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Summer Echo  作者: イワオウギ
V
174/292

174.彼のアパートに着きました

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ 彼のアパートに着きました。

│ あ、さっきの続きです。

│ 彼の部屋は、2階の奥のほうでした。

│ 階段を上ったところで友達と別れ、

│ ひとりで、彼の部屋の前に行きました。

│ 呼び(りん)を押しました。

│ しばらくして、もう一度押しました。

│ ドアは開きませんでした。

│ 階段のところで様子を見守ってくれていた友達が、

│ 少ししてからワタシのところに来て、

│ 『いない?』って訊きました。

│ 『多分・・・』って返しました。

│ 『ホントに?

│  実は、いるんじゃないの?』

│ 『物音が聞こえないし、多分・・・』

│ 『でも、

│  駐車場にあったじゃん、車は』

│ 『・・・。

│  歩いて出かけたのかも、しれないし・・・』

│ ワタシが、

│ 声を小さくし、そう答えると、

│ 友達は何かを言いかけ、

│ そうして、ため息をつきました。

│ ワタシに、

│ 『・・・カギは? 持ってる?』って尋ねました。

│ 『え?』

│ 『部屋のカギ。

│  あんた、渡されてないの?』

│ 『あ。

│  うん、渡されてない。持ってない』

│ ワタシがそう返すと、

│ 友達は、

│ 『そっか・・・』って(つぶや)いたあと、

│ いつものように(あご)に右手を当て、じっと何かを考え始めました。

│ ワタシは言いました。

│ 『ねぇ、そろそろ行こうよ。

│  他の人に見られたら、変に思われちゃう・・・』

│ 『あぁ、

│  そういや、そっか。そだね』

│ 友達は、

│ そう口にしつつ、顔を上げました。

│ 彼の部屋に近付いていき、呼び鈴を押し、

│ すぐに耳をドアに押し付けたので、

│ ワタシは、

│ 慌てて友達の手を掴んで、引っ張りながら、

│ 『ねぇ、早く行こうよ。

│  近所の人に見られたら怪しまれちゃう』って言いました。

│ 友達は、

│ 少しして、ようやく耳をドアから離しました。

│ そうして、

│ 息をひとつ吐き、

│ 髪を手で簡単に整えたあと、

│ 階段のほうを振り向き、

│ そのまま、何も言わずに歩き出したので、

│ ワタシもついていきました。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

│ さっきコメントに、

│ 《そんなに全部書かなくて良いよ。必要な事柄だけで良いよ》ってあって、

│ ワタシも、最初のうちはそう思っていたのですが、

│ ただ、

│ そうすると、

│ どれをどう書けばいいか迷ってしまって、結局時間がかかってしまいそうなのと、

│ 状況をなるべく正確に伝えたかったので、

│ もう、全部書くことにしました。

│ かなり長くて、すみません。

│ あと、

│ ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

│ 続きです。

│ 階段を下りたワタシたちは、

│ アパートの敷地内を歩いて、建物の反対側へ回りました。

│ 2階の彼の部屋を見上げると、

│ いつも通り、窓にレースのカーテンが引かれていました。

│ 明かりは、点いていませんでした。

│ 暗かったです。

│ そのときの時間は、

│ 確か、まだ6時ちょっと前でしたが、

│ 空が曇っていたので、

│ 外は、それほど明るくはありませんでした。

│ 2階の窓を見上げたまま、

│ 友達がワタシに尋ねました。

│ 『さっき、あんたが彼氏に送ったメッセージ、

│  未読のまま?』

│ ワタシは、

│ スマホを見て言いました。

│ 『・・・うん。

│  まだ、読んでないみたい・・・』

│ 『・・・彼氏の家、電話は置いてないの?

│  スマホだけ?』

│ 『うん、

│  スマホだけ・・・』

│ 『なら、

│  彼氏の友達か知り合い、家族でも良いけど、

│  誰か知らない? 連絡つかない?』

│ ワタシは、

│ ちょっと考えてから答えました。

│ 『彼の友達なら、何人か会ったことあるけど、

│  でも、連絡先とかは・・・。

│  話したこともほとんどないし・・・』

│ 『そっか・・・。

│  じゃあさ、

│  彼氏の行きそうなところは?』

│ 『行きそうなところ?』

│ 『うん。

│  たとえば・・・だけど、

│  休みの日とか、時間があってヒマな日とかは、

│  いつもどこに行ってるわけ?』

│ 『あぁ・・・、えっと、

│  駅前にあるパチスロのお店か、

│  あとは、その近くにある漫画喫茶かな・・・』

│ 『じゃあ、

│  今から行って、探してみようよ。

│  そんなに遠くないし』

│ ワタシ、ゆっくり下を向きました。

│ そうして、

│ ちょっとしてから、

│ 『・・・いいよ、もう明日にする。

│  会えないと思うし・・・』って返しました。

│ 友達が、

│ ため息をついてから訊きました。

│ 『・・・なに、どこか具合でも悪いわけ?

│  それとも、

│  これから何か用事でもあるの?』

│ 『そういうわけじゃ、ないけども・・・』

│ ワタシがそう返すと、

│ 友達が言いました。

│ 『だったら、行くだけ行ってみようよ。

│  ちょっとだけ探してみて、

│  それで見付からなかったら諦めて帰ろ?

│  ね? そうしよ?』

│ ワタシ、

│ 下向いたまま、黙ってました。

│ でも、

│ 少しして、

│ 『うん・・・』って頷きました。

└―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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