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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
242/292

242.「《『でね、昨日と同じように

「《『でね、

   また、お寺さんに続く上り階段のところで自転車を駐めて、

   預かっていたリュックをお父さんに返したあと、

   途中の自販機で買った缶ジュースを前カゴの中から拾って、

   片方をお父さんに渡して、

   そうして、ふたりで階段を上り始めた。

   脇にある手すりを乗り越え、

   コンクリート壁の、細いヘリの上を歩いていって、

   で、高架下に辿り着くと、

   そこから丘をちょっと登って、大きな支柱の土台まで行って、

   お父さんと一緒に腰掛けた。

   前日とまったく同じ、見晴らしのいい風景がそこにあって、

   緑の田んぼや、茶色っぽい畑が、

   眩しいくらいの明るい日差しの中で、遠くの方まで続いてた。

   “着いたね”って言ったら、

   “うん”って返ってきた。

   “いい景色だね”って言ったら、

   “・・・うん”って返ってきた。

   そのまま、

   お互い、目の前に広がる景色を眺めてたわ。

   少しして、

   お父さんが缶ジュースをプシュッと開け、ちょっと飲んだから、

   私も自分の缶に手を伸ばし、開けて、

   ひと口飲んだ。

   ふぅ・・・って息をついて、

   そのあと、お父さんに、

   “ねぇ、

    ▽▽がさっきウチからかけてた電話、

    どんな感じだったの?

    なんか、

    怒られた、って言ってたけど・・・”って訊いた。

   “ん?

    ・・・あぁ、

    うん、怒られた”って返ってきた。

   “どれくらい?”

   “かなり”

   “どんなこと言われた?”

   “えっと・・・、

    あなた、なんのために上京したの、とか、

    毎月の仕送りだって大変なのに、お礼の電話ひとつ寄越そうとしない、とか、

    ホント、あなたたちは親の気も知らずに昔から迷惑ばっかり、とか、

    電話・・・は関係ないか。

    ・・・。

    まぁ、だいたいそんな感じ”

   私、心配してたことを尋ねてみた、

   “あの、

    こっちに帰ってきなさい、とか、

    そういうのは・・・”って。

   “あぁ、

    そういうのは言われてない”

   私、ホッとした。

   良かった・・・って思ってたら、

   お父さん、

   続けて私に訊いたのよ、

   “・・・あのさ、

    ◎◎って、

    もしかして、電話で姉貴とよく話すの?”って』

  続きます》」

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