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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
235/292

235.「《『その後、晩ごはんを食べて

「《『その後、

   晩ごはんを食べてお風呂に入っていると、電話が鳴ったのよ。

   あ、義姉さんかも・・・って思った。

   お風呂を出てリビングに行くと、

   テレビを観ていた弟が こっちを振り返って言ったわ、

   “姉ちゃん、さっき電話あったー”って。

   “誰から?”

   “お姉さんの方の△△さん。

    30分後くらいに また電話するって”

   私、

   すぐに電話のところに行って、義姉さん()に電話をかけた。

   そしたら、また弟さんが出てね、

   ちょっと不機嫌そうな様子で、

   “あー、

    姉ちゃん、まだ帰ってきてませんけど・・・”って。

   “え?

    でも、さっき、

    ☆☆さんからウチに電話があったみたいですけど・・・”って言ったら、

   “あ、

    それ、多分 友達の家から かけたんだと思う”って。

   “友達の家?”

   “うん。

    さっきウチに電話が かかってきて・・・あ、姉ちゃんからですけど、

    で、

    そのとき、

    オレ、電話があったこと話したから・・・”

   “あぁ、なるほど。

    ・・・分かりました、どうもありがとうございました”

   受話器を置いた私は、

   リビングに戻って みんなと一緒にテレビを観て、

   で、

   少ししたら電話が鳴ったから、私が出た。

   “はい、○○です”って言ったら、

   “あ、◎◎ちゃーん。

    お久し振りー、元気ぃ?”って、明るい義姉さんの声が返ってきた。

   “あ、

    はい、元気です”

   “ごめんねー、

    最近、ちょっと色々あってさぁ。

    かけよう かけようとは思ってたんだけど・・・”

   “いえいえ。

    私も、かけよう かけようとは思ってたんですけど、

    なかなか、その・・・”

   “まぁ、遠いと お金かかるからねー。

    ▽▽は元気?

    アイツ、ちゃんと真面目に大学 通ってるの?”

   “あ、

    はい、元気です。大学にも ちゃんと通ってます”

   “えー、ほんとぉ?

    ◎◎ちゃん、

    アイツのこと、かばってるでしょー”

   私、笑いながら義姉さんに返したわ。

   “かばってないです かばってないです。

    ホントに ちゃんと行ってますから”

   “そっかー、安心した。

    その感じだと、

    じゃあ、▽▽とも うまくいってるんだ?”

   “えーと、

    ・・・あ、はい、うまくいってます”

   “なぁに今の()ー。

    ◎◎ちゃん、

    もしかしてアイツにイジメられた?”

   “いえ、

    そうじゃないんですけど、ちょっと・・・”

   言葉を濁したら少し間があって、

   そのあと、義姉さんの声が返ってきた。

   “・・・まぁ、いいけど。

    でも、

    もし何かあったら あたしを頼っていいからね。

    アイツにガツンと言ってやる”

   “あ、

    はい、分かりました。

    ・・・あの”

   “何?”

   “☆☆さん、

    今、友達の家に住んでるんですか?”

   “うん。

    あたし、親と ちょっとケンカしちゃってさぁ。

    で、

    しばらく友達の部屋に泊めさせてもらってるの”

   “あ、そうだったんですか・・・。”

   何かあったんですか?、って訊きたかったんだけどね、

   なんか、あまり訊かれたくなさそうな感じだったから やめることにした。

   代わりに、

   “そう言えば、

    ちょっと前に友達から教えてもらったバンドがあって、

    もしかしたら、☆☆さん もう知ってるかもしれませんけど・・・”みたいな、

   そんな感じで話題を変えてね、そのままふたりでお喋りしてた。

   で、

   しばらくして、会話がひと段落したときに、

   あ・・・って思って時計を見たら、結構 時間が経ってたの。

   だから、

   私、義姉さんに言ったわ、

   “あぁ、

    すみません、話が長くなっちゃって・・・”って。

   “ん?

    あぁ、もう こんな時間か。

    いいの いいの、

    電話をかけたの あたしの方なんだから。

    あたしの友達、今 仕事に出ててさぁ、

    この部屋にひとりきりで、ちょうどヒマしてたのよ。

    こっちこそ、あたしの長話に付き合わせちゃってゴメンね”

   “あ、

    いえ、もともとは私が かけたんだし・・・”

   “あぁ、

    そう言えば そっか。忘れてた。

    じゃ、また何か話したいことがあったら電話してよ。

    ここの電話番号、教えよっか?”

   “えと・・・、

    あ、はい、お願いします。”

   私、

   義姉さんから、

   電話番号と義姉さんが居候している友達の名前を聞いて、紙にメモって、

   で、

   “分かりました。

    じゃ、また電話します”って言った。

   そしたら、義姉さんが言ったの、

   “うん、いつでも電話して。

    あ、

    ◎◎ちゃんってさぁ、

    お盆休み、▽▽と一緒に こっちに来るの?”って。

   “あ、えっと・・・”

   一瞬、妊娠のことが頭を(よぎ)っちゃってね、

   どう答えたら良いか分からなくて迷ってたら、

   義姉さんが訊いたの、

   “まだ決まってないの?”って。

   “・・・はい。

    まだ決まってなくて・・・”

   “まぁ、そっかー。

    こっちに来るの、かなり大変だもんねー”

   それ聞いてね、

   私、お父さんと離れ離れになっちゃうかもしれないことが浮かんでね、

   その怖さと寂しさで胸がちょっと苦しくなった。

   迷った末、

   私、義姉さんに訊いてみたわ、

   “・・・あの、

    ▽▽とは、最近 電話で何か話しました?”って。

   “え、

    何、急に改まっちゃって。

    アイツと話なんかしてないわよ、

    春にそっちに行ってから 一度も”

   “・・・えと、

    時間って、まだ大丈夫ですか?

    その、やっぱりちょっと話したいことがありまして・・・”

   “え?

    別に いいけど。何?”

   “あ、

    10分後くらいに かけ直すので、そこで・・・”

   “分かった。

    じゃあ、待ってる。またねー”

   “はい。

    それでは また”

   受話器を置いた私は、大急ぎで2階に上がったわ。

   パジャマを着替え、適当に身支度をして、

   テレフォンカードをあるだけ かき集めると、電話番号のメモを一緒に持って、

   “ちょっと出掛けてくるー”って言って、

   家を飛び出して、自転車に乗った。

   走ってる最中、

   あぁ、別に明日でも良かったのか・・・って気付いたんだけどね、

   まぁいいや、って思って、

   そのまま最寄りの電話ボックスのところに向かったわ。

   で、

   到着したら自転車を駐めて、すぐに義姉さんに電話をかけた、

   “もしもし、○○ですけど・・・”って』

  続きます》」

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