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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
188/292

188.僕からの質問は以上です

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 「僕からの質問は以上です。」

│ そう言った先生は、

│ パソコン画面に向かって、そのままキーボードを叩き続けながら、

│ 「今の段階で、

│  僕に何か訊きたいこと、あるいは言っておきたいことなどはありますか?

│  検査がすべて終わったあとにも、

│  また、こうしてお話することになりますので、

│  そのときに訊いてもらっても構いませんが・・・」って尋ねました。

│ ワタシは、

│ 「あ、えーと・・・。

│  はい、たぶん大丈夫だと思います」って返しました。

│ 先生が、

│ 片手でマウスを操作し、もう片方の手でときどき文字を打ち込みつつ、

│ 「お母様はどうですか?」って尋ねました。

│ お母さんが答えました。

│ 「大丈夫です」

│ 「分かりました。」って言った先生は、

│ マウスをカチカチッ・・・と鳴らしました。

│ ふぅ・・・って息をつき、

│ その後、

│ イスを回してこちらに向き直すと、ワタシたちを見て言いました。

│ 「では、

│  既にちょっとしてもらってますが、これから検査を始めますね。

│  検査は、

│  このあと説明する、超音波検査などの内診室で行なうもの以外は、

│  体重測定や血圧測定のような簡単なものばかりですし、

│  痛みも、

│  せいぜい、血液を採取するときにチクッとする程度です。

│  そんなに怖がらなくて大丈夫ですからね。

│  できるだけリラックスして受けてください。

│  体重測定など、内診室で行なうもの以外については、

│  全て、そこの看護師さんにしてもらいます。

│  彼女の指示に従ってください。

│  何かあったときは、遠慮なく彼女に申し付けて下さい。

│  ここまでは宜しいでしょうか」

│ ワタシもお母さんも、

│ 大丈夫です、って返しました。

│ 先生が、

│ 分かりました、って言って、

│ そうして、

│ 「では、検査の説明ですが・・・」って、

│ 各検査の詳しい説明を始めました。

│ それぞれ、

│ どういった検査なのか、何故それをする必要があるのか、

│ 分かりやすく、丁寧に教えてくれました。

│ それと、

│ 女の看護師さんがついていてくれる、って聞いて、

│ ちょっと安心しました。

│ 「・・・あと、電話をかける等の目的で一時的に外に出る際は、

│  ウチの看護師にひと声かけてからにしてくださいね。

│  それと、

│  検査結果についての僕からの説明は、

│  内診室からこの部屋へ戻ってきて行ないますが、

│  そのときには、

│  お母様も、できるだけ同席するようにしてください。

│  娘さんと一緒に話を聞いてもらいたいので。

│  質問はありますか?」

│ 説明を終えた先生が、そう訊きました。

│ お母さんが言いました。

│ 「あの、

│  娘の検査の間は、やっぱり私は部屋の外にいた方がいいのでしょうか」

│ 「あぁ、そうか、

│  多分、説明し忘れてましたね、

│  すみません。

│  検査の間は、部屋の外にいる必要はありません。

│  できることなら、娘さんと一緒にいてあげてください。

│  その方が、娘さんとしても安心でしょう」

│ 「分かりました」

│ 「他には?」

│ 「いえ、大丈夫だと思います」

│ 「ウサギさんは?」

│ そう訊かれたワタシは、

│ 少ししてから、

│ 「・・・大丈夫です」って返しました。

│ 正直、

│ 緊張してて、質問が思い付きませんでした。

│ 先生が言いました。

│ 「まぁ、さっきも言ったけど、

│  分からないことや不安なことがあったら、

│  その都度、遠慮せず訊いて。

│  僕でもいいし、看護師さんでもいいし」

│ 「はい、分かりました」って、ワタシが返すと、

│ 先生は、

│ 「よし、」って言って、

│ デスクの方へ、イスを回しました。

│ そのまま立ち上がり、

│ パソコン画面を見ながら、マウスをカチカチッ・・・と鳴らすと、

│ 「じゃ、あとは宜しくー」って言いながら頭を上げ、

│ 向こうへ歩いていき、

│ デスクの奥にあったドアを開け、部屋を出ていきました。

│ その後、看護師さんに血圧を計ってもらっているときでした。

│ お母さんが、看護師さんに尋ねました。

│ 「今日って、

│  先生は、あの男の先生おひとり?

│  随分と忙しそうにしてたけど・・・」

│ 看護師さんは答えました。

│ 「午前中は臨時の先生がお見えになっていましたので、ふたりでしたよ。

│  もう帰られたので、今はひとりですが・・・」

│ 「じゃ、

│  院長先生は、今日はお休みなのね」

│ 「え?

│  先ほどの先生が、当院の院長ですよ?」

│ 「あらやだ、そうだったの。

│  院長先生は女の人って、

│  前に、誰かに聞いたような気がしたもんだから・・・」

│ 「先代の院長が女性の方でしたので、

│  もしかしたら、その人のことかもしれませんね。

│  それって、いつ頃の話ですか?

│  ・・・はい、もういいですよ。お疲れ様でした」

│ 「そうねぇ、

│  言われてみれば、確かにかなり昔よね、

│  何しろ、その奥さんの産んだときの話だから。

│  えーと、

│  上の子は、もう中学に通ってるはずだから、

│  13年前とかかしら・・・」

│ 「でしたら、

│  お母様の聞いた院長の話は、きっと先代のことだと思います。

│  ちなみに、

│  先ほどの先生は、その先代の院長のご子息にあたる方ですよ」

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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