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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
269/292

269.ちょっと日が経ってしまいましたが

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ ちょっと日が経ってしまいましたが、

│ ワタシとカメさんの馴れ()めと、この子を産むことにした経緯を、

│ また何回かに渡って、コメントに書いていこうと思います。

│ ただ、込み入ったことに関しては、

│ 恐らくは、

│ 概要をざっと簡単に・・・って感じになると思います。

│ (あらかじ)め、ご了承ください。

│ それと、

│ ここに書いてある内容については、

│ 全て、送信前にカメさんにチェックしてもらっていますし、

│ 今後載せていくものについても、チェックをお願いしています。

│ ワタシが初めてカメさんのことを知ったのは、

│ 入院3日目でした。

│ 夕方、

│ ワタシの病室に、研究室帰りのお兄ちゃんが現れました。

│ 来てくれるとは思わなかったので、ビックリしました。

│ ワタシの病室は、その頃は4人部屋で、

│ 他の患者さんもいたので、

│ お兄ちゃん、

│ 来客用のイスをこっちに持ってくると、

│ ワタシのベッドの周りに、カーテンを引きました。

│ そうして、

│ 背負っていたリュックを床に置くと、

│ イスに腰掛け、ワタシを見て、

│ 体調は?、とか、

│ 入院生活はどう?、とか、

│ まずは、そんな感じのことを訊いて、

│ ワタシも、それに簡単に答えて、

│ で、

│ そういったやり取りが一段落すると、

│ お兄ちゃん、

│ 顔を下に向け、息をひとつ吐きました。

│ 少ししてから、

│ ワタシ、

│ 『・・・何かあるの?』って尋ねました。

│ お兄ちゃんが答えました。

│ 『・・・あの、

│  えっとさ、その・・・、

│  悪いんだけど、

│  実は、お前の妊娠のこと、

│  オレの大学の友達のカメって奴に、バレちゃってさ・・・』

│ 『え・・・』

│ 『あぁ、その、

│  バレた、って言うか、

│  オレが話した、って言うか、

│  まぁ、ちょっと説明が難しいんだけど・・・』

│ ワタシ、

│ どういうこと?、って思いました。

│ そうして、

│ お兄ちゃん、これから何を話すつもりなんだろう・・・って、段々と不安になってきて、

│ 緊張しながら待ってると、

│ お兄ちゃん、

│ 『・・・まぁ、いいや、』って言って顔を上げて、

│ 『取り敢えず、最初から説明するわ。』って、

│ そのまま話し始めました。

│ 『おとといの朝、

│  お前に貸してあったオレのノートPC、返してもらっただろ?

│  で、

│  その返してもらったノートPCを持って、大学の研究室に行ったんだ。

│  まずは、その日に予定していた実験の下準備をして、

│  開始して、

│  それで、

│  その結果が出るまでに結構時間がかかるから、

│  部屋の隅っこのほうに行って、

│  海の音を聞きながら、ひとりで本を読んでたんだ。

│  そしたら、急に肩を叩かれてさ、

│  ん?、って顔を上げたら、

│  正面にカメが立ってた。

│  オレ、

│  イヤホン外して、カメに訊いた、

│  “何?”って。

│  そうしたら、カメが言ったんだ、

│  “悪いんだけどさ、

│   ノートPC、使わないんだったら、

│   午前中だけでいいから、貸してくれない?”って。

│  “別にいいけど・・・。

│   なに、また調子悪いわけ?

│   メモリを交換したら直った、って言ってなかった?”

│  “あぁ、

│   うん、僕も直ったと思ってた。

│   実際、昨日までは調子良かったし。

│   ただ、

│   今日 使ってたら、いきなりハングアップしてさ・・・。

│   で、

│   再起動はしたんだけど、なんとなく挙動が怪しくて、

│   ちょっと不安で、

│   だから、

│   使わないんだったら、

│   できれば貸してほしいな・・・って思ってるんだけど”

│  それで、

│  オレ、

│  “分かった。使っていいよ”って、

│  自分のノートPCをカメに貸したんだ。

│  で、

│  しばらくして、実験中の試料の確認ついでに自分のデスクに立ち寄ったらさ、

│  そこに、

│  貸したはずのオレのノートPCが置いてあったんだよ。

│  あれ?、って思って、

│  カメのデスクを振り返ったら、

│  カメ、

│  自分のノートPCを使っていて、

│  それで、

│  オレ、すぐに訊いたんだ、

│  “あれ?

