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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
202/292

202.「あら、おかえりなさい」

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 「あら、おかえりなさい」

│ 診察室の扉の向かい側で、ソファに座ってたお母さんが、

│ ワタシを見て、そう言いました。

│ ワタシは、

│ そのお母さんの隣に座りつつ、

│ 「うん・・・」って返しました。

│ 下を向いて、ため息をつくと、

│ お母さんが言いました。

│ 「診察中じゃなくて良かったじゃない」

│ ワタシは、もう一度、

│ 「うん・・・」って返しました。

│ 目の前にある、診察室の《2》の扉が、

│ ガラガラ・・・って開きました。

│ 看護師さんが現れ、

│ 「ウサギさんですね?

│  お母様と一緒に、どうぞ中へお入りください」って言いました。

│ ワタシとお母さんは立ち上がり、

│ 診察室に入りました。

│ 診察室の中は、

│ 昨日とは左右逆の配置でしたが、ほとんど同じ感じで、

│ 壁に寄せられている白いデスクで、

│ イスに座った、昨日と同じ男の先生が、

│ パソコン画面を見ながら、キーボードをカタカタと鳴らしていました。

│ 「待たせちゃってゴメンねー。

│  そこのイスに座っててくれるかなー。

│  もうすぐ始めるからねー。

│  近くに緑色のカゴがあるでしょ。

│  軽い荷物は、そこ使っていいからねー。

│  お連れの方も隣に座ってねー。

│  今日も緊張しているの?」

│ 急に訊かれ、驚いたワタシは、

│ 「え?

│  あ、はい。ちょっとだけ・・・」って返しつつ、カゴに自分のポシェットを置き、

│ 先生の前に用意されているイスに腰掛けました。

│ 先生は、

│ 「ちょっと?

│  ということは、昨日よりは少し落ち着いてる状態・・・ってことだよね?

