192.タクシーに乗って、お母さんと一緒に
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│ タクシーに乗って、お母さんと一緒に家に帰ってきました。
│ 2階の自分の部屋に戻ったワタシは、
│ まずは窓を開けたあと、
│ 勉強机の上の充電スタンドからスマホを拾って、
│ それを持って、ベッドに腰掛けました。
│ 扇風機のスイッチを入れ、
│ その風を浴びながら、
│ まずは、友達からのメッセージを開きました。
│ 「今日のカキコ終了ー。
│ あー、暑かったー。
│ もう汗ぐっしょりで、ぐったりだわ。
│ なんでウチの高校って、エアコン無いんだろ。
│ 暑過ぎてちっとも集中できん。
│ エアコン入れるだけで、みんなの偏差値軽く5は上がるって。
│ 割とマジで。
│ ってか、
│ 病院が変更になったのは、私、全然気にしてないんだけどさ、
│ 急に行くことになった・・・って、何?
│ どうしたの? なんかあった?
│ 体調が悪化した・・・とか、そういうのじゃないよね?
│ 私、
│ 多分、図書館で勉強してるから、
│ 病院から帰ったら連絡して。
│ 授業で使ったプリントとノートのコピー持って、あんたの家に行くから。
│ 色々と話を聞かせて」
│ ワタシは、スマホを指で操作し、
│ 今、病院から帰ってきたこと、
│ 病院に行ってきたのは、体調が悪化したせいではないこと、
│ それと、
│ 友達が来るのを家で待ってることをメッセージに書いて送りました。
│ 他の人からのメッセージを確認していると、
│ 友達から、
│ スタンプが3つ返ってきました。
│ 目をウルウルさせてる、良かったスタンプと、
│ 笑顔のオッケースタンプと、
│ 城から発射されたお殿様が、「脱出でござる」って言ってるスタンプでした。
│ ちょっと笑ったワタシは、
│ そのまま、
│ 他の人からのメッセージに、ひとつひとつ返信していきました。
│ 机の上にある充電スタンドのところに行き、
│ スマホを戻したワタシは、
│ 机の備え付け本棚に並ぶ、参考書とか教科書を見ました。
│ その中から、英語の単語帳を取り出し、
│ イスに座り、
│ 扇風機をこちらに向け、単語帳を開いたのですが、
│ 1分くらいで閉じてしまい、
│ 立ち上がって、
│ 単語帳を、また本棚に戻しました。
│ ベッドのところに行き、
│ 扇風機を再び向け直したあと、そのベッドに寝転びました。
│ 天井を見上げ、
│ 少し、ぼーっとしていると、
│ 超音波検査のときの、
│ あの、上書きされ続けている白い波形の映像が、
│ ワタシの目に浮かんできました。
│ あぁ、そっか・・・って思いました。
│ 今この瞬間も、そうなのか・・・って思いました。
│ 続きます。
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