│   オレのノートPC、使うんじゃなかったの?”って。

│  そしたら、

│  “いや、

│   なんか、大丈夫そうだったから”って返ってきて・・・。

│  で、

│  その後の昼メシのときも、

│  アイツ、様子がおかしくてさ・・・。

│  普段は、

│  オレとカメで、大学の学食で一緒に食べてるんだけど、

│  おとといは、

│  カメ、

│  昼になる少し前に、

│  “今日は用事があるから・・・”って、部屋を出ていっちゃって・・・。

│  オレ、

│  なんとなく、アイツに()けられてるような気がしたんだよ。

│  何か悪いことしたっけ?、って考えてた』

│ 『・・・』

│ 『それでさ、

│  昼メシから帰ってきて、実験の経過をちょっと見て、

│  それから、

│  ミーティングのプレゼン資料を作ろうと思って、ノートPCを開いたんだよ。

│  ログインアカウントをゲストから自分のに切り替えようとしたところで、

│  あ!、って思った。

│  そのままゲストでログインし、ブラウザを起動させ、

│  ネットの閲覧履歴を確認してみた。

│  そしたら、

│  お前のアクセスしたサイトが、ズラズラってたくさん並んでてさ・・・。

│  ブラウザのアドレス欄に文字を少し打ち込むだけで、

│  妊娠とか出産とかのサイトが、いくつか候補に表示されちゃう状態になっていて、

│  しかも、

│  文字を漢字に変換するときにも、

│  変換候補の上位に、

│  なんか、それらしい言葉が色々と混じってて・・・』

│ 『・・・』

│ 『オレ、

│  そのゲスト用のアカウントをすぐに作り直して、データを丸ごと初期化した。

│  それで、

│  合点がいったんだ。

│  あぁ、これか・・・って思った。

│  カメがさっきから妙によそよそしいのは、これが原因か・・・って。

│  で、

│  オレのことだと勘違・・・あぁ、

│  えっと、

│  デスクトップ画面とか、ブラウザのブックマークとか見て分かったと思うけど、

│  オレ、

│  あのノートPC、

│  ちょっとした用事で使う際は、よくゲストで入って使ってるんだよ、

│  パスワードなしで楽だから。

│  カメも、

│  オレが普段からそうやってゲストで使ってるのは承知していて、

│  だから、

│  アイツの様子が変だったのは、オレのことだと勘違いしてるからか・・・って思ったんだけど、

│  ただ、

│  よくよく考えてみたら、

│  お前、ネットで自分のことを相談してただろ?

│  で、

│  多分、色々と事情なんかも書いてたんだろ?

│  そうすると、

│  ・・・まぁ、カメのあの感じだとそうじゃなさそうだったけど、

│  でも、

│  お前のことだと認識されてる可能性も無くはなかったし、

│  それに、

│  今はそう思われてなかったとしても、あとで勘付かれる可能性も十分あって、

│  なら、

│  状況によっては、

│  念のため、口止めしておかないと・・・って』

│ 『・・・』

│ 『で、

│  カメが何を見たのか、

│  どんなことを知っていそうなのか、それを確かめたかったんだけど、

│  オレ、

│  ノートPCのゲストのデータ、アカウントごと全部消しちゃっただろ?