│  合ってる?」って、

│ パソコンのマウスを操作しながら、訊きました。

│ 「あ、はい、

│  昨日よりは落ち着いてると思います・・・」

│ 「そうか、なら良かった。

│  ・・・よし。

│  お待たせ、

│  じゃ、始めようか。

│  今日の・・・、」って、イスを回してこちらを向いた先生は、

│ 「あ、いいのをつけてるね」って言いました。

│ ワタシは、

│ 手首に巻いたバンドを見せて、

│ 「あ、これですか?」って訊きました。

│ ニコッと笑った先生は、頷きました。

│ 「そう、それ。

│  でも、

│  もうちょっと下かな。

│  ツワリに効果のあるツボの場所って、

│  手のひらから、

│  だいたい、指3本分くらい間隔を空けたところだから」

│ 「あ、そうなんですか」って言ったワタシは、

│ 手首に指を当て、場所を確かめました。

│ バンドをズラし、教わった場所に合わせると、

│ 先生が、

│ 「そう、そこだね」って言いました。

│ ワタシは、

│ 「ありがとうございます」って返しつつ、

│ 反対側の手首のバンドも合わせました。

│ 先生が、

│ 再び、パソコン画面のほうに向き直しました。

│ そうして、

│ 「で、

│  今日の体調は、どんな感じかな?」って尋ねました。

│ 「えっと、

│  その、あまり良くないです・・・」って答えて、顔を上げると、

│ 先生は、

│ キーボードで文字を打ち込みつつ、更に尋ねました。

│ 「良くない・・・ってのは、

│  具体的には、どう良くないのかな?」

│ 「えーっと、

│  体が熱っぽくて、頭が痛くて、

│  意識がボーッとしてて、

│  車酔いみたいな感じの気持ちの悪さが、ずっと残ってます。

│  あと、

│  胸の辺りのムカムカも、全然消えてないです」

│ 「じゃあ、昨日と同じ感じか。

│  クシャミとか鼻水もないんだね?」

│ 「はい、ないです」

│ 「吐き気も、相変わらず?」

│ 「はい・・・」

│ 「薬は、

│  ちゃんと飲んでるんだよね?」

│ 「はい・・・。

│  あ、先生、

│  ちょっと訊きたいことがあるのですが・・・」

│ ワタシがそう言うと、

│ 先生は、少し遅れてキーボードを叩くのをやめ、

│ 顔をこちらに向けました。

│ 「ん? なんだい?」って言いました。

│ ワタシは、先生に尋ねました。

│ 「漢方のことなんですが、

│  ワタシ、水がちょっと飲めなくて、

│  だから、

│  りんごジュースと一緒に飲んでしまったのですが、大丈夫でしょうか?」

│ 先生が答えました。

│ 「あぁ、

│  病院で処方される漢方については、

│  いわゆる普通の薬とは違い、

│  基本的には、お茶とかジュースで服用しても平気だよ。

│  ただ、

│  いくらお茶とかでも平気とは言っても、

│  ものによっては、服用したときの効果が多少落ちてしまうのもあるので、

│  なるべくなら、お水とか白湯(さゆ)での服用が望ましいけどね。

│  あぁ、

│  ウサギさんの場合は仕方ないし、

│  あの漢方は、あまりそういうことはないからね。

│  りんごジュースで飲んでも大丈夫だからね」

│ ワタシは、

│ 「分かりました」って言いました。

│ その後、

│ 先生は、パソコン画面のほうをまた向き、

│ キーボードで文字を打ちつつ、

│ ゆうべから今朝にかけて、食事や水分が摂れたかどうか質問していきました。

│ ワタシは、

│ 食事については、

│ ゆうべに豆腐を少しと、今朝は梅干し1個を食べれて、

│ ビタミン剤も買って、飲んで、

│ 水分については、

│ りんごジュースを少し飲んだことを伝えました。

│ 「・・・でも、

│  結局、すぐに戻してしまった・・・と、

│  そういうことだね?」

│ 先生にそう訊かれ、

│ ワタシは、

│ 「はい・・・」って返しました。

│ 先生が、更に訊きました。

│ 「すぐ、ってのは、

│  だいたいどれくらい?

│  1分も経たないうちに・・・とか、そういう感じかな?」

│ 「あ、いえ、

│  いま言ったものについては、

│  30分とか40分とか、

│  多分、それくらい経ってから・・・だと思います」

│ ワタシが、そう返すと、

│ 先生が言いました。

│ 「なるほど。

│  なら、

│  りんごジュースについては、ちゃんとウサギさんの体に吸収されてるよ。

│  食べ物と違って、

│  水分はすぐに胃を通過しちゃって、小腸に行き、

│  そこで、

│  だいたい30分で吸収されちゃうからね。

│  だから、大丈夫」

│ 「あ、

│  はい、分かりました」

│ 「ちなみに、

│  今日は何回くらい戻してるの?」

│ 「えーっと、

│  ・・・4回です。

│  さっき、ここで待ってるときにも戻してしまって・・・」

│ 「4回ってことは、

│  もしかして、

│  夜、寝てるときも?」

│ 「あ、はい、

│  2回くらい・・・。

│  でも、

│  戻す・・・って言うか、

│  その、実際にはほとんど戻してないんですけど・・・」

│ ワタシがそう答えると、

│ 先生が言いました、

│ 「あぁ、

│  オエッ・・・てしてた、ということだね?

