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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
175/292

175.続きです。駅前には

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 続きです。

│ 駅前には歩いて向かいました。

│ 途中、友達は、

│ 前の日に観たテレビ番組や、ネットでたまたま見付けた おかしな動画、

│ ハマってる芸人さんのこととか、ダイエットの愚痴とか、

│ とにかく、

│ ひとりで色々喋ってました。

│ 気を遣ってくれてたんだと思います。

│ 駅の前に着くと

│ 学校帰りや会社帰りの人たちが、たくさん歩いていました。

│ 友達が訊きました。

│ 「どっちだと思う?」

│ ワタシは、

│ ちょっと考えてから答えました。

│ 「多分、漫画喫茶だと思う。

│  給料日の日まで、まだちょっとあるはずだし・・・」

│ 「どこにあるの?」

│ 「あっちなんだけど・・・。

│  あそこに、

│  カラオケ屋さんとか和食のお店の入ってる大きいビルがあるでしょ?

│ あの向こうの方」

│ 「ん?

│  あぁ、あそこら辺か。

│  で、

│  もう片方の・・・なんだっけ、パチンコだっけ、

│  そのお店・・・は、

│  あぁ、あれか。

│  あそこのピカピカしてるお店?」

│ 友達が、そう訊きながらパチスロのお店を指差したので、

│ ワタシは言いました。

│ 「うん。

│  いるとしたら、

│  多分、あそこの3階だと思う」

│ 「・・・ふーん。」

│ 友達は、

│ ちょっとの間、そのパチスロのお店をじぃっと見ていましたが、

│ やがて、ワタシの方に向き直し、

│ 「じゃ、

│  さっき言ってた漫画喫茶のお店に行ってみよ?」って言いました。

│ 「・・・」

│ ワタシは、

│ 下向いて、黙ってました。

│ 少ししてから、

│ 友達が言いました。

│ 「ダメだよ・・・、

│  会って、ちゃんと伝えないと・・・」

│ 「・・・」

│ それでも黙っていると、

│ 友達がワタシの手を掴み、何も言わずに歩き出しました。

│ ワタシは、

│ その手に引かれ、友達についていきました。

│ 「ごめんね・・・」

│ 信号待ちしてるときに、

│ ワタシは友達に、そう謝りました。

│ 友達は、

│ すぐにこっちを振り返って、明るい声で言いました。

│ 「ううん、気にしないで。

│  だって私たち、友達じゃん」

│ ワタシは、

│ 少ししてから、小さく頷きました。

│ ちょっと泣きそうでした。

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 続きです。

│ 漫画喫茶の入ってるビルの前まで来ました。

│ 友達が、

│ そのままワタシを連れて中に入ろうとしたので、

│ 「来てないかもしれないし」とか、

│ 「来てても、

│  漫画を選ぶフリとかして、ずっと見張ってないといけないし」とか、

│ 「それに、

│  また気持ち悪くなっちゃうかもしれないし」とか色々言って、

│ お店に入るのは、なんとか遠慮しました。

│ 「なら、

│  漫画喫茶の外で、出入り口を見張ろう」って話になって、

│ それで、

│ 道路を挟んで斜向(はすむ)かいにあるコンビニに入りました。

│ イートイン・スペースのイスに座って、

│ 目の前にある通りを往来する人の流れと、その向こうのビルの出入り口を見ていると、

│ 友達が、コンビニの白いビニール袋を()げて戻ってきました。

│ ワタシの隣に座って、

│ 台に置いたビニール袋からルイボスティーを出し、ワタシに渡すと、

│ 「あんたの彼氏ってさ、どんな顔してたっけ?

│  なんとなくは覚えてるんだけど・・・」って言いました。

│ 「あ。

│  うん、ちょっと待ってて」

│ ワタシはスマホを出し、ロック画面を見せました。

│ 友達が言いました。

│ 「これでいいか。

│  この画像、私に送って」

│ 「え?

│  ・・・どうするの?」

│ 「お店の人に見せて、

│  中にいるかどうか、確かめてくる」

│ ワタシは慌てました。

│ 「え、そこまでしなくていいよ。

│  お店の人、たぶん分からないと思うし、

│  それに、怪しまれちゃう」って言いました。

│ 「別にいいじゃん。

│  悪いことしてるわけじゃないんだし・・・」

│ 「いいって、大丈夫だって。

│  ここで一緒に見張ってようよ。ね?」

│ 友達は、

│ そのままワタシの顔をじっと見ていましたが、

│ やがて、前に向き直しました。

│ 自分のお茶を少し飲んで、

│ それから、

│ また、こっちを向こうとしたところで、

│ 急に窓の外を指差しました。

│ 「あ。

│  あれ、そうじゃない?

│  ほらほら、

│  今、横断歩道を渡ってる」

│ ワタシは、すぐにそっちを振り返りました。

│ 人混みの中、

│ 彼が、両手をポッケに入れて歩いてました。

│ 交差点の横断歩道を渡ってこっち側に来たあと、

│ 横を向いて止まりました。

│ 友達が言いました。

│ 「ほら、

│  早く行かないと間に合わないよ。

│  信号が変わったら向こうに渡っちゃうよ」

│ ワタシは、すぐに席を立ちました。

│ カバンを肩にかけつつ、慌てて駆け出すと、

│ 友達の声が聞こえました。

│ 「あ、傘!

│  また忘れてる!」

│ コンビニを出ようとしていたワタシは足を止め、

│ すぐに後ろを振り返りました。

│ ワタシの傘を持った友達が、こっちに来てました。

│ 「ゴメン!

│  ありがとう!」

│ 「がんばっ」

│ 「うん!

│  行ってくる!」

│ ワタシは、

│ 手渡された傘を持って、そのままコンビニを出ました。

│ 信号待ちしてる彼の元へ走っていきました。

│ 続きます。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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