│  もう、直接本人に当たってみるしかなくてさ、

│  だから、

│  おとといの午後、

│  頃合いを見計らって、カメをメシに誘ったんだ。

│  夜になってからふたりで研究室を辞去して、

│  いつものラーメン屋に向かうことにしたんだけど、

│  なんか、

│  カメ、

│  やっぱりよそよそしい・・・って言うか、冷たくて、

│  だから、

│  向かう途中で、もう訊いちゃうことにしたんだよ、

│  “そう言えばさ、

│   オレのノートPC、何か問題あったわけ?、

│   使わなかったみたいだけど・・・”って。

│  そしたら、

│  カメ、急に足を止めてさ、

│  下を向いたまま、黙ってて、

│  で、

│  少ししてから、

│  “・・・その、妊娠とか中絶とか特別養子縁組とか、

│   あれ、どういうことだよ”って。

│  幸い、そのときはたまたま近くに人がいなくて助かったんだけれど、

│  でも、

│  路上でいきなりそんなこと言い出すなんて思わなくてさ、

│  オレ、あたふたしちゃって、

│  “いや、

│   あれは、えっと・・・”って言ったら、

│  “・・・お前のことなのか”って返ってきて・・・。

│  それで、

│  ・・・あぁ、そうか、

│  えーっと・・・、

│  まぁ、要するに、

│  お前のこと、

│  カメに話さざるを得なくなっちゃったんだよ』

│ 『・・・』

│ 『でさ、

│  どこで話そう・・・って思って、

│  けど、

│  アイツのアパートに行って話すのは、念のため()けたかったし、

│  大学のそばの公園は、その日は夏祭りで賑わってたし、

│  川も、そこからだとちょっと歩かないとダメで、

│  だから、

│  どうしよう・・・って考えながら、

│  取り敢えず、近くの脇道にアイツを引っ張っていったんだ。

│  そしたら奥に、

│  ちょうど人通りの少なそうな、線路沿いの道があってさ。

│  あそこにしようと思って、

│  そこまで行って、

│  ガードレールにふたりで腰掛け、しばらく喋ってた。

│  あぁ、えと、

│  目の前は駐車場で、車の出入りとかはなかったし、

│  道を通った人もいなかったから、

│  多分、大丈夫。

│  他の人には聞かれてない。

│  で、

│  オレのノートPCで、どういうのを見たのかを訊いてみたらさ、

│  文字の変換候補に混じってた、それらしい言葉とか、

│  ブラウザの新規タブに表示される、直近に閲覧したサイトのリストとか、

│  ホント、それくらいらしい。

│  使うの、

│  すぐにやめた、って言ってた』

│ 『・・・』

│ 『そしたら、雨がポツポツ降ってきてさ、

│  すぐに大降りになって、

│  だから、

│  ふたりで慌てて通りに戻って、近くのファミレスに駆け込んだ。

│  で、

│  メシはそこで食うことにして、

│  そうして、

│  “他の人には言わないでくれ”ってカメに頼んで、

│  アイツも、

│  “分かった”って了承してくれて、

│  そんな感じで、

│  おとといの夜は、そのままカメと別れたんだ』

│ 『・・・』

│ 『それで、

│  昨日の午前中、

│  オレ、

│  運動を兼ねて、自転車でちょっと遠くまで野鳥撮影に出掛けてきたんだけどさ、

│  その帰り、

│  川の土手の上を走ってて、

│  そしたら、

│  大学の近くを通ったとき、

│  道の端っこに、

│  見覚えのある自転車が1台、()めてあったんだよ。

│  カメのチャリっぽいけど・・・って思って、

│  自転車を走らせながら、下の河川敷のほうに目を向けてみたんだけど、

│  それらしい人影は無くて・・・と言うか、

│  ジョギング中の人とか、バドミントンして遊んでる人とか、

│  あとは、斜面に坐って(くつろ)いでる家族連れとか、

│  そんな感じで、

│  結構あちこちに人がいたから分からなくて、

│  まぁ、いいや・・・って思ったら、

│  土手の反対側の斜面に、アイツ、ひとりで坐ってたんだよ。

│  街の遠くのほうを、ボーッと眺めてた。

│  なんか、心配になってさ、

│  だから、

│  オレも自転車をそこに駐めて、カメのところへ下りていったんだ。

│  で、声をかけた、

│  “そこ、暑くない?”って。

│  したら、アイツ、

│  ビクッ・・・として、すぐにこっちを振り返って、

│  “え?

│   お前、なんで?”って、すごく驚いた顔でオレを見上げて。

│  オレ、

│  カメの隣に行って、腰を下ろした。

│  ふたりで少し話をして、

│  それで、

│  オレは昼から予定があったから、

│  “じゃあ、そろそろ・・・。”って口にしながら立ち上がったら、

│  アイツ、オレを見上げて、

│  一瞬、何か言いたそうな表情をしたんだよ。

│  だから、

│  “ん? 何?”って、カメに訊いたら、

│  アイツ、

│  “いや、その、”って下向いたあと、

│  少ししてから言ったんだ、

│  “・・・お前の妹と、

│   その、

│   ちょっと会って、話したいんだけど”って。

│  オレ、驚いちゃってさ、

│  “は? 何で?”って訊いたら、

│  まぁ、要するに・・・の話だけれど、

│  カメ、

│  お前の力になってあげたい・・・って。

│  あぁ、

│  大丈夫 大丈夫、

│  オレ、すぐに断ったから。

│  そんなの、急に言われても迷惑だろ?

│  カメも、それで大人しく引き下がったし、

│  だから、大丈夫』

│ 『・・・』

│ 『で、

│  カメとはそのまま別れたんだけど、

│  ただ、

│  お前の事情をカメに話した、ってことは、

│  ちゃんと伝えておいたほうが良いかな・・・って、今日になってふと思ってさ、

│  それで、こうしてお前に話しに来た・・・って、

│  そういうこと。

│  まぁ、大丈夫だよ、

│  アイツ、

│  そういうの、面白がって他の人に言いふらすようなヤツじゃないから』

│ 『・・・』

│ ワタシが、

│ 下向いたまま、黙っていると、

│ お兄ちゃん、

│ ちょっと慌てた様子で言いました。

│ 『あ、えと、

│  ホント大丈夫だから。

│  アイツ、絶対に言わないと思う。

│  そんなヤツじゃないから』

│ ワタシ、

│ お兄ちゃんに尋ねました、

│ 『・・・えっと、

│  その、お兄ちゃんの友達のカメさんって人、

│  なんで、ワタシの力になってあげたい・・・って思ったの?』って。

│ 『・・・』

│ 返事がなかなか返ってこなくて、

│ だから、

│ お兄ちゃんの様子をチラッと見ると、

│ お兄ちゃん、

│ イスに坐ったまま、

│ 下向いて、難しそうな表情をしていました。

│ じっと何かを考えている様子でした。

│ ワタシ、

│ お兄ちゃんに訊いてみました、

│ 『・・・その、

│  ワタシが可哀相に思ったとか、そういうこと?』って。

│ お兄ちゃん、

│ 下向いたまま、答えました。

│ 『いや、あの・・・、

│  まぁ、

│  多分、それもあるとは思うんだけど・・・、

│  ただ、

│  その、何て言うか・・・』

│ 正直、

│ ワタシとしては、

│ あまり、カメさんと会いたくありませんでした。

│ 全く知らない人だったし、

│ そんな人と、こんな入院中の格好で喋りたくなかったし、

│ それに、

│ えずいてるところなんか、絶対に見られたくありませんでした。

│ もしかしたら、

│ 興味本位でワタシを見たいと思っただけなんじゃないか・・・とか、

│ ワタシがこういう状態なのを良いことに、何か付け込もうとしているんじゃないか・・・とか、

│ そういうことを、ちょっと思いました。

│ ただ、一方で、

│ もしかしたら本当に心配してくれていて、

│ それで、

│ 話をしに行きたい、力になってあげたい・・・って思ってくれたのかもしれなくて、

│ お兄ちゃんの話を聞く限りでは、

│ なんとなく、

│ カメさんは、そっちのほうの気がしました。

│ 悪い人ではないような気がしました。

│ ワタシ、

│ 今回の件で、

│ 人を見る目がないんだな・・・って、すっかり自信を()くしてまして、

│ なので、

│ また勘違いかもしれない・・・って不安でしたし、