│  えずいてたんだ?」って。

│ 「あ、はい、

│  多分、それだと思います。

│  えずいてました」

│ 「あまり眠れてないんじゃないの?」

│ ワタシは、

│ 「はい・・・、

│  あまり眠れてません・・・」って返しました。

│ 先生が、

│ 息をひとつ吐いてから言いました。

│ 「・・・なんか、

│  昨日より、少し悪くなってる感じだね」

│ そのとき、

│ お母さんが先生に言いました。

│ 「あの、

│  多分、ゆうべの話し合いが原因だと思います」

│ 先生が、

│ キーボードを鳴らしながら、すぐに訊きました。

│ 「ゆうべの話し合い、というのは?」

│ お母さんが答えました。

│ 「あぁ、えっと、

│  ゆうべ、

│  帰ってきた主人に、この子が自分の妊娠のことを話したんです。

│  そしたら、

│  相手の男が逃げていなくなったことを知った途端、主人が激怒しまして・・・。

│  オレは、産むなんてことは絶対に許さん。

│  病院の先生に中絶することを伝えて、その同意書を貰ってこい・・・って、

│  もう、カンカンで・・・。

│  この子が赤ちゃんをどうしたいか、一切聞こうともしないで、

│  ただただ、堕ろせ堕ろせ・・・って」

│ 「・・・なるほど」

│ 「それで、

│  私と主人で、少し口論になってしまったんです。

│  昨日、先生には、

│  “ツワリはストレスにも左右されると言われてますので、なるべく安静に”って、

│  そう言われたんですけど、

│  そのときは、

│  私、すっかり忘れてしまってて・・・。

│  多分、そのせいだと思います。

│  この子、

│  すぐにトイレに駆け込んで、ずっと戻してて・・・」

│ 「・・・分かりました。

│  ただ、

│  それ以外のことが関係していることも十分に考えられます。

│  なので、あまり気にし過ぎないでください。

│  それで、

│  ウサギさんに訊きたいんだけども・・・」

│ そう言われたワタシは、

│ 「あ、はい」って返しました。

│ 先生が尋ねました。

│ 「ウサギさん自身は、

│  自分の妊娠をどうしたいと考えてるの?

│  昨日は、

│  分からない、って言ってたけど」

│ ワタシは答えました。

│ 「えっと、

│  まだ、分からないです・・・。

│  考える時間がもう少し欲しくて、

│  それで、

│  昨日、言おうと思ってたんですが・・・」

│ 「・・・言えなかった、と」

│ 「はい・・・」

│ 「今も、まだ言えてない?」

│ 「はい・・・」

│ 「言えそうかな?」

│ 「・・・頑張ります」

│ 「分かりました。

│  ・・・お母様は、

│  娘さんの妊娠については、

│  娘さんにどうしてほしいとお考えですか?」

│ そう訊かれたお母さんは、

│ すぐに答えました。

│ 「できるだけ、

│  この子の望むようにさせてやりたい、と考えてます」

│ 「産みたい、と言われたら、

│  産ませる、という意味ですね?」

│ 「はい、そうです」

│ 「分かりました」

│ そう返した先生は、

│ 少しの間、そのままパソコンのキーボードを黙々と叩いていましたが、

│ やがて、

│ その手を引くと、両膝の上に置き、

│ イスをこちらへ回しました。

│ ワタシたちを見て訊きました。

│ 「おふたりは、

│  特別養子縁組・・・という制度はご存知ですか?」

│ お母さんが、

│ 「名前だけは、一応・・・」って答えました。

│ ワタシは、

│ 「知らないです・・・」って答えました。

│ 先生が言いました。

│ 「特別養子縁組というのは、

│  なんらかの事情で、

│  親が、自分たちで子を育てるのが困難な場合に、

│  その子を他所(よそ)の家庭で育ててもらうときに利用される制度のひとつです。

│  この特別養子縁組が成立すると、

│  元の親が持っていた親権は、

│  子を新しく養うことになった親の方へ移されます。

│  親権・・・というのは、

│  子の財産を管理する権利と、

│  教育、養育などを行なわなければならないという義務を(あわ)せた総称です。

│  漢字で“親の権利”と書いてますが、実は義務も入ってます。

│  特別養子縁組は、

│  その親権が、

│  元の親から、新しく養うことになった親へと移される制度です。

│  特別養子縁組が成立すれば、

│  たとえ元の親が産みの親であったとしても、

│  法的には、その親は親でなくなり、

│  養うことを認められた親が、新しい親となります。

│  戸籍上でも、

│  その子の親は、養う側の親だけになります。

│  基本的には、ずっとです。

│  赤ちゃんを産んだが、金銭的な理由などで自分たちの手で育てられない場合、

│  特別養子縁組に出す・・・という選択肢もあることを、

│  頭の片隅に入れておくと良いと思います。

│  詳細については、

│  あとでパンフレットをお渡ししますので、それをご覧になってください。

│  で、他には・・・と、

│  あぁ、そうだ、

│  同意書の紙、どうします?

