141.「次の日、学校に行くと・・・」
「次の日、学校に行くと、
教室に入ってきた担任の先生が、
教壇に立ち、両手を教卓に付いて、
みんなの顔を見ながら言った」
「授業が終わったあと、
サッカー部の人だけ、教室に残って下さい。
大事な話があります」
「みんなの表情が、一瞬にして固まった。
シーンと静まり返った」
「先生は、
その様子を見て、下を向き、
ため息をついてから、
また、顔を上げて言った」
「それじゃあ、これから朝の会を始めます。
日直の人、号令してー」
「その日の休み時間、
クラスは、オマキの話で持ち切りだった」
「仲の良い人同士で集まって、
あちこちで、ヒソヒソと話した」
「大事な話って、オマキのことかな?」
「それしかないじゃん。
ぜってー、そうだって」
「ヤッベー、ついにバレた。
隣のクラスのヤツら、結構ヤバくない?」
「ヤバいヤバい。
つーか、
ウチのクラスでもヤバいヤツ、何人かいるし」
「え?、マジ?。
ウチのクラスにもいるの?。
だれだれ?」
「ちょっと耳貸して。
・・・と・・・、
多分、・・・も。
アイツら、
休み時間になると、よく隣のクラスに行ってたし、
ぜってー、そうだって」
「マジかよ、ヤッベー」
「おま、バカ。
そっち見んなって」
「アイツら、すっげービビってる。
見ろよ見ろよ。
カワイソー。
俺、イジメてないからセーフ」
「俺だってセーフだし。
つーか、何でバレたの?。
知ってる?」
「知らねーし。
誰かがチクったか、オマキが自分で言ったか、
どっちかじゃね?」
「まぁ、
あんだけみんなで堂々とやってたら普通バレる・・・つーか、
寧ろ遅いくらいだし」
「なぁ・・・、
お前、訊かれたらどんくらい話す?」
「全部話した方が良いだろ。
隠したって、
多分、ソッコーでバレるし。
どうせ、みんなに話を訊くんだろ?。
話さなかったら、
どうして話さなかったんだ・・・って、後で言われて、
逆に俺たちがヤバいじゃん」
「あー、そっか。
お前、あったま良いなー」
「友達も、
しばらくしてから僕の席に来て、話しかけてきた」
「どうする?」
「どうする、って?」
「全部話す?」
「・・・そっちは、どうするつもり?」
「俺は全部話す。
だって、
オマキのヤツ、可哀想じゃん・・・」
「・・・だね」
「昨日、部活に、
オマキも、顧問の先生も来なかったけどさ、
やっぱり、あのとき、
イジメのこと、話してたんかな?」
「多分」
「それにしても誰なんだろな、
先生の机に紙入れて、教えたヤツ」
「え?」
「さっき、隣のクラスの前を通ったとき、
俺の友達に会ってさ、
で、
そのときに色々と教えてくれたんだ。
昨日の朝、
隣のクラスの先生が、机の抽斗を開けたとき、
少しの間、
動きが止まって、中をじーっと見てたらしくてさ・・・。
一度、首を傾げて、
抽斗から、畳んであった紙を取り出して、
中を開いたんだけど、
そこで、急に固まっちゃってさ・・・。
で、ちょっとしてから、
また紙を折り畳んで、ポケットに入れて、
その後、
何事も無かったかのように、授業を始めたらしいんだけど、
帰りの会が終わって、
オマキひとりが先生に呼ばれて、教室を出ていって・・・。
それで今日、これじゃん。
絶対、あのときの紙に書いてあったんだ・・・って、
隣のクラスじゃ、噂になってるっぽい」
「・・・へー、そうなんだ」
「でも、誰なんだろな?。
その友達に、何人か怪しい人を教えてもらったけどさ、
どうも俺、それを聞いてもピンと来なくて・・・。
お前は、誰だと思う?」




