235.「《『その後、晩ごはんを食べて
「《『その後、
晩ごはんを食べてお風呂に入っていると、電話が鳴ったのよ。
あ、義姉さんかも・・・って思った。
お風呂を出てリビングに行くと、
テレビを観ていた弟が こっちを振り返って言ったわ、
“姉ちゃん、さっき電話あったー”って。
“誰から?”
“お姉さんの方の△△さん。
30分後くらいに また電話するって”
私、
すぐに電話のところに行って、義姉さん家に電話をかけた。
そしたら、また弟さんが出てね、
ちょっと不機嫌そうな様子で、
“あー、
姉ちゃん、まだ帰ってきてませんけど・・・”って。
“え?
でも、さっき、
☆☆さんからウチに電話があったみたいですけど・・・”って言ったら、
“あ、
それ、多分 友達の家から かけたんだと思う”って。
“友達の家?”
“うん。
さっきウチに電話が かかってきて・・・あ、姉ちゃんからですけど、
で、
そのとき、
オレ、電話があったこと話したから・・・”
“あぁ、なるほど。
・・・分かりました、どうもありがとうございました”
受話器を置いた私は、
リビングに戻って みんなと一緒にテレビを観て、
で、
少ししたら電話が鳴ったから、私が出た。
“はい、○○です”って言ったら、
“あ、◎◎ちゃーん。
お久し振りー、元気ぃ?”って、明るい義姉さんの声が返ってきた。
“あ、
はい、元気です”
“ごめんねー、
最近、ちょっと色々あってさぁ。
かけよう かけようとは思ってたんだけど・・・”
“いえいえ。
私も、かけよう かけようとは思ってたんですけど、
なかなか、その・・・”
“まぁ、遠いと お金かかるからねー。
▽▽は元気?
アイツ、ちゃんと真面目に大学 通ってるの?”
“あ、
はい、元気です。大学にも ちゃんと通ってます”
“えー、ほんとぉ?
◎◎ちゃん、
アイツのこと、かばってるでしょー”
私、笑いながら義姉さんに返したわ。
“かばってないです かばってないです。
ホントに ちゃんと行ってますから”
“そっかー、安心した。
その感じだと、
じゃあ、▽▽とも うまくいってるんだ?”
“えーと、
・・・あ、はい、うまくいってます”
“なぁに今の間ー。
◎◎ちゃん、
もしかしてアイツにイジメられた?”
“いえ、
そうじゃないんですけど、ちょっと・・・”
言葉を濁したら少し間があって、
そのあと、義姉さんの声が返ってきた。
“・・・まぁ、いいけど。
でも、
もし何かあったら あたしを頼っていいからね。
アイツにガツンと言ってやる”
“あ、
はい、分かりました。
・・・あの”
“何?”
“☆☆さん、
今、友達の家に住んでるんですか?”
“うん。
あたし、親と ちょっとケンカしちゃってさぁ。
で、
しばらく友達の部屋に泊めさせてもらってるの”
“あ、そうだったんですか・・・。”
何かあったんですか?、って訊きたかったんだけどね、
なんか、あまり訊かれたくなさそうな感じだったから やめることにした。
代わりに、
“そう言えば、
ちょっと前に友達から教えてもらったバンドがあって、
もしかしたら、☆☆さん もう知ってるかもしれませんけど・・・”みたいな、
そんな感じで話題を変えてね、そのままふたりでお喋りしてた。
で、
しばらくして、会話がひと段落したときに、
あ・・・って思って時計を見たら、結構 時間が経ってたの。
だから、
私、義姉さんに言ったわ、
“あぁ、
すみません、話が長くなっちゃって・・・”って。
“ん?
あぁ、もう こんな時間か。
いいの いいの、
電話をかけたの あたしの方なんだから。
あたしの友達、今 仕事に出ててさぁ、
この部屋にひとりきりで、ちょうどヒマしてたのよ。
こっちこそ、あたしの長話に付き合わせちゃってゴメンね”
“あ、
いえ、もともとは私が かけたんだし・・・”
“あぁ、
そう言えば そっか。忘れてた。
じゃ、また何か話したいことがあったら電話してよ。
ここの電話番号、教えよっか?”
“えと・・・、
あ、はい、お願いします。”
私、
義姉さんから、
電話番号と義姉さんが居候している友達の名前を聞いて、紙にメモって、
で、
“分かりました。
じゃ、また電話します”って言った。
そしたら、義姉さんが言ったの、
“うん、いつでも電話して。
あ、
◎◎ちゃんってさぁ、
お盆休み、▽▽と一緒に こっちに来るの?”って。
“あ、えっと・・・”
一瞬、妊娠のことが頭を過っちゃってね、
どう答えたら良いか分からなくて迷ってたら、
義姉さんが訊いたの、
“まだ決まってないの?”って。
“・・・はい。
まだ決まってなくて・・・”
“まぁ、そっかー。
こっちに来るの、かなり大変だもんねー”
それ聞いてね、
私、お父さんと離れ離れになっちゃうかもしれないことが浮かんでね、
その怖さと寂しさで胸がちょっと苦しくなった。
迷った末、
私、義姉さんに訊いてみたわ、
“・・・あの、
▽▽とは、最近 電話で何か話しました?”って。
“え、
何、急に改まっちゃって。
アイツと話なんかしてないわよ、
春にそっちに行ってから 一度も”
“・・・えと、
時間って、まだ大丈夫ですか?
その、やっぱりちょっと話したいことがありまして・・・”
“え?
別に いいけど。何?”
“あ、
10分後くらいに かけ直すので、そこで・・・”
“分かった。
じゃあ、待ってる。またねー”
“はい。
それでは また”
受話器を置いた私は、大急ぎで2階に上がったわ。
パジャマを着替え、適当に身支度をして、
テレフォンカードをあるだけ かき集めると、電話番号のメモを一緒に持って、
“ちょっと出掛けてくるー”って言って、
家を飛び出して、自転車に乗った。
走ってる最中、
あぁ、別に明日でも良かったのか・・・って気付いたんだけどね、
まぁいいや、って思って、
そのまま最寄りの電話ボックスのところに向かったわ。
で、
到着したら自転車を駐めて、すぐに義姉さんに電話をかけた、
“もしもし、○○ですけど・・・”って』
続きます》」