│  プリントアウトしましょうか?」

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ウサギさんの、

 《入院することになりました》という、3日振りの投稿についたコメントは、

 診察1日目の回のあとの、あの嫌味ったらしいものが半分ほどついたときを除けば、

 だいたいが同情的で、好意的だった。

 ウサギさんのことを心配し、気遣っているものが多かった」


┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ まだ高校生なのに、色々と大変な展開だね・・・。

│ もう、さっきからずっとため息つきながら読んでるわ。

│ わたしも、

│ 昔、ツワリがちょっとあって、大変でね、

│ 梅干しにはお世話になったわ。

│ あれ食べると、ツワリが少し楽になったの。

│ だから、

│ 仕事で休憩時間に入るたびに、梅干しを食べてた。

│ お医者さんには、

│ 「梅干しは塩分が高めなので、

│  1日、小1個くらいに留めて下さい」って言われたから、

│ 家で、塩分控えめにした梅干しをわざわざ作ってね、

│ それをいつも持ち歩いてたわ。

│ 訊きたいことや相談したいことがあったら、遠慮せずになんでも言って。

│ 愚痴でもいいからね。

│ (こん)詰め過ぎちゃダメよ?

│ さぁ、わたしもお夕飯の準備を始めないと。

│ じゃあ、またね。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ ウサちゃん、こん〜☆

│ 匂いヅワリ、キツイよねー。

│ ウチも、

│ 洗濯の洗剤や柔軟剤、

│ 食器洗剤とかシャンプーとかハンドソープとか、

│ それまで使ってたのが、全部ダメになっちゃってさぁ、

│ 色々買って、試して、

│ 大丈夫だったのを使ってたわ。

│ タバコの匂いや香水もダメだし、

│ あと、

│ 洗濯物を干してる家の前を通っただけで気持ち悪くなっちゃう状態だったから、

│ 外を出歩くときは、

│ いつもマスクの下に、水泳用の鼻栓してた。

│ もう口が乾いて大変だった。

│ ウチの場合、

│ 旦那の匂いまでダメになっちゃってさ、

│ それを旦那に伝えたら、

│ なんか、珍しく落ち込んでたわ(笑)。

│ あー、

│ 少しずつ投稿してるのって、そういう事情があったの。

│ ってことは、

│ 裏で続きを書いてる、ってこと?

│ そんなに頑張らなくていいんじゃないかな。

│ 入院前だし、休んでた方がいいと思う。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そんな感じのコメントが大半だったんだ、

 ・・・この、診察2日目の回が載るまでは」


┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ あー、はいはい、

│ 育児にかかる手間とお金の問題は、

│ 確かに、他の人に育ててもらえば問題無いよねー。

│ 良かったねー。

│ でも、その子は将来どう思うんだろうねー。

│ 両親とあまり似てないことを友達から言われたり、からかわれたりして、

│ それで、

│ 何かおかしい・・・って、不安を感じながら暮らしていくかもしれないし、

│ 自分が養子であることを知らされたときは、

│ 実の親に育ててもらえなかったことを、すごーく寂しく思っちゃうかもねー。

│ そういったことについては、どう思ってるわけ?

│ それとも、

│ 産んだあとは、すぐに親子の縁が切れて他人になっちゃうから興味なし?

│ 無責任過ぎない?

│ 答えてよ、ろんりーウサギさん。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ なるほどね~、

│ 赤ちゃんを産んでも家族に迷惑がかからない方法があります・・・って、

│ つまり、

│ ウチらに対して、そうアピールしたかったわけだ?

