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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
253/292

253.夜7時になりました

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 夜7時になりました。

│ それからしばらくすると、

│ 外の門の開く音がして、

│ 閉じた音がして、

│ ちょっと間が置あってから、

│ 玄関のドアの開く音がしました。

│ 「ただいま」って、お父さんの声がしました。

│ お母さんの、

│ 「おかえりなさい」って声がしました。

│ 「ウサギは?

│  少しは良くなったのか?」

│ 「そのことなんだけど、

│  ウサギには、

│  今日から、漫画部屋を寝室として使ってもらうことにして、

│  だから、

│  今、そこで寝ているのよ」

│ 「え?

│  ・・・あぁ、トイレに通うためか。」って、お父さんの声がしたあと、

│ こっちに歩いてくる足音がして、

│ 部屋の戸が、

│ トントン・・・って、2回ノックされました。

│ 「ウサギ、入るぞ?」

│ お父さんにそう言われたワタシは、

│ 「あ、はい」って返しつつ、上体を起こしました。

│ 戸が静かに、半分くらい開いて、

│ カバンを手に提げた、白いワイシャツ姿のお父さんが現れました。

│ 「お父さん、おかえり・・・」

│ ワタシがそう言うと、

│ お父さん、

│ 布団の上のワタシを見て、

│ 「あぁ、ただいま。

│  どうだ?、体の調子は」って訊きました。

│ 「えっと、

│  その、あんまり・・・」

│ 「・・・ん?

│  ご飯、今日も食べられないままか・・・」

│ お父さん、

│ 布団の脇の、ミニテーブルのほうを見て、

│ そう言いました。

│ ワタシは、

│ 「うん・・・」って返しました。

│ お父さん、

│ ため息をつきました。

│ そうして、

│ 「・・・分かった。

│  じゃあ、

│  父さん、お風呂に入ってくるからな」って言いました。

│ 「うん」って、ワタシが返すと、

│ お父さん、

│ 開けていた戸を、ゆっくりと閉めました。

│ ワタシも、

│ 起こしていた体を、また戻しました。

│ その後、

│ お父さんの足音が、階段を上がっていき、

│ 少しすると、また下りてきて、

│ その足音が、台所のほうに行きました。

│ ふたりで何かを話してる声がして、

│ やがて、

│ 「え!

│  貰ってこなかったのか?」って、お父さんの声が聞こえました。

│ 再び、ふたりで何かを話し合ってる声が続いて、

│ それが止まって、

│ 足音が、お風呂場のほうへ向かっていきました。

│ ちょっとして、

│ 足音が近付いてきて、部屋の戸がノックされました。

│ 「ウサギ、お母さんだけどー」って声がしました。

│ 「あ、

│  うん、いいよー」って返したワタシは、体を起こしました。

│ お母さんが戸を開け、

│ 「あぁ、

│  起きなくていいわよ、そのまま寝てなさい」って言いました。

│ ワタシは、

│ 「あ、

│  うん、分かった・・・」って返しつつ、体を寝かせました。

│ 部屋に入ってきたお母さん、

│ 後ろ手で戸を閉め、ワタシに言いました。

│ 「・・・お父さん、

│  今、お風呂に入ってる」

│ 「うん、聞こえてる」って返すと、

│ お母さん、

│ ワタシの近くにきて、しゃがみました。

│ 少し声を落として、

│ 「どうする?

│  自分で言う?」って尋ねました。

│ 「えっと・・・、」って口にしたワタシは、

│ 言おうかどうか、ちょっと迷いました。

│ でも、

│ 色々と説明しなきゃいけない気がしたので、

│ それで、

│ 「あ、

│  ううん、自分で言う・・・」って返しました。

│ 「そう、分かったわ。

│  一応、お父さんには、

│  ツワリはストレスで悪化することもあるから・・・って、釘を刺しておいたから」

│ 「・・・うん」

│ 「お父さんには、どこで話すつもり?

│  この部屋に来てもらう?」

│ 「あぁ、

│  じゃあ、台所・・・じゃなくて、

│  えーと、

│  ・・・リビングで」

│ 「リビングね、分かったわ。

│  時間は? また8時くらい?」

│ 「えっと・・・、

│  うん、

│  多分、それくらい・・・」

│ ワタシがそう答えると、

│ お母さん、

│ 「分かったわ。

│  私も、一緒にいるからね」って言いました。

│ 「・・・うん、

│  ありがと」って返しました。

│ 「さてと、

│  じゃあ、そろそろ戻るわね。

│  冷奴とかは、もう下げちゃっていい?

│  食べられそうもないでしょ」

│ 「あ、えと・・・、

│  うん、下げちゃっていいよ・・・」

│ 「そう、

│  じゃあ、また冷蔵庫に入れとくからね」

│ 「うん」

│ お母さんは、

│ ミニテーブルの上のお盆から、りんごジュースのコップとかを下ろすと、

│ そのお盆を持って、立ち上がり、

│ 部屋を出ていきました。

│ 戸が閉められたあと、

│ ワタシは、

│ 枕元に置いてある充電スタンドに目を向け、スマホを手に取りました。

│ 寝ながらメッセージをいくつか確認したあと、

│ 久し振りにネットで動画を観たりして、

│ その途中で、上体を起こしました。

│ りんごジュースを飲みつつ、そのままネットをして、

│ 少しすると、

│ スマホを充電スタンドに戻して、

│ また、横になりました。

│ 緊張は、ほとんどしていませんでした。

│ どちらかと言えば、少しスッキリとした気分でした。

│ あとちょっとで、

│ 一応、一段落が着きそう・・・って思ってました。

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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