│ また、あとになって裏切られるかもしれない・・・とも思いました。

│ 正直、怖くて仕方なかったんですけど、

│ それでも、

│ そのときは、

│ 何故か、そう思えました。

│ 悪い人ではないような、そういう気がしました。

│ ワタシ、

│ 少ししてから、顔を上げました。

│ ベッド脇の、お兄ちゃんのほうを見ると、

│ お兄ちゃん、

│ 下向いたまま、まだ考え込んでる様子でした。

│ ワタシ、

│ 意を決して訊いてみました、

│ 『・・・あの、

│  カメさんって、どういう人なの?』って。

│ 『え?、』って顔を上げたお兄ちゃん、

│ 少し遅れて答えました。

│ 『・・・あ、あぁ、

│  まぁ、その・・・、

│  変なヤツではないかな、普通だよ。

│  大人しめで、そんなに喋るほうじゃないんだけど、

│  でも、

│  寡黙とか無口ってほどでもなくて、喋ると結構面白くて、

│  たまに、わけの分からないこと言って笑わせにきて、

│  あとは、

│  ちょっと心配性で、

│  そのおかげかもしれないけど、わりと気が利くヤツで、

│  他はなんだろ、

│  ・・・マジメかな、色々な意味で。

│  ゴマカシとかはあまりしないタイプだし、

│  出される課題も、

│  アイツ、オレとは違って毎回期限内にキッチリこなしてて・・・。

│  なんか、

│  コツコツやるのが昔からあまり苦にならないタイプらしくて、

│  あぁ、そうそう、

│  アイツ、

│  最近、盆栽にハマってさ、

│  部屋の窓の近くに、ちっちゃいのが1個飾ってあって、

│  世話したり、眺めたりしてると落ち着くらしい。

│  あとは・・・』

│ 『・・・その、

│  一応、念のために訊くんだけど』

│ 『え?

│  うん、何?』

│ 『その、なんて言うか、

│  ・・・面白がって誰かを困らせたりとか、馬鹿にしたりとか、

│  そういう――』

│ 『いや、

│  アイツ、そういうことはしないかな・・・。

│  そういうタイプじゃないと思う』

│ ワタシ、

│ 下を向いて、少し考えたあと、

│ お兄ちゃんに言いました、

│ 『・・・ワタシ、

│  カメさんって人と会っても、別に構わないけど』って。

│ 『は?、』って言ったお兄ちゃん、

│ 少し間を置いてから続けました。

│ 『・・・いや、

│  お前がアイツに気を遣って会う必要なんて、オレは全然ないと思うけど』

│ ワタシは言いました。

│ 『その、

│  ワタシ、カメさんに気を遣って言ってるんじゃなくて、

│  ホントに、会ってもいいかな・・・って。

│  話してもいいかな・・・って。

│  だって、

│  悪い人じゃないんでしょ?、その人』

│ 『・・・いや、まぁ、

│  確かに、

│  アイツ、悪いヤツじゃないけど』

│ 『なら、

│  ワタシ、会ってもいいよ・・・』

│ お兄ちゃん、

│ 少しの間、黙ってました。

│ けど、

│ 息をひとつ吐いたあと、

│ 『・・・じゃあ、明日か明後日、

│  多分、今よりちょっと遅いくらいの時間にカメを連れてくるけど、

│  それでいいか?』って訊きました。

│ ワタシ、

│ 下向いたまま、頷きました。

│ 『うん、

│  それでいいよ・・・』って返しました。

│ お兄ちゃん、

│ 『ホントにいいんだな?

│  オレ、ホントに連れてくるからな?』って念押ししました。

│ ワタシは、

│ ちょっと考えました。

│ そうして、

│ また、頷きました。

│ 『うん、

│  連れてきていいよ・・・』って返しました。

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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