│ だから、

│ こうやって自分の不幸話を延々と詳しく語ってるわけだ?、ちょっと自慢気に。

│ でも、

│ 高校生で、男に逃げられた上で出産って、

│ あちこちで噂が立つだろうな~。

│ それに、

│ 妊娠中のあなたの世話をご家族はしないといけないんだけど、

│ それだって大変なんだよ?

│ 分かってる?

│ あなたはカッコいいと思ってるのかもしれないけど、

│ ご家族にとっては、

│ 普通に いい迷惑でしょ。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そういった、あまり読みたくないコメントが、

 この回のあとには、

 再び、いくつか寄せられていた」


「また、ギスギスした雰囲気になっていた」


「そうして、

 これらのコメントに続いて載っていた、

 ウサギさんの、

 長い長い、次の回の話のあとには、

 様々な人からの、

 更に嫌味ったらしく批判的に書かれた長文のコメントが、

 ズラッと大量に寄せられていた」


「炎上のような状態になっていた」

作中では特別養子縁組だけを取り上げましたが、

こういった、元の親が自分たちの子を何らかの事情で育てられず、

別の家庭がその子の面倒を見て、育てるケースにおいては、

この他にも、

普通養子縁組、里親・・・といった2つの制度が用意されています。

これら3つの制度の、主な違いは、

子の親権を、

元の親と養う側の親、どちらが持つことになるか・・・です。


作中の医者のセリフで、

特別養子縁組・・・というのは、子の親権が元の親から養う側の親へ移され、

養う側の親が、その子の戸籍上の親にずっとなる・・・とあります。

「特別」という文言のつかない普通養子縁組は、

その一旦移された親権を、元の親へと戻す機会が法的に用意されている制度です。

子と養親、両者の同意が得られれば、

親権を生みの親へと戻すことが認められています。

少しややこしいのですが、

要するに、

元の親が持っていた親権は失効しますが、

特別養子縁組と違って、法的な親子関係は解消されない・・・ということです。

例えば、相続に関しては、

普通養子縁組の子は、

元の親と養う側の親、双方に対してその相続の権利を持つことになります。


一方、里親は、

元の親に親権を持たせたまま、

子を、一時的に他所の家庭に預ける制度です。

養う側の親には、親権は移動しません。

里親制度は、

特別・普通養子縁組と違って、

子の養育を国から委託される・・・という形を取っているので、

毎月、いくらかの補助金が国から支給されます。

ただ、

この制度を悪用し、

補助金を子の養育にはほとんど使用せず、専ら自分たちのために使う養親もいて、

ときどき、問題になっているそうです。

全ての養親に対して補助金の使いみちを逐一チェックするのもかなりの手間ですし、

一筋縄ではいかなそうな問題だなぁ・・・と感じています。

子を里親に出すことが認められる条件は、

私が調べた限りでは、

元の親が重い病気に罹って、ほとんど働けない状態になったとき等のようです。

作中のウサギさんのようなケースで認められることは、

恐らくですが、ほぼ無い気がします。


2021年現在の日本では、

何らかの事情で、

産みの親等、元の親のところで暮らせない子供は約45000人いて、

そのうちの約8割が、乳児院や児童養護施設などの施設で暮らしているそうです。

欧米では、

こうした、何らかの事情で親のもとで暮らせない子供のうち、施設で暮らしているのは、

だいたい3割未満です。

日本で施設暮らしの子供が多いことの、主な理由は、

特別・普通養子縁組、里親制度が、

一般的にはあまり知られていないこと・・・と言われています。

正直言って私も、

この小説を書くまでは、その名称ぐらいしか知りませんでした。

施設暮らしの実態について、私はほとんど分かりませんし、

一概に悪いとも思いませんが、

ただ、ちょっと多すぎるように感じます。


あと、作中では、

特別養子縁組の子は不幸であるかのように決めつけて書いてますが、

物語の都合上で、そう書いているだけです。

ネットで少し調べた感じでは、

各々、悩むことはやっぱりあるみたいですが、

それでも、多くの人が、

今の両親と出会えて良かった・・・と、

その結ばれた縁を前向きに受け入れている印象でした。

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