 気になってたことを改めて尋ねました、

│ 『それより、

│  今日、急にどうしたの?』って。

│ お兄ちゃんが言いました。

│ 『あぁ、えっと、

│  明日さ、

│  昼頃、

│  また、カメを連れてきてもいい?

│  今度は、

│  アイツ、ちゃんと話すと思うから』

│ 『え?

│  ・・・あ、

│  うん、ワタシはいいけど、

│  でも、お兄ちゃんもカメさんも、

│  お昼だと研究室――』

│ 『あー、

│  オレは問題ないし、

│  カメにも、ここに来る前に確認したんだけどさ、

│  大丈夫だって。

│  オレ、

│  明日も夕方はちょっと無理で、

│  ここに来るとなると、昼しか時間なくて・・・。

│  明後日だったら、

│  一応、研究室を上がったあとに来れるけど・・・』

│ 『お兄ちゃんとカメさんが大丈夫なら、ワタシは別に・・・。

│  それに、

│  どちらかと言うと、お昼のほうがいいし・・・』

│ ワタシがそう返すと、

│ お兄ちゃんが言いました、

│ 『あぁ、そっか。

│  夕方は、あんまり体調が良くないのか・・・』って。

│ ワタシは、

│ 『うん、多分・・・』って返しました。

│ 『分かった。

│  じゃあ、明日の昼にするわ。

│  研究室に戻って、カメにもそう伝える。

│  この部屋に直接連れてくるけど、

│  いいか?、それで』

│ 『あ、

│  うん、大丈夫』

│ 『分かった。

│  なら、

│  明日の昼、カメを連れてくるわ』

│ 『うん、分かった・・・